代表高校長研で道教委が所管事項説明(下) いじめ防止へ取組徹底 生徒との信頼構築へ努力求める
(道・道教委 2015-10-22付)

 道教委主催の二十七年度第三回全道代表高校長研究協議会(九日、道庁赤れんが庁舎)における各課等所管事項の説明概要はつぎのとおり。

◆学校教育局参事(生徒指導・学校安全)

【生徒指導】

▼児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果

 二十六年度の道内公立高校(札幌市立学校含む)の状況は、暴力行為が対前年度比十九件減の二百二十八件、不登校が百二十五人減の八百五十六人、中途退学が二百九十九人減の一千四百六十五人。

 いじめの状況については、文部科学省からの依頼によって、各学校において見直しをしていただいた。調査結果は、十月末を目途に公表予定。

 暴力行為、不登校および中途退学のいずれも前年度に比べ減少し、改善の傾向にあるものの、依然として多くの生徒が問題を抱えていることから、各学校においては、問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応の取組を一層充実していただきたい。

▼いじめの防止等

 過日、岩手県矢巾町において、中学生がいじめの疑いによって自殺する事案が発生した。

 本事案を受け、二十七年七月十日付教生学第三六一号学校教育局参事(生徒指導・学校安全)通知を発出した。

 文部科学省は、各学校に対し、いじめ防止対策推進法に基づく組織的な対応にかかる点検を求める通知を二十七年八月四日付で発出した。

 各学校においては、文部科学省通知に記載されている項目を点検し、必要に応じ学校いじめ防止基本方針を見直す等の措置を講ずるとともに、つぎに示す重点事項を踏まえ、いじめの問題に対する取組を徹底していただきたい。

▽重点事項

・学校は、いじめの問題に迅速に対応するためには、いじめの早期発見が不可欠であることから、児童生徒のささいな変化・兆候であっても、いじめとの関連を常に考慮して、早い段階からかかわりをもち、いじめを看過したり軽視したりすることなく、いじめの認知に努めること。

・学校は、日ごろから児童生徒とのふれあいや、児童生徒と教職員との信頼関係の構築に努め、児童生徒への定期的なアンケート調査や教育相談の実施等によって、児童生徒がいじめを訴えやすい環境を整え、いじめの実態把握に努めること。

・学校は、いじめの発見・通報を受けた場合には、特定の教職員が問題を抱え込むことなく、迅速に組織的に対応し、いじめを受けた児童生徒を守り通すとともに、いじめを行った児童生徒に対しては、教育的配慮のもと、毅然とした態度で指導すること。

・学校は、「学校いじめ防止基本方針」をPDCAサイクルによって点検、見直しを行うとともに、学校内での情報共有や組織的な対応等について一層の改善充実を図ること。

▼被害に遭うおそれがある児童生徒の状況把握

 本年七月、連続して欠席し連絡が取れない中で、または学校外の集団とのかかわりの中で被害に遭うおそれがある児童生徒の状況を把握するための通知を発出した。

 各学校においては、本通知に基づき、「被害のおそれ」がある児童生徒がいる場合、所定の様式によって各教育局を通じて報告するとともに、早期解消に向け対応いただきたい。

▼児童生徒の生命および安全にかかわる適切な対応

 過日、大阪府内において、中学生二人が殺害される事案が発生した。

 本事案を受け、二十七年九月三日付教生学第五一六号学校教育局長通知を発出した。

 各学校においては、つぎに示す事項に留意し、PTAや青少年健全育成団体等と連携して、同様の事件の未然防止に向けた取組の充実を図っていただきたい。

▽留意事項

・児童生徒の深夜はいかいなどの問題行動等を未然に防止するために、規律ある生活に向けた指導を徹底すること。

・児童生徒が知らない人に声をかけられても気軽に近づかないことや、先生や近くの大人に知らせて一一〇番通報をしてもらうことなどについて、あらためて指導を徹底すること。

・保護者に対し、帰宅後、特に、夜間の帰宅時間の約束などを含め、規律ある生活について家庭でのルールを適切に設定するよう協力を依頼すること。また、家庭における外出時間等のルールや目安について、それらをしっかり守り、児童生徒と保護者が話し合う機会をもつよう働きかけること。

