【解説】楽しさ実感できる授業を

（解説 2025-04-25付）

　調査報告書では、道教育大学札幌校の中島寿宏教授、同旭川校の高瀨淳也教授による今後の方向性に関する意見を掲載している。

　中島教授は、これまで北海道の課題だった下半身の動きを伴う記録が、男女ともいくつかの項目で全国との差が縮まったことに触れ「基礎的な運動能力を高める体育授業の改善が効果を上げつつある」と指摘。体育授業での運動量確保や授業設計の工夫などが持久力・俊敏性に関わる種目の成果につながっていることを伝えている。

　道内各地で授業公開や研修会が実施され、教員同士が実践を共有し合う機会が増えていることも要因の一つとして挙げ「授業の質の向上を目指した継続的な研修が実際の体育授業のレベルアップにつながっている」と指摘する。

　また、北海道の広域性から各学校における環境・設備などの違いを考慮した柔軟な指導が重要になるとも指摘。「全国平均との差が縮まった項目が複数見られたことは、これまでの取組が正しい方向に進んでいることを裏付ける重要な成果。さらなる改善が必要な部分も明確になっており、今後の授業改革の指針になるだろう」としている。

　高瀨教授は「学校全体での運動意欲の醸成につながる授業改善、家庭・地域と連携した望ましい運動習慣・生活習慣の確立に向けた取組を着実に進めてきたことが反映された」と講評。児童生徒が「楽しさ」を実感できる授業や取組を継続する重要性を示している。

　道内の体育専科教員による創意工夫された授業改善の事例として、厚岸町立真龍中学校、浦河町立荻伏中学校を紹介。成功体験をもとに挑戦意欲を引き出すゲームや教材・教具の創意工夫を取り上げ、子どもたちが運動の楽しさを実感できる授業づくりに挑戦するよう呼びかけている。

(解説 2025-04-25付)