【解説】業務管理 実効性が鍵に
(解説 2025-05-16付)

 給特法等改正案は衆議院を通過し、参議院での審議に入る。修正案では教員の処遇改善と併せて時間外勤務の削減措置を新設。教育課程編成の在り方に関する専門的議論を深めるとともに、教職員定数の改善など教育条件を一体的に整備する。まずは5年間をかけて時間外勤務を月30時間程度にまで縮減し、将来的には20時間を目指す。

 教育委員会においては業務量管理・健康確保措置実施計画の策定・公表が義務化。これまで国が実施していた教員の実態調査に代わり、今後は毎年度、教育委員会を対象とした調査を通して勤務実態を把握することになる。

 付帯決議では、時間外勤務の長時間化を防ぐ教育委員会・学校管理職の役割を記載。実際より短い時間を記録しないよう周知すること、虚偽の時間外在校等時間を記録する場合、信用失墜行為として懲戒処分の対象になり得ることを周知することを示した。

 文部科学大臣の指針では業務の持ち帰りについて、本来は原則行わないこと、持ち帰りが行われている場合、校長・教育委員会が実態の把握に努めることと定めている。一方、文科省の4年度調査で1日当たりの業務持ち帰り時間は小学校で平日37分・土日36分、中学校で平日32分・土日49分となっており、自己申告に基づく調査結果と実態の乖離が懸念される。いじめ・不登校、日本語指導、特別な支援を要する児童生徒の増加など複雑・困難化している現状を踏まえ、業務管理の実効性を高める条件整備が鍵になりそうだ。

 教職調整額引き上げは一定の道筋はついたものの、都道府県の財源の在り方が不透明な課題も。小・中学校の教職員の給与費は3分の1が国庫負担、3分の2が地方負担になるが、総務省は約3000億円の地方負担が生じると試算する。

(解説 2025-05-16付)

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