・教育委員会が警察署と締結している子どもの健全育成にかかる協定を適切に活用するなどして、児童生徒が犯罪の被害に遭わないよう、警察との一層の連携を図ること。

▼一時保護等が行われている児童生徒の指導要録にかかる適切な対応および児童虐待防止対策にかかる対応

 文部科学省は、一時保護等が行われている児童生徒および婦人保護施設に保護されている児童生徒の指導要録にかかる適切な対応等や、児童虐待防止にかかる対応を進める上での留意事項を示した通知を二十七年七月三十一日付で発出した。

 各学校においては、本通知の趣旨を踏まえ、適切に対応していただきたい。

▼二十七年度どさんこ☆子ども全道サミットおよび地区会議

▽どさんこ☆子ども全道サミット=10月24日午前9時30分、道立教育研究所(本部会場)・各管内道立学校(地区会場)

・実行委員=本部会場―石狩管内の道立高校の生徒(五人)、地区会場―各管内の道立高校の生徒(二人程度)

▽どさんこ☆子ども地区会議

・開催日は、原則として全道サミット実施後(同日開催も可)

・各教育局において決定し、道立学校および市町村教育委員会に周知

 十月三日、本部会場となる道立教育研究所にて、石狩管内の道立高校の生徒による本部実行委員と地区実行委員が参集し、協議を行う「どさんこ☆子ども全道サミット実行委員会議」を開催し、本サミットのテーマを決定するとともに、各地区会場の運営等についての協議を実施した。

 会場の借用や生徒の参加などについて、特段の配慮をいただきたい。

▼インターネット上の有害情報から青少年を守る道民フォーラム

・主催=道青少年有害情報対策実行委員会

・期日・会場=11月2日、ホテル札幌ガーデンパレス

・内容=脳科学者による講演、高校生によるスキット上演など

 教職員や保護者等の参加について、特段の配慮をいただいきたい。

▼教育カウンセリングICT活用事業

 「ほっかいどうスクールネット」を活用し、心理、福祉等の専門家と学校をインターネットでつなぎ、児童生徒や保護者、市町村教育委員会に対して指導や助言、教育相談等の支援を行う取組を本年度の新規事業として実施しており、本年八月一日から本格運用開始した。

 各学校においては、本事業を積極的に活用いただきたい。

【学校安全】

▼安全教育の充実

 各学校においては、各領域における取組の充実を図り、生徒自らが危険を予測し回避する能力の育成に努めていただくとともに、学校保健安全法および同法施行規則に基づき、学校安全計画への安全点検、安全指導および職員研修等の安全に関する事項の位置付けや、施設設備の定期的および日常的な点検の実施など、適切な対応をしていただきたい。

▽生活安全=生徒が犯罪被害から自ら身を守ることができるよう、警察等の関係機関と連携した防犯教室および防犯訓練の実施

▽交通安全=自転車事故の加害者にならないことなど、社会の一員としての自覚と社会的責任の意識を高める指導を含め、警察など地域の関係機関・団体等と連携し、生徒が体験的な活動を行う交通安全教育の実施

▽災害安全=自らの安全の確保はもとより、友人や家族、地域社会の人々の安全にも貢献することができるよう、地震や津波などの発生を想定した防災訓練の実施

▼児童生徒の交通事故防止

 これからの時期は日没も早まり、夕暮れ時と夜間の自転車運転中の事故防止に一層留意する必要がある。

 各学校においては、つぎの事項について、あらためて指導するなど、交通事故防止に向けて指導を徹底していただきたい。

・信号機や交通標識のある交差点では信号や標識に従うことや、信号機や交通標識のない交差点でも一時停止を行い、周囲に危険な状況がないかよく観察して、安全確認を行うこと。

