【解説】クマ対策へ緊急連絡会
(解説 2025-11-04付)

  各地でクマによる被害が相次ぐ中、文部科学省は10月30日付で全国の都道府県・指定都市教委などに対し、学校および登下校の安全確保を求める通知を発出した。同日、首相官邸で開かれた閣僚会議で松本洋平文科大臣は、教育委員会などで構成する「緊急連絡会」を速やかに開催し、情報共有と対策強化を図る考えを示した。

 環境省によると、全国のヒグマの推定生息数は約1万2000頭、ツキノワグマが約4万2000頭以上に上る。分布域が人の生活圏周辺まで拡大しており、東北地方ではドングリの凶作などを背景に秋以降、市街地での出没が相次いでいる。9月末時点でのクマによる人身被害は103人。死者数は過去最多になる12人に達した。学校の敷地内でも目撃されるなど、児童生徒の安全を脅かす事案が発生している。

文科省の通知では、環境省が作成した「クマ類の出没対応マニュアル」や地方の教育委員会における取組事例などを参考に、地域の実情に応じて通学路の点検・変更、安全対策や連絡体制の整備を検討するよう要請。学校の危機管理マニュアルにクマ出没への対応を盛り込むよう呼びかけた。

 また、対策を検討する際には自治体の関係部局や地域の警察署と連携し、安全対策を強化することを求めた。全学校に一律に周知するのではなく、周知先を判断して効果的に情報を伝達する配慮も促している。

 同日の「クマ被害対策等に関する関係閣僚会議」の席上で松本大臣は、これらの通知発出を報告した上で「単に周知するのみならず、教育委員会等の関係者間で対策をしっかり共有するための緊急連絡会を速やかに開催し、関係省庁とも連携して児童生徒等の安全確保に取り組んでいく」と述べた。

(解説 2025-11-04付)

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