【解説】探究活動との一定的評価を
(解説 2025-05-14付)

 情報活用能力はタイピングなどデジタル機器の基本操作に始まり、情報を収集・整理・分析する活用力、情報技術への特性理解など多岐にわたる。SNSの普及は多様な意見から隔離されるフィルターバブル、同一の意見のみに囲まれるエコーチェンバーなどの現象をもたらし、情報モラルやメディアリテラシーの重要性がより高まっている。

 一方、諸外国と比較するとわが国の情報活用能力は低い。IMD(国際経営開発研究所)の2024年調査では、日本のデジタル競争力のスコアは先進国中31位。デジタル・技術スキルに関しては67位にとどまる。OECDのPISA2022年調査でICTを用いた探究型の教育頻度を比較した結果、日本は全29ヵ国中最下位になっている。

 他国と比べ指導内容が不十分な課題もある。日本産業技術教育学会によれば、英国では小学校に週1時間程度、韓国では1年間で34時数以上を情報教育の時間として設定している。中学校の情報教育は日本の3年間の約22・9時数に対して韓国では68時数、米国ミシシッピ州では年間で140時間となっている。

 愛知県春日井市立出川小学校は4年度から国の研究開発学校として情報活用能力を育成する「情報の時間」を設定。各教科に共通していた内容を系統立てて整理し、年間35時間程度で教育課程を編成している。タイピングやスライド作成などの基本的操作の向上、課題設定、情報の整理・分析の力が向上するなどの成果が見られている。

 情報教育を新たな教科として位置付ける場合、授業時数や評価の在り方が課題になる。会議で委員は、総合的な学習の時間の探究活動と一体的に評価する必要性を指摘。中学校の技術科教員が不足する現状から研修体制の整備と担当指導主事の適切な配置を求めた。

(解説 2025-05-14付)

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