後期中等教育段階の特別支援検討委 周囲の意識改革が必要 福祉と学校の連携求める意見も(道・道教委 2015-09-03付)
北海道の後期中等教育段階における特別支援教育検討委員会
道教委設置の北海道の後期中等教育段階における特別支援教育に関する検討委員会(室橋春光委員長)は八月三十一日、道庁別館で第二回検討委員会を開いた=写真=。「インクルーシブ教育システムの構築」をテーマに検討を進め、「福祉と学校の連携が大事」「多様で柔軟な学びの場を整備するためには、支援が必要な生徒が気持ちよく通えるように、周りの人たちの意識改革が必要」などの意見が出た。
同検討委員会は、高校等に在籍する特別な教育的支援を要する生徒の自立や社会参加に必要な力を育成する観点から、本道の後期中等教育段階における特別支援教育の在り方を検討するため、道教委が設置。「発達障がいのある生徒に対する後期中等教育の在り方」「後期中等教育における特別支援教育の充実に向けた取組の方向性」などについて、二年間をかけて検討する。
第二回検討委員会には、新たに委嘱された北川聡子委員(道知的障がい福祉協会発達支援部会長)を含む委員十五人が出席。
「インクルーシブ教育システムの構築」をテーマに、①本道の地域特性を踏まえたインクルーシブ教育システムの構築②高校における通級指導教室および特別支援学級の必要性とその役割―を柱に据え、事前に各委員から寄せられた意見をもとに、検討を進めた。
このうち、①については、「通常学級で、生徒への支援がどれだけ行き届いているのか考える必要がある」「周りと違っていても、自分は自分でいていい、君たちはここにいていいという雰囲気、ベースがあって、初めてインクルーシブ教育ができる」「通常学級の教員には、特別支援教育は専門の教員が取り組むものという意識がまだまだあり、専門性の確保を含めて、意識改革が必要」「多様で柔軟な学びの場を整備するためには、支援が必要な生徒が気持ちよく通えるように、周りの人たちの意識改革が必要」などの意見が出た。
また、ここに応じた「合理的配慮」の考え方についても協議。「単純に同じ場で学ぶのではなく、生徒の状況に応じて、ブラインドスポットを用意することも必要ではないか」「学校だけではできないことも、福祉関係者と一緒に取り組むことで、生徒の困り感をサポートできる」などの声があった。
②については、「特別支援学級のない小・中学校で学んだ生徒が高校に進学し、いきなり通級教室などを設けても、うまくいかないのではないか。生徒の心情を考えること、教員の専門性を高めることが大事」「福祉と学校の連携が大事。生徒だけでなく、保護者へのサポートも必要」「学校には、生徒の個別のニーズを聴き取る場所が必要」「専門性のある教員だけが取り組むのではなく、障がいのない生徒や保護者、教員にきちんと説明、指導できる人材を配置する必要がある」などの意見があった。
第三回検討委員会は、二十八年一月二十五日に開催予定。
(道・道教委 2015-09-03付)
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