【解説】次世代校務環境に財政の壁

（解説 2025-04-14付）

　校務系・学習系ネットワークの統合予定時期に関し、４７都道府県のうち２１県が「時期未定」「統合予定なし」と回答していることが、全国都道府県教育長協議会の調査で分かった。統合に要する費用に１８億円を試算する県もあり、次世代校務環境を実現する上で財政負担が大きな壁になっている。

　国は７～１１年度の５年間をかけて、次世代校務DX環境の全国的な整備を構想している。個人情報の流出を防止するため、ＩＤやパスワードなどの記憶、ICカードなどの所持品、指紋や静脈など生体情報のうち、二つ以上を必要とする「多要素認証」を導入し、校務系端末と指導者用端末の１台化、ロケーションフリーでの校務環境の実現を目指している。

　調査対象は４７都道府県教委。調査基準日は６年８月２～３０日。

　ネットワークの統合予定時期をみると「統合済み」が２県、「６年度」が５県、「７年度」が４県、「８年度」が５県、「９年度以降」が１０県、「未定」が１８県、「統合予定なし」が３県。

　未定を除く２９県に統合に要する概算費用を聞き取った結果、構築費用は１億７０００万円～約１８億円余り、統合後５年間で見込まれる運用費用に関しては２億～５６億円余りと人口規模の違いで大きな差があることが分かった。

　ネットワーク統合上の課題は「環境構築・運用に係る費用」が２４県と過半数を占め「学校現場との調整」「専門的な職員の不在」「知事部局との調整」「市町村との合意形成」と続いた。

　全国都道府県教育長協議会は、教職員の働き方改革に大きな影響を及ぼす校務・学習系のネットワークの早急な統合が必要としており、財政支援の充実やさらなる校務DX推進に向けた積極的関与を国に要望する。

(解説 2025-04-14付)