【解説】読書活動の在り方に変化

（解説 2025-05-01付）

　読書活動は読解力、思考力、表現力を養う上で大きな役割を果たしている。ＯＥＣＤの調査によると、読書を肯定的に捉える生徒、本を読む頻度が高い生徒ほど読解力が高いことが明らかになっている。

　感性の豊かな１０代における良書との出合いは、自分らしく生きるヒントを与え、人とのつながりを生む大切なきっかけになることも少なくない。子どものサード・プレイスとしての役割も期待され、地域コミュニティーに寄与する図書館の重要性は大きい。

　一方、子ども・成人共に読書・活字離れが深刻化。文化庁の５年度調査によると１ヵ月に本を読まない日本人の割合は過去最高の６２・６％と５年前から１５・３ポイント上昇。２０代以下で顕著になっている。

　不読率の上昇要因に、スマートフォンやパソコンの普及を指摘する声があるが、オンライン上で小説を閲覧・投稿する若者も多い。電子書籍市場は平成２０年ごろから立ち上がり、コロナ禍を契機に電子図書を導入する図書館が増加し、学校での導入も広がっている。

　文科省の有識者会議では「デジタルで読む方が敷居を低くする可能性もあり、新たな読書活動として捉えて良いのでは」との声も上がる。紙・デジタルの両方を用途に応じて活用する力とともに、デジタルにも強い図書人材を育成する必要性が指摘されている。

　時代とともに「読む力」の在り方も変化しつつある。海外の論文を検索・要約してくれるＥｌｉｃｔ、同一ウェブサイトの情報を検索するグーグルのノートブックLMが代表的な例で、生成AIは膨大な資料を読み込む時間を短縮し、言語を超えた情報へのアクセスを可能に。探究活動で活用する高校もあり、デジタルを使いこなす「デジタル・リテラシー」も必要になる時代が予想される。

(解説 2025-05-01付)