【解説】業務持ち帰り改善へ(解説 2025-05-13付)
給特法等の改正案が9日、衆議院文部科学委員会で審議された。教員の時間外在校等時間の縮減、中学校の35人学級実現などの目標を付帯決議として盛り込む修正案を協議。石破茂首相は今後、教員の業務の持ち帰りの実態把握・改善に向けた指導の徹底を図っていく考えを示した。
昨年12月の文科大臣と財務大臣による折衝では「教師の処遇改善」「教職員定数の改善」「時間外在校等時間の目標設定」の3点について合意。①教職調整額を12年度までに段階的に10%まで引き上げ、学級担任手当の加算などより職責・業務負担に応じた給与体系にする②中学校の35人学級を8~10年度の3ヵ年で段階的に導入する③教員の平均時間外在校等時間は月20時間程度を目標とし、まずは5年間をかけて30時間程度にするための取組を加速化する―ことを確認した。
法案では教職調整額の引き上げとともに②③に関する目標を付帯決議としても盛り込む見通し。教員の処遇改善に合わせて、教員の業務量の適切な管理と健康・福祉を確保する新たな計画の策定・公表を教育委員会に義務付けることを示しており、石破首相は今後、昭和41年、平成18、28年、令和4年の計4回実施してきた教員勤務実態調査について、今後は毎年度実施する考えを示した。
業務持ち帰りを改善する必要性にも言及し「業務の持ち帰りが行われている実態がある場合、校長や服務監督する教育委員会はその把握に努め、改善に向けて取り組む必要がある。取組が適切になされるよう指導の徹底を図る」と述べた。
文科省の4年度調査によると、教員の1日当たりの業務持ち帰り時間は小学校で平日37分、土日36分、中学校で平日32分、土日49分。平日に関しては平成28年度の前回調査と比べ若干増加傾向にある。
(解説 2025-05-13付)
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