【解説】12年間の学びの連続性を
(解説 2025-11-06付)

 7年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書では、小中高12年間を一体的に捉えた観点による分析を充実。元国立教育政策研究所学力調査官2人による分析・考察を掲載している。 

 道教委は、道立高校の1年生などを対象に道高校学習状況等調査を毎年度実施。小中高の連続性を意識した授業改善等の推進を目的に、全国学力・学習状況調査の児童生徒質問調査と同じ質問項目を設定している。

 結果を比較すると「課題解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいたか」で肯定的な回答をした割合は小学校80・4%、中学校77・5%、高校(6年度時点)74・1%と校種が進むにつれて低くなっており、授業改善の必要性が浮き彫りになった。

 道教育大学附属函館中学校の黒田諭副校長は、言語能力の育成を視点に小中高12年間を通して意図的・計画的に指導を継続する重要性を指摘。「単に“教え込む”のではなく、常に言葉そのものを活用させる指導を工夫すること」と指導に当たってのポイントを示した。

 授業でのICTの活用頻度が「ほぼ毎日」「週3回以上」の児童生徒の割合は小学校が79・3%、中学校が83・1%なのに対し、高校は75・0%と大きく落ち込んでいることが明らかになった。

 道教育大旭川校の山中謙司准教授は、ICTを「学びの連続性を支える共通の学習基盤」として位置付け、段階的に活用の在り方を設計する重要性を強調する。

 「今後は、ICTを通して育成すべき資質・能力を12年間の学びの系統性の中で明確化し、各学校段階での指導と評価を連動させることが、持続的な授業改善と学びの質の向上につながる」と説いた。

(解説 2025-11-06付)

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