道教委27年度がん教育総合支援事業推進校 新たに札幌簾舞中、天塩高は継続 保体・道徳授業や校内研も
(道・道教委 2015-09-07付)

がん教育協議会
道教委「がんの教育総合支援事業」初会合

 道教委は、二十七年度「がんの教育総合支援事業」におけるがんの教育推進校を、天塩高校と札幌市立簾舞中学校に決定した。両校では、がん治療にかかわる医療関係者や、がん経験者による講演会、保健体育科・道徳の時間などにおける健康や生命に関する授業、教職員対象の校内研修会、生徒や教職員向けアンケートなどを実施する。両校の取組を踏まえた『がんに関する指導参考資料』や外部指導者のリストを作成するほか、旭川市でがんの教育に関する研修会も計画している。

 国において、二十四年度から二十八年度までの五年間を対象とした新たな「がん対策推進基本計画」が閣議決定され、「がん患者を含む国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」を目指すこととしている。

 学校における健康教育の中でも、国民の二人に一人が患うとされるがんに対する知識は、国民の健康に関する基礎的な教養として必要と考えられ、文部科学省では「がんの教育総合支援事業」を前年度から推進している。

 支援事業では、学校教育全体でがんの教育を進めることで、がんに対する正しい理解とがん患者に対する認識、命の大切さの理解の深化を目指し、自らの健康を適切に管理するとともに、がん予防や早期発見につながる行動変容を促していく。

 道教委では、学識経験者や医師、学校関係者、保護者、行政関係者などからなる「がんの教育に関する連絡協議会」を立ち上げ、事業を推進。本年度は、①がんの教育推進校の取組②がんに関する指導参考資料等の作成③がんの教育に関する研修会の開催―の三つを柱とした。

 ①では、前年度から継続の天塩高校と、新たに札幌市立簾舞中学校を指定。天塩高では「がんを知り、がんを理解して、がん予防と命の大切さを学ぶ」をテーマに、がん治療にかかわる医療関係者やがん経験者による講話を行うほか、保健体育科においてがんの発生要因や予防方法について学習。グループワークや発表を通して、がんと向き合うことをイメージさせ、自分ごととして考えることをねらう。

 専門家を招いた教職員対象の校内研修会も行う。

 簾舞中は「がんに関して正しく理解し、健康と命の大切さについて主体的に考える態度を育成する」をテーマに設定。全学年を対象とした医師やがん治療経験者による講話、教職員対象の校内研修会を計画している。三年生の保健体育科において、がん予防も含めた調和のとれた生活と生活習慣、がん検診など個人の健康を守る社会の取組について学ぶほか、道徳では全学年で生命の尊さについて学習する。

 また、両校では教職員および生徒向けのアンケートも実施する。

 ②では、両校の取組を通じて、教科等の指導において使用できる参考資料をつくるほか、外部指導者として依頼できる医師等のリストも作成する。

 ③は、十二月から来年一月に旭川市で教職員や学校医、市町村教委職員、学校保健関係者、保護者などを対象に実施。専門医による講演や推進校の実践発表を予定している。

 三日に道庁別館で開かれた第一回会合=写真=では、冒頭、堀本厚健康・体育課長があいさつ。「がんに関する知識は、健康に関する国民の基礎的教養として身に付けておくべきものとなりつつある」とし、学校での教育の在り方を含め、健康教育全体の中でのがん教育をどうするか検討する大切さを指摘した。

 次いで、同協議会の委員長に道教育大学札幌校の渡部基教授、副委員長に札幌北高校の大鐘秀峰校長を選出した。

 このあと、健康・体育課の堂腰律子指導主事が前年度の取組と本年度の方向性などについて説明した。昨年度の推進校の成果として、がんに関する理解が深まり、命の大切さを知った生徒、自分や家族の生活習慣を見直す意識を高めた生徒がいたことを報告。

 文科省がことし三月にまとめた「学校におけるがん教育の在り方について」も紹介し、学校におけるがん教育を進める留意点を示した。

 最後に本年度の取組について協議した。

(道・道教委 2015-09-07付)

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