・夕暮れ時や夜間に運転する自転車の存在を周囲に知らせるライト、夜行反射材が装備されているか点検するとともに、夕暮れ時にはライトの早めの点灯を行うこと。

【非行事故および一般事故】

▼道内公立高校(札幌市立を除く)における非行事故(速報)の状況

 二十七年度の非行事故は、九月三十日現在報告分で、対前年度比六件減の三十六件。

 窃盗などによる逮捕事案や家出が発生している。

 各学校においては、生徒指導・教育相談体制の工夫改善に取り組んでいただきたい。

▼道内公立高校(札幌市立を除く)における一般事故および交通事故死(速報)の状況

 九月三十日現在報告分で、二十七年度の一般事故は、対前年度比二人増の二人、交通事故は、四人増の四人となっている。

◆新しい高校づくり推進室

【新しい高校づくり等】

▼新しいタイプの高校

 生徒の興味・関心、進路希望等に応じた幅広い科目の開設、習熟度別指導やチーム・ティーチングによるきめ細かな学習指導の充実を図るとともに、教育課程編成がそれぞれのタイプの趣旨を踏まえ、対外的に説明責任を果たせるものとなっているか、点検していただきたい。

 ホームページや学校だよりの内容を、中学生や保護者にとって分かりやすいものにするなど、情報発信の一層の充実を図っていただきたい。

▼地域キャンパス校とセンター校の連携

 両校で組織する連携委員会を効果的に機能させ、課題解決を図るなど、実効性のある取組を推進していただきたい。

 二十七年六月一日付教改第二三号によって、一定の条件のもと、遠隔授業で単位認定することが可能である旨通知していることから、積極的に遠隔授業を実施していただきたい。

▼遠隔授業にかかる研究開発等

 本年度、新たなツールとして導入した手元用ハンディカメラやタブレットの活用方法等についての研究を推進している。

 受信側のサポート教員が手元用ハンディカメラで撮った画像を、送信側の教員が活用することによって、生徒の学習状況を的確に把握でき、評価が充実するなどの成果がある。

▼小規模総合学科等の新たな魅力づくり推進事業

 本年度、総合学科八校、普通科単位制二校、中高一貫教育校二校で事業を実施。eラーニングシステムによって、大学と連携して教科指導等の充実を図るなど、学校の状況に応じた取組を推進している。指定校においては、事業の成果を積極的に発信していただきたい。

▼道立高校間連携

 本年度、現在七組十四校で実施。年間を通じて、教員を派遣し合うなど、相互の教育課程の維持充実を図る取組を推進している。各学校においては、積極的に活用していただきたい。

▼中学校との連携

 地域の教育資源を生かした幼小中高による教育活動の連携などを掲載した取組事例集を配布。本事例集を参考にしながら、中学校等と連携した取組の充実を図っていただきたい。

教育政策課

【校務支援システム】

 高校長協会の代表および高校の教諭等で構成される校務支援システム改善検討委員会を立ち上げ、校務支援システムの他府県での活用事例等の調査や比較を行いながら検討を進めている。

 『校務支援システムだより』等を通じて、効果的な活用事例や過去にヘルプデスクに照会のあった内容とその回答などを発信していくので、各学校において、有効に校務支援システムを活用いただきたい。

教職員課

【地方公務員法の改正に伴う学校職員評価制度の見直し】

 道教委では、二十年度から学校職員にかかる評価制度を導入し実施してきたが、このたびの法改正に伴い、これまでの評価制度を見直し、学校職員の資質能力の向上等に加え、職制上の段階に応じて求められる能力を定めた「標準職務遂行能力」を策定し、評価基準の明示や評価結果の開示などによって、客観性等を確保した人事評価を実施し、その結果を任用、給与、分限等に活用する準備を進めている。

 新たな評価制度の導入に当たっては、抽出によるモデル的な実施の準備を進めており、二十八年四月からの実施に向け、円滑な制度運営ができるよう取り組むとともに、今後、機会をとらえて情報提供する。

【仕事と子育て・介護の両立】

 二十七年四月三十日付で「道教委 職員子育て支援行動計画(第三期道教委特定事業主行動計画)」を策定し、通知した。本計画では、子育てに関し、管理職員をはじめとする全職員の意識改革を図ることを重視するとともに、職員の長時間勤務に対する意識の改革など、働き方そのものの見直しにつながる取組を推進することとしている。

