高校魅力化へ交付金創設を
(解説 2025-11-05付)

 中教審委員などで構成する「高校教育改革を実現する会」は10月30日、公立高校を支援する交付金の創設を提言した。授業料無償化に伴う公立高校の衰退を防ぐため、年間1000~2000億円規模で施設・設備の整備やコーディネーター人材の配置充実などに充てることを求めた。

 提言の柱は①専門高校の機能強化・高度化②地方唯一の高校の魅力化③普通科高校の改革・理数強化―の3点。専門高校では先端技術を活用した実践的学びを充実させ、高度専門人材の育成を推進するために必要な産業教育施設の整備や、産業界からの人材派遣・採用、寮機能の整備を求めている。

 また、地方唯一の高校において、単位制化や学校間の単位互換も含めたデジタル・オンライン教育の環境整備、コーディネーターの配置、スクールバスなどの地理的アクセス確保を提案。普通科高校においては、研究機関・海外機関との連携協働体制の構築、探究・文理横断的な学びと情報・理数系教育の抜本的強化によるDX(デジタルトランスフォーメーション)、AI、GX(グリーントランスフォーメーション)などをけん引する人材育成の推進を求めた。

 3党の実務者協議で制度の大枠の合意がなされた一方で、10月31日に予定していた調印式が見送りに。予算規模が拡大し、裏付けになる財源の確保が課題となっており、不確定な要素も多い。

 同日の記者会見で松本洋平文科大臣は、生徒の進路選択に直接関係する事柄であるため、協議の進展に期待を寄せた上で「直ちに実務に移すことができる準備を並行して行い、万全の対応を心がけていく」と表明。最先端の産業教育施設の整備をはじめ、公立高校への支援拡充に向けた財源の確保に決意を示した。

(解説 2025-11-05付)

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