【解説】高校改革交付金 9年度創設
(解説 2025-12-02付)

 文部科学省は、高校教育改革に関する基本方針(仮称・グランドデザイン)の骨子を公表した。ネクストハイスクール構想の方向性や高校支援の全体像を整理したもので、9年度から「高校教育改革交付金」を創設する方針を明らかにした。

 2040年には産業構造の変化によって労働力の需給ギャップが生じ、理系人材や地域のを支えるエッセンシャルワーカーの不足が懸念される。公立高校の立地が0校または1校の市区町村は全体の約64%を占め、地理的アクセスを踏まえた学びの保障が大きな課題になっている。

 基本方針では「AIに代替されない能力や個性の伸長」「日本の社会・経済の発展を支える人材育成」「多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保」の3点を提示。AIに代替されない言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力、他者と協働する力の育成を重視し、探究的な学びや実践的学びへの転換を図る方針を示した。

 9年度から創設する交付金の対象は①専門高校の機能強化・高度化②普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化③地理的アクセス・多様な学びの確保―の3点。

 支援対象として産業界の伴走支援による教育課程の刷新・開発に取り組む産業高校、理数系教育や学際的・複合的な学問分野に重点的に取り組む普通科高校、学校規模・配置の適正化、学校間連携や遠隔授業の促進に取り組む高校などを想定している。

 基本方針は本年度中に決定する予定。これを踏まえて各都道府県が実行計画を策定し、9年度から交付金による支援を開始する。計画は主に公立高校の取組を中心とするが、都道府県の判断で私立高校の取組も盛り込むことが可能にした。近日中に都道府県向けの説明会を開催する。

(解説 2025-12-02付)

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