道教委が就学事務担当者等研修会 相談等の配慮事項示す 特総研の澤田氏が講演(道・道教委 2015-09-04付)
道教委は八月二十八日、道庁赤れんが庁舎で二十七年度全道市町村教委就学事務担当者等研修会を開催した。各市町村教委の担当者や各教育局特別支援教育スーパーバイザー約九十人が参加。国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員の澤田真弓氏が講演し、教育相談や就学先決定における配慮事項について助言した。
文部科学省の「早期からの教育相談・支援体制構築事業」に基づくもの。テーマは「学校教育法施行令の改正を踏まえた就学先決定の在り方について~教育相談・就学先決定の在り方を考える」。
澤田氏は、全国の児童生徒数が減少する一方、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級に在籍する子ども、通常学級で教育的支援を必要としている子どもが増加傾向にあることを提示。「低学年の学習面や行動面の問題は見えやすいが、高学年になるにつれて様々な問題が錯綜し見えにくくなる」とし、早期発見・早期支援の重要性を指摘した。
また、教育相談および就学先決定の在り方を考えるに当たり、十八年度に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」以降の日本の動きをとらえるよう呼びかけた。
二十四年七月に中央教育審議会から出された「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」の報告については、「障がいのある子どもは特別支援学校に就学する仕組みを改め、総合的な観点から就学先を決定することが適当」「市町村教委が本人と保護者に十分に情報提供し、その意見を尊重すべき」とし、教育的ニーズについて本人・保護者と市町村教委・学校が合意形成を行うよう求めた。
また、合意形成による十分な教育を行うに当たっては、「できる限り同じ場で、ともに学ぶことを目指すが、本人が授業内容を分かり、学習活動に参加している実感・達成感をもちながら充実した時間を過ごしているか、生きる力を身に付けていけるかが重要」とアドバイスした。
さらに、「成長の節目において子どもと保護者の期待と不安は大きい。丁寧に相談して子どもを中心に多様な学びの場を検討して」と求め、保護者が置かれた状態や心情を理解するよう強調。就学時に決定した学びの場は固定ではなく、子どもの発達の程度や適応状況を踏まえて就学先を変更できることも述べた。
「障がいの有無や原因を見つけるのではなく、保護者の悩みを受け止めるべき。教育相談ではその後の適切な教育・支援のための方向性を話し合って」と要望し、相談を受ける人の専門性の向上と研修の大切さについてもふれた。
このほか、文科省で行ってきた研究や調査結果を示し、「道教委が本年度作成した〝校内研修プログラム〟は全国的にも先進的なもの。各校で工夫して活用してほしい」と呼びかけていた。
講演後には、「早期からの教育相談・支援体制の構築に向けて」をテーマにグループ協議を行った。
(道・道教委 2015-09-04付)
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