【解説】令和6年の人権侵犯事件
(解説 2025-04-07付)

 札幌法務局は令和6年における道内の人権侵犯事件の状況をまとめた。学校におけるいじめに関する事件は16件と2年連続で減少。教育職員による体罰案件は平成26年の130件をピークに減少が続き、6年はゼロ件となった。

 法務省の人権擁護機関は、人権侵犯を受けた人の申告などをもとに被害者の救済に努めている。

 人権侵犯事件に対する新規救済手続き案件は前年比21件減の274件。このうち最も多いのが「プライバシー関係」で全体の25・9%を占めている。スマートフォン利用者の低年齢化が進み、若年層が被害者になる事案が発生しているほか、特定の児童生徒の仲間はずれ、誹謗中傷の画像や動画の提示など「ネットいじめ」も深刻化している。

 学校におけるいじめに関する人権侵犯事件は前年比3件減の16件。ある中学生の事案では、同級生からの無視・仲間はずれによって不登校に至り、学校長らが適切な対応を行わないと保護者が申告。調査した結果、学校が友人間のトラブルと受け止めて具体的な対策を講じていなかったことが明らかになった。このため法務局から学校長に対し、被害生徒の視点に立った対策を学校全体で取り組むよう説示した事例があった。

 札幌法務局は「昨今のいじめはSNS上で行われ、一層見えにくくなっており、ささいなきっかけで深刻ないじめに進展する事例も少なくない」と指摘。事案の未然防止を図るため、中学生を対象とするスマホ・ケータイ安全教室と連携した人権教室の開催、子ども向け相談ダイヤルの「こどもの人権110番」の周知、封筒と便箋を一体化して料金受取人払い手続きを施した「こどもの事件SOSミニレター」の配布などの取組を引き続き進めていくとしている。

(解説 2025-04-07付)

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