【解説】スマホ使用 認知への影響
(解説 2025-08-05付)

 学力のスコア低下が見られたのは過去4回の調査で今回が初めてになる。1日の記者会見で阿部俊子文部科学大臣は事態を「大変重く受け止めている」とし、要因の追加分析を行った上で学習指導要領の改訂をはじめ教育政策の改善に生かしていく考えを示した。

 1日に開かれた文科省の専門家会議では、スコア低下の要因について①子どもの学校外の過ごし方の変化②保護者の意識の変化(学業への関心低下、社会経済的背景の影響など)③経験・感覚に基づく意味理解の低下―など様々な仮説が示された。

 長時間のスマートフォン使用が子どもの認知に影響を与えている可能性が懸念され「小中学生のゲームを規制する動きを考えていくことも必要」との意見もあった。算数では正答率の上位層でも分数の概念の理解ができていない子どもが一定数存在することから、知識が具体的な生活経験やイメージと結び付いていない課題も指摘された。

 学力の低下は世界的に見られており、OECDによる2022年のPISA調査では科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーが低下。情報の処理、推論、問題解決の各能力が衰えている可能性を示唆している。

 東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授は平成27年度にスマートフォンの使用時間と学力テストの成績の関係を調査。使用時間の長さと反比例して偏差値が低下した研究結果をまとめている。絶え間ない通知・情報が集中力に悪影響を及ぼすほか、批判的思考を必要としない一方通行型の動画コンテンツの普及が推論する力を奪うと指摘する声もある。今回の調査では、保護者がスマートフォンに依存している場合、高い確率で子どもに影響する可能性も示しており、家庭の取組が一層課題になっている。

(解説 2025-08-05付)

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