【解説】落雷事故へ注意喚起
(解説 2025-04-15付)

 部活動中における落雷事故の発生を受け、文部科学省は11日付で注意喚起を呼びかける通知を各都道府県・指定都市教委に送付した。屋外での体育活動では、落雷の危険性を認識して事前に気象情報を確認するとともに、天候急変の場合はためらうことなく計画を変更・中止するなどの措置を呼びかけた。

 今月10日、奈良市内の学校で落雷が発生し、サッカー部の生徒6人が病院へ搬送、1人が心肺停止、2人が意識不明の重体に。グラウンドには注意報を把握していた他部活動の顧問教員もいたものの、サッカー部の顧問教員が落雷の危険性を認識できていなかったことが一因とみられる。

 昨年4月にもサッカー部の活動中に落雷事故が発生しており、文科省はあらためて事故防止の留意点を関係者に周知。学校の備えをあらためて確認するとともに、事故防止の適切な対応を講じるよう求めた。

 雷発生の可能性が高い地域を地図上で確認できる気象庁の「雷ナウキャスト」の活用についても周知。雷雲の移動方向や盛衰の傾向も考慮し、雷発生の可能性を10分ごとに1㌔㍍間隔で解析。雷の活動度を「4(落雷が多数発生)」から「1(落雷の可能性がある)」の4段階で確認できる。

 今回の奈良市の事故も同様だが、雨が一度やんだあとに落雷するケースも多い。平成26年、愛知県で野球部の高校生が落雷を受けて死亡した事案では、雨がやみ、青空が見えてきたことから試合を続行した結果、事故が発生している。

 雷は高所を通って落ちるほか、グラウンドや屋外プールなどの開けた場所、山頂などの高い場所で落雷しやすい傾向にある。文科省は落雷の危険がある場合、すぐに鉄筋コンクリートの建物、自動車、バス、列車などに避難するよう呼びかけている。

(解説 2025-04-15付)

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