【解説】スマホと読書に負の相関
(解説 2025-10-30付)

 一日に読書をしない子どもの割合が52・7%となり、10年前の34・3%から1・5倍に増加していることがベネッセ教育総合研究所の調査で分かった。スマートフォンの時間が長いほど読書時間が短い負の相関関係も明らかになった。

 同研究所が東京大学社会科学研究所と共同で実施した6年間の調査結果に基づき、全国の子どもたちの読書行動の実態や、スマートフォン利用との関係を調べた。

 1日当たりの読書時間は小中高の全ての学校段階で減少。小学校4~6年生で6・3分、中学生で5・9分、高校生で4・9分いずれも減少した。

 一方、スマートフォンの利用時間は小学校4~6生で22・4分、中学生で51・9分、高校生で42・5分いずれも増加。スマートフォンの使用時間が長いほど読書時間が短く、学年が低いほど影響が大きい追跡調査の結果を示した。

 読書をしない子どもは語彙力・読解力が低い傾向にある。読書時間が「5~15分」「30分」の層の中高生の読解力の得点は、読書をしない生徒と比べて高かった。

 家庭の教育環境も子どもの読書習慣に大きく影響を及ぼす。本や新聞を読むことの大切さを伝えている保護者の子どもが読書する割合は56・0%だった一方、「伝えていない」と答えた保護者の子どもは32・1%だった。

 学習院大学の秋田喜代美教授は、読書習慣の形成に大きな役割を担う学校・地域の重要性を指摘。総合的な学習の時間の充実や情報活用能力の育成が重視される中、学校では紙・電子の書籍に触れる機会の増加や読書のための時間の設定が必要とし「家庭、学校、地域が一体になり、子どもの目に触れるところに魅力的な本がある環境づくりが重要になる」と語る。

(解説 2025-10-30付)

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