【解説】いじめ重大事態の事例分析
(解説 2025-11-26付)

 専門家会議が全国のいじめ重大事態調査報告を分析した結果、「生徒指導の基本的な取組の未実施」「未然防止の取組の形骸化」が共通点として挙がった。認知・把握した時点で適切に対応していれば重大事態に至らなかった可能性のある事案もあり、問題発見時における初動の重要性をあらためて示唆している。

 SNSによるいじめでは「死ね」「きもい」といった暴言、からかいや侮辱的行為によって深刻化した可能性のある事例があった。学校がSNSトラブルを軽視したことで被害生徒本人にいじめの対応を任せ、保護者への連絡・調査を行っていなかったことが原因とみられる。裸の画像を送信してしまうなど、悪意がなく軽い気持ちで犯罪行為を行ってしまうケースもあり、スマートフォン利用の低年齢化が進む中、小学校段階からの情報モラルやリテラシー教育の重要性が一層高まっている。

 部活動や寮生活、入れ替えのない学級などによって人間関係が固定化し、閉鎖的な集団になることがいじめ発生の温床になる事例もあった。集団独自の価値観・ルールが発生しやすいことが背景にあり、いじめ防止の観点からルールを見直すほか、第三者の視点や家族・地域など外部との意見を聞く機会が必要と指摘する。

 特別な支援を必要とする児童生徒は対人関係上の困難さが生じやすく、深刻化するリスクが高いとされている。情緒・行動に課題を有する生徒の理解不足が背景にあった事案では、精神医学の観点も加味した支援計画を入学当初から実践することで、重大化を防ぐことができた可能性のあるケースも。学校のみでの対策は困難であり、子どもたちと向き合う時間を確保する環境の改善に加え、保護者、自治体、関係機関、地域住民による協力が不可欠になっている。

(解説 2025-11-26付)

その他の記事( 解説)

【解説】総合型選抜 19・5%に

 文部科学省は、7年度国公私立大学・短大入学者選抜実施状況を公表した。大学入学者全体に占める総合型選抜の割合は前年度比で3・4ポイント上昇して19・5%。学校推薦型選抜に関しては0・9ポイン...

(2025-12-03)  全て読む

【解説】高校改革交付金 9年度創設

 文部科学省は、高校教育改革に関する基本方針(仮称・グランドデザイン)の骨子を公表した。ネクストハイスクール構想の方向性や高校支援の全体像を整理したもので、9年度から「高校教育改革交付金」を...

(2025-12-02)  全て読む

【解説】日本語学習者 1.4倍に増加

 文部科学省が実施した日本語教育実態調査(6年11月1日現在)によると、日本語教室が存在しない空白地域に住む道内在留外国人数は前年度比60・9%増の2万1536人となり、都道府県で最多になっ...

(2025-12-01)  全て読む

【解説】生成AI 小学生が感じる長短は?

 生成AIの利活用が拡大する中「使い方に関する話し合いをしたことがある」家庭の割合が50・9%にとどまることが、㈱ベネッセコーポレーションの調査で明らかになった。  同社が提供する通信...

(2025-11-28)  全て読む

高大改革へ知事会提言

 全国知事会は26日、東京都内の都道府県会館で全国知事会議を開き、高校無償化を契機とした高校・大学等の改革による人材育成の強化を提言した。地方創生や産業活性化を担う人材を育成するため、公立高...

(2025-11-27)  全て読む

【解説】体験活動の不足 4割実感

 「子どもたちが多様な体験活動を経験できていない」と考える割合は42・4%に上ることが、道が実施した道民意識調査で分かった。経済的・時間的負担を課題と捉える声は18~29歳の子育て世代で71...

(2025-11-24)  全て読む

クマ対応へ補助事業

 文科省は10月下旬に事務連絡を全国の都道府県教委等に発出。環境省のマニュアルや各地の教育委員会の取組事例を周知し、通学路の安全対策の実施や連絡体制の整備、学校の危機管理マニュアルにクマ対応...

(2025-11-21)  全て読む

【解説】複式学級の魅力発信を

 複式学級では、わたり・ずらしなど単式学級とは異なる高度かつ専門的な指導技術を要する。複式学級での経験がない中で赴任する教員も多く、日々の業務と並行しながら研修などを通して熱心にノウハウを積...

(2025-11-20)  全て読む

【解説】社教人材養成講習を再編

 文部科学省は17日のワーキング・グループで、社会教育主事・社会教育士養成の枠組みを再編する検討に着手した。それぞれに求められる役割を踏まえ養成講習のカリキュラムを再構築し、広がり続ける社会...

(2025-11-19)  全て読む

道外で地方採用増加

 文部科学省と厚生労働省は8年3月大学等卒業者の就職状況調査(10月1日現在)をまとめた。大学生の就職内定率は前年度同期と比べて0・5ポイント上昇して73・4%。北海道・東北を除く地方での採...

(2025-11-18)  全て読む