 本計画の取組に当たり、八月四日付で、普及啓発リーフレットの作成、子育て支援相談窓口の設置、セルフチェックシートの作成について通知し、八月十四日付で、職員のための子育てサポートブック、職員のための子育てサポートQ&A、子育て職員への対応マニュアル(管理職用)の改訂版をそれぞれ作成し、各学校あてに送付した。

 各学校においては、まず、管理職員が本計画や先日送付した『子育て職員への対応マニュアル(管理職用)』等によって理解を深めるとともに、機会あるごとに所属職員に本計画について周知し、積極的に取り組んでいただきたい。

 介護に関する制度については、二十六年十月十四日付「家族の介護にかかる制度について」を発出した。各学校においては、機会あるごとに、所属職員に制度の周知を図るとともに、事務処理に当たっては適切に取り扱っていただきたい。

【セクシュアル・ハラスメントおよびパワー・ハラスメントの防止】

 パワー・ハラスメントについては、昨年度、道の役付職員が、部下職員に対し、業務を遂行する中で、自尊心を傷つけるような不適切な言動を繰り返したことによって、戒告処分となる事例があり、また、道教委においても、過去に道立学校の管理職における懲戒処分事例がある。

 セクシュアル・ハラスメントおよびパワー・ハラスメントの防止については、職員がその能力を十分に発揮できるような良好な執務環境づくりを推進するため、防止に関する指針を施行し、各学校で取り組んでいただいているが、これらの指針を参考に、セクハラ、パワハラに対する正しい認識をもった上で、自らの言動や部下職員の言動が、セクハラ、パワハラに該当しないか十分注意を払い、未然防止に努めていただきたい。

【教職員の不祥事防止】

 本年度は、九月末日現在で、すでに懲戒免職が四件、また、管理職による処分事案が四件となっている。また、先月から今月にかけて、中学校の事務職員が児童買春の疑いで逮捕されたほか、中学校教諭が女子中学生のスカート内を盗撮した疑いで逮捕された事故や、職員を管理監督する立場になる道立学校長が、運転免許の取消処分を受けていたにもかかわらず、無免許運転を続けていた事故、小学校長が車検の切れた自家用車を運転して起こした死亡事故が発生するなど、教職員による重大な不祥事が後を絶たない状況になっている。

 学校教育においては、児童生徒や保護者の学校や教員に対する信頼が重要であり、今後とも、より一層危機感をもって、教職員の不祥事防止と再発防止に向けた効果的な取組を学校全体で進め、教職員の服務規律の保持に厳正を期していただきたい。

 体罰についても、依然として後を絶たない状況にあり、さらに、先月には小学校長による体罰が保護者からの連絡によって発覚していることなどから、不祥事防止に向けた取組と併せて、事故の速やかな把握と報告に向けた校内体制の点検・整備に努めていただきたい。

道立教育研究所

【研修事業】

 十月以降の研修講座について、積極的な参加について呼びかけていただきたい。

 教職研修として、一月十二日から十四日まで、学校と教育局が連携を図り、人材育成を行うことをねらいとした「ミドルリーダー養成B研修講座」を実施する。

 特別研修として、一月八日に、北方領土に関する教育を中心に取り扱う「北海道への愛着を育むふるさと教育A」と、アイヌの人たちの歴史や文化等に関する教育を中心に取り扱う「北海道への愛着を育むふるさと教育B」を実施する。

 教科指導等の研修として、「地理歴史科・公民科教育研修講座」および「総合的な学習の時間研修講座」、「キャリア教育研修講座」にかかるリーフレットを配布する。

【研究事業】

 「小・中・高校における〝活用力〟の育成に資する学習指導に関する研究」として、本年度から三ヵ年計画で研究を行う。

 全国学力・学習状況調査、道高校学力等実態調査等の結果から課題が明らかになった「基礎的な知識・技能を活用して問題を解く力」を確実に定着させるための授業改善の在り方を明らかにし、その成果を全道に普及・啓発していくことを目的としている。

(道・道教委 2015-10-22付)

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