【解説】複式学級の魅力発信を
(解説 2025-11-20付)

 複式学級では、わたり・ずらしなど単式学級とは異なる高度かつ専門的な指導技術を要する。複式学級での経験がない中で赴任する教員も多く、日々の業務と並行しながら研修などを通して熱心にノウハウを積み重ねている。

 多学年学級担当手当は本来、2学年編制で日額290円、3学年編制で日額350円と設定されているが、本道は全国的にも珍しい月額支給。

 へき地・小規模校が多く存在する本道において、複式学級を担う教員の労力に対する正当な対価として大きな役割を果たしてきたと言える。

 こうした中、手当の廃止はへき地・小規模校で勤務する魅力の低下にもつながりかねない。

 全国へき地教育研究連盟の温泉敏会長は、若手教員がへき地・小規模校への赴任を希望しない傾向が高まっている現状に触れ「教員不足の中でさらに地方の教育の質を下げてしまうのでは」と懸念する。

 道へき地・複式教育研究連盟も、道小学校長会等を通じて要望するなど、手当の存続に向けて活動を進めてきた。

 道下誠委員長は、影響を受ける教員の給与を保障する道の対応に謝意を示しつつ「先生方の労力を考えると、手当の廃止は残念」と肩を落とす。

 今後、児童数の減少によって複式学級の増加が予想される。

 将来、へき地・小規模校で指導を担う可能性がある教員らに対し、いかに魅力を発信していくかが課題になる。

 道へき地・複式教育研究連盟では、全道大会や各地区での研究大会など多様な研修の場を設定している。道下委員長は「こうした研修の場に参加してもらい、子どもたちの目の輝きなど複式学級の魅力を感じてほしい」と訴える。

(解説 2025-11-20付)

その他の記事( 解説)

【解説】生成AI 小学生が感じる長短は?

 生成AIの利活用が拡大する中「使い方に関する話し合いをしたことがある」家庭の割合が50・9%にとどまることが、㈱ベネッセコーポレーションの調査で明らかになった。  同社が提供する通信...

(2025-11-28)  全て読む

高大改革へ知事会提言

 全国知事会は26日、東京都内の都道府県会館で全国知事会議を開き、高校無償化を契機とした高校・大学等の改革による人材育成の強化を提言した。地方創生や産業活性化を担う人材を育成するため、公立高...

(2025-11-27)  全て読む

【解説】いじめ重大事態の事例分析

 専門家会議が全国のいじめ重大事態調査報告を分析した結果、「生徒指導の基本的な取組の未実施」「未然防止の取組の形骸化」が共通点として挙がった。認知・把握した時点で適切に対応していれば重大事態...

(2025-11-26)  全て読む

【解説】体験活動の不足 4割実感

 「子どもたちが多様な体験活動を経験できていない」と考える割合は42・4%に上ることが、道が実施した道民意識調査で分かった。経済的・時間的負担を課題と捉える声は18~29歳の子育て世代で71...

(2025-11-24)  全て読む

クマ対応へ補助事業

 文科省は10月下旬に事務連絡を全国の都道府県教委等に発出。環境省のマニュアルや各地の教育委員会の取組事例を周知し、通学路の安全対策の実施や連絡体制の整備、学校の危機管理マニュアルにクマ対応...

(2025-11-21)  全て読む

【解説】社教人材養成講習を再編

 文部科学省は17日のワーキング・グループで、社会教育主事・社会教育士養成の枠組みを再編する検討に着手した。それぞれに求められる役割を踏まえ養成講習のカリキュラムを再構築し、広がり続ける社会...

(2025-11-19)  全て読む

道外で地方採用増加

 文部科学省と厚生労働省は8年3月大学等卒業者の就職状況調査(10月1日現在)をまとめた。大学生の就職内定率は前年度同期と比べて0・5ポイント上昇して73・4%。北海道・東北を除く地方での採...

(2025-11-18)  全て読む

【解説】教師の環境整備へ緊急声明

 中教審初等中等教育分科会の貞広斎子部会長は12日、松本洋平文部科学大臣に「教師を取り巻く環境整備に向けた緊急声明」を提出した。中学校の35人学級の実現、不登校対応に必要な教職員定数の改善な...

(2025-11-17)  全て読む

【解説】教師に身近な指導要領に

 紙の学習指導要領は各学校種や参考資料などを含めて300~500ページ程度、参考資料になる解説は1冊150~300ページ程度の厚みがある。限られた授業準備の時間の中、指導案などを作成する際に...

(2025-11-14)  全て読む

【解説】3要領・指針改訂へ議論

 次期幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂に向けた議論が中教審初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育ワーキンググループで始まった。小学校学習指導要領との...

(2025-11-13)  全て読む