【解説】「指導の個別化」充実を
(解説 2025-08-01付)

 今回の中学校理科調査で初めて導入されたIRT(項目反応理論)は、異なる問題の正誤状況を活用し、学力を測定する方法。従来の素点方式と異なり、問題の難易度なども考慮される。各児童生徒で異なる問題を設定できるため、調査日の複数設定や幅広い領域・内容等での調査が可能になる。

 全ての公開問題はメクビット上でいつでも取り組める。次回調査からは学力の経年変化を各教育委員会・学校でも把握できるといったメリットがある。文部科学省のヒアリング調査によると、関係団体から「児童生徒の理解の深さやつまずきの把握に役立つ」「平均値偏重からの脱却や、分析の精度向上が期待できる」などの声が寄せられている。

 IRTスコアは各設問の正誤パターンの状況から学力を測定し、500を基準にした得点で表すもの。IRTバンドはIRTスコアを5段階に区切ったもので、3が基準、5が最も高いバンドになる。

 本年度の中学校理科は公開問題10問と非公開問題16問の計26問を出題。公開問題のうち4問は実施日、非公開問題は生徒ごとに異なり、幅広い内容・難易度から生徒の学力を調査した。

 学校や自治体の結果はIRTスコアで表示するが、生徒個人の結果はIRTバンドで表示・返却。国際的な学力調査のバンド設定やIRT分析の精度を踏まえ、細かな差異にとらわれ過ぎることなく、個別の児童生徒の課題把握と指導改善に生かすとの趣旨がある。

 8年度には中学校英語、9年度には国語、算数・数学でCBT・IRTの導入を予定している。

 文科省は、各学校におけるIRTバンドの分布と解答状況に特徴が見られた問題の分析を照らすことで「指導の個別化」のさらなる充実を呼びかけている。

(解説 2025-08-01付)

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