教材・支援機器等研修会開く 活用に関する知識習得 特総研・特セン―講義・演習・展示など
(道・道教委 2015-10-22付)

特別支援教育教材・支援機器等研修会
特別支援教育教材・支援機器等研修会

 「インクルーシブ教育システム構築における合理的配慮と教材・支援機器の活用」をテーマとした特別支援教育教材・支援機器等研修会が十月初旬、道立特別支援教育センターで開かれた=写真=。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所・道立特別支援教育センター主催。小・中学校、特別支援学校の教諭など四十七人が参加。講義やICTの活用についての演習、教材・支援機器の展示などを通して、特別支援教育における教材・支援機器等のさらなる活用促進と実践力や専門性の向上を図った。

 障害者制度改革の流れの中で、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の充実が求められている。国立特別支援教育総合研究所は「支援機器等教材普及促進事業」を実施し、障害の状態や特性などに応じた教材、支援機器等活用の様々な取組の情報などを集約管理・データベース化し、特別支援教育教材ポータルサイトの構築を通して、情報の共有、提供を行っている。

 道立特別支援教育センターでは、二十六年度に「特別支援教育における支援機器を活用した言語活動の充実に関する研究~肢体不自由教育における支援機器の活用による授業の改善・充実」の研究に着手。研究成果を基盤に、各校におけるICTなどの支援機器活用の充実に向けた取組を進めている。

 研修会は、これらの事業の取組や支援機器等の活用に関する知識を習得する機会として実施。小・中学校、特別支援学校の教諭など四十七人が参加した。

 開会式では主催者を代表して、特総研の新平鎮博上席総括研究員と特センの木村宣孝所長があいさつ。

 新平上席総括研究員は、特総研が実施している支援機器等教材普及促進事業について説明。その上で、ICTの活用について、「ICTを使うことが目的ではなく、子どもたちが学ぶことが目的なので、その目標を見失わないようにして」と指摘。「今後、インクルーシブ教育システムを構築していく上で、個々の子どもに応じた配慮をお願いしたい」と呼びかけた。

 木村所長は「共生社会の実現を目指し、インクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育を推進するためには、合理的配慮の提供が必要とされ、その基礎となる環境整備の一つとして、デジタル教材やICT機器等の利用など、一人ひとりの状態に応じた教材などの活用の重要性が示されている」と指摘。「多くの情報にふれ、子どもたちの主体的な活動につながる指導・支援のヒントを見つけて」と述べ、研修会の成果に期待を込めた。

 研修に移り、はじめに、特総研の松原誠之総務部長が「特総研の事業」について説明。続いて、特総研の新谷洋介研究員が「支援機器の活用に関する現状と課題およびポータルサイトの活用」をテーマに講義や、特別支援教育教材ポータルサイトを活用した演習を実施した。

 このあと、特センの肢体不自由・病弱教育室の津川周一室長が「特セン研究成果報告」と題して講義した。

 終了後、ランチタイムセッションとして、特総研の新平上席総括研究員、金森克浩総括研究員、新谷研究員、西村崇宏研究員が講師を務め、ICT等の支援機器の展示を行うとともに、デモンストレーションを展開。

 また、島根県松江市立意東小・井上賞子教諭、道高等聾・桑原一哲教諭、札幌市立北翔養護・大塚友美教諭、札幌市立北九条小・村井めぐみ教諭が、発達や障がいの状態に応じた実践についてポスター発表した。

 最後に、「支援機器の活用のさらなる充実に向けた取組」をテーマにトークセッション。金森総括研究員を助言者に迎え、井上教諭、札幌視覚支援・中谷薫教諭、札幌養護・郡司竜平教諭が事例発表を行った。

(道・道教委 2015-10-22付)

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