代表高校長研で道教委が所管事項説明(中) スマホ使用時間縮減を推進 啓発資料活用し適切に指導
(道・道教委 2015-10-21付)

 道教委主催の二十七年度第三回全道代表高校長研究協議会(九日、道庁赤れんが庁舎)における各課等所管事項の説明概要はつぎのとおり。

◆高校教育課

【進路指導】

▼二十八年三月新規高校卒業予定者の求人・求職状況(八月末現在、道労働局調査)

 求職者数は、前年同期比三十四人減の八千八百四十六人、道内求人数は、二千十三人増の一万一千五百九十二人、道内求人倍率は、〇・二三ポイント増の一・三一倍。

▼就職を希望する生徒への支援

 道教委では、本年六月および七月、高校生の就職支援のため、高校教育課が経済団体への求人要請を実施した。十月にも実施する予定。

 各学校においては、進路指導担当者による企業訪問のさらなる拡大や、各教育局に配置している進路相談員を一層活用するなど、きめ細かく指導いただきたい。

 就職先の検討の際には、企業の業務内容だけではなく、勤務条件などについても本人および保護者に十分に確認させるとともに、就職試験や公務員試験等への応募や申込については、手続等に遺漏のないよう進めていただきたい。

 「高校就職促進マッチング事業」では、本年度も企業や業種に対する理解促進を図る「企業見学会」を実施回数などを拡大して実施。各学校においては、生徒および保護者に積極的な参加を働きかけていただきたい。

 ハローワークが実施する「新規高卒者対象の就職面接会」や、ジョブカフェ北海道が実施する「就職セミナー」などが、十~十一月にかけて、全道十一会場で開催される予定。各学校においては、就職を希望する生徒に対して積極的に参加を働きかけていただきたい。

▼二十八年三月高校卒業予定者の就職状況に関する調査

 本調査については、例年どおり九月末から実施しているが、調査方法について、文部科学省の留意事項に基づき、昨年度から十月末以降の調査時点で管内、道内、道外の希望地域に変更があった場合でも、九月末時点での希望地域を変更せずに記入するよう改めているので、留意いただきたい。

▼労働法教育の推進

 道教委では、『働く若者ルールブック』の配布をはじめ、知事部局と連携し、弁護士や社会保険労務士による労働環境の現状や法律上の基礎知識に関する講義を行う「高校生等労働教育啓発事業」を実施するとともに、各学校に対し、道労働局が実施する「労働関係法規等の講義」にかかる情報提供を行ってきている。

 十一月に各教育局に配置している進路相談員に対して、各学校において、面談や講話などを行う際、労働に関する教育についての内容の充実が図られるよう、労働法にかかわる内容を取り入れた研修を実施する。

 各学校においては、進路相談員による講演を実施したり、『働く若者ルールブック』や道労働局等が実施しているワークルールに関する出前講座等を活用したりするなどして、労働に関する教育についての内容の充実を図っていただきたい。

▼中途退学者の支援

 昨年六月から、中途退学者を対象とした就職や学び直しについて、高校教育課のホームページに掲載している。

 各学校においては、ホームページの中途退学者への紹介のほか、就職等の実態把握や進路相談の実施の取組を進めるなど、中途退学者に対する支援の充実に努めていただきたい。

▼インターンシップの充実

 インターンシップについては、中等教育学校を含むすべての全日制道立高校において実施されているが、特に、普通科においては、在学中に一回以上インターンシップを経験する生徒の割合が、二十六年度調査で三九%程度にとどまっており、過去五年間、ほぼ横ばいの状況で推移している。

 普通科においては、キャリア教育の趣旨を踏まえ、昨年五月に作成・配布した『普通科における効果的なインターンシップ指導事例集』を活用するなどして、一人でも多くの生徒が体験できるよう、実施期間や回数を拡大するなど、内容を一層充実させていただきたい。

▼早期離職の防止

 道労働局の調査によると、道内の新規高卒者が卒業後三年の間に離職する割合は、約五〇%であり、全国平均と比較すると一〇ポイント程度高い状況。

 離職の要因としては、道の調査によると、給料や労働条件にかかわるものを除き、「人間関係」や「仕事へのやりがい」等が挙げられている。

 各学校においては、コミュニケーション能力の育成や、自分の能力・適性、職業に対する理解の深化を図るため、入学当初から計画的に行う進路相談会の開催はもとより、地域の職業人を講師とする職業講話や進路ガイダンスを実施するなど、地域や企業等との連携を深めた取組の一層の充実を図っていただきたい。

【ガス溶接技能講習】

 先日、道内の私立高校が、本講習における学科講習が規定の時間を満たしていなかったとして、道労働局から二ヵ月間の講習の業務停止を命じられた。

 道立学校では、特別支援学校一校を含む十五校において本講習が実施されていることから、関係校においては、講習の実施内容等をあらためて確認するとともに、今後とも、厚生労働省が定める基準等に基づき、本講習を実施するよう留意いただきたい。

【修学旅行等】

 九月に鹿児島県の桜島や熊本県の阿蘇山が噴火するなど、依然として各地で活発な火山活動が続いており、道内では、雄阿寒岳が引き続き噴火警戒レベル対象火山となっている。

 これからの季節、宿泊研修においてハイキングやスキーなどを計画している学校もあるが、山岳部等の部活動を含め、自然環境のもとで行われる教育活動については、こうした自然災害のほか、天候や地理的、地形的な条件の影響による不測の事故が発生する可能性が高いことを踏まえ、参加する児童生徒の安全確保について細心の注意を払うこと。

 二十六年十二月十八日付教高第一四四四号通知「自然環境のもとで行われる教育活動における事故防止について」を参照し、自校における「安全に配慮した活動計画の作成」や「安全指導の徹底」等に留意し、危機管理体制の一層の充実を図っていただきたい。

【スマホの使用にかかる指導】

 各学校においては、二十七年三月三十日付教高第二一一五号通知「高校生のスマートフォン等の使用に対する指導について」に基づき、生徒による主体的な取組を推進するとともに、二十七年七月十七日付事務連絡「高校生のスマートフォン等の使用に対する指導について」で送付した保護者・生徒向けの資料を活用するなどして、スマートフォンの使用についてのルールを定めるなど、高校生のスマートフォン等の使用時間の縮減などについての取組を推進していただきたい。

【海外からの教育旅行の受入】

 国際交流部局等と連携し、道内への教育旅行を希望する海外の学校の情報を各学校に情報提供するとともに、受け入れた学校の成果を高校教育課のホームページに掲載する。

【授業料の未納対策】

 授業料の未納については、道立学校授業料等未納対策事務取扱要領等に基づき、適切に対応いただきたい。

【さけ・ます流し網漁業の操業禁止に伴う生徒の家庭状況の急変】

 来年の一月からロシア連邦の二百カイリ水域において、日本の漁業者も流し網漁業の操業を行うことができなくなるため、生徒の家庭状況が急変する場合が想定される。

 家計が急変となった場合には、経済的支援として、奨学金の緊急採用を受け付けることが可能なほか、高校等就学支援金の未支給者にあっては、授業料免除の申請をすることが可能。

 奨学金については、各学校を通じて公益財団法人道高校奨学会への申請となるが、授業料免除の申請は各学校への申請となるので、周知いただきたい。

◆特別支援教育課

【後期中等教育段階における特別支援教育に関する検討委員会】

▼第二回会議(8月31日実施)

▽検討テーマ「インクルーシブ教育システムの構築」

▽主な意見(議事録は、特別支援教育課のホームページに掲載)

・高校においても、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校など多様な学びの場が必要である。

・多様な学びの場を整備していく上で、生徒や保護者への理解啓発、教職員の専門性の向上が重要となる。

▼第三回検討委員会(1月実施予定)

▽検討テーマ「教職員の専門性向上の取組」

【高校における校内研修プログラムの活用】

▼高校における主な活用例

〈A校〉

▽取組内容

 教育局のスーパーバイザー(教育局SV)を講師に、「校内研修プログラム」