【解説】高校無償化の大枠合意
(解説 2025-10-31付)

 自由民主党、日本維新の会、公明党の3党は30日の実務者協議で、高校授業料の無償化に向けた制度設計の大枠について合意した。①私立通信制高校の就学支援金の支給上限引き上げ②高校生等奨学給付金の対象拡大③外国籍生徒等の対象除外―の3点を新たに盛り込んだ。

 6月に示した大枠整理では、8年度から私立高校の授業料の所得制限を撤廃。就学支援金の支給上限を現行の39万6000円から45万7000円に引き上げ、経済的事情による教育格差を是正する方針を示した。

 今般の合意ではさらに、私立通信制高校の支給上限を29万7000円から33万7000円に引き上げることを確認。また、授業料以外の教育費を支援するため、生活保護世帯・非課税世帯を対象にしていた奨学給付金の対象を中所得層まで拡大し、給付額を増額することに合意した。

 自国民を優先する観点から、在留資格が「留学」になっている生徒、外国人学校の生徒に関しては制度の対象外とし、就学支援金制度の受給資格を見直す。私立高校における「便乗値上げ」を抑止するため、授業料等に関する情報をインターネット上で一元的に確認できる仕組みを国において整備する予定だ。

 施策の実現には恒久的な安定財源の確保が不可欠だ。8年度からは毎年度約6000億円が必要になることが見込まれており、3党で責任を持って対応することにも合意した。

 私立高校への進学が大きな選択肢になることで、公立高校の小規模化・再編統合の加速化が懸念される。自治体・学校現場に事務負担が生じない制度の見直しも迫られている。文部科学省は8年度、初等中等教育局に「高校振興課(仮称)」を新設する機構改正を計画。高校無償化対応に伴う教育改革を推進する。

(解説 2025-10-31付)

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