【解説】教師に身近な指導要領に
(解説 2025-11-14付)

 紙の学習指導要領は各学校種や参考資料などを含めて300~500ページ程度、参考資料になる解説は1冊150~300ページ程度の厚みがある。限られた授業準備の時間の中、指導案などを作成する際に参照・引用するのに時間を要する課題がある。

 ウェブ版では、検索性や利便性向上、教科・学年・学校種間の関連性を分かりやすく示し、日常的に活用しやすい学習指導要領を目指す。PDFでは不要な情報もコピーしてしまうなどの課題があったが、AIが読み込みやすいデータが提供されれば単元計画や評価基準の作成にも利用できる。表計算ソフトや文書作成ソフトで学習指導要領のデータを出力し、指導案の作成にも活用できる。

 東京学芸大学教授の堀田龍也委員は、教師のみならず児童生徒にも学習指導要領を参照できる可能性があると指摘。類語や上位概念といった関連用語をたどる機能の実装も考えられるとした上で「教師にとって学習指導要領がより身近になり、限られた時間でも教材研究が深まりやすいものになれば」と期待を寄せた。

 埼玉県戸田市教委教育長の戸ヶ崎勤委員は、他教科・学年・校種間の関連性を一覧化する機能の可能性に言及。教科等横断的なカリキュラムづくりに向けた使い方を積極的に発信する必要性を説いた。

 また「教育委員会の指導主事による使用や教員研修での活用など学校以外のユースケースもあり得る。開発に当たっては、学校現場のみならず教育委員会の意見も広く聞いてほしい」と求めた。

 必要な情報に直接アクセスできる利便性の反面、学習指導要領の断片的・硬直的な理解につながる可能性を懸念する声も。初任段階や中堅段階など、使用者の理解度に応じた使用方法を示す必要性が指摘された。

(解説 2025-11-14付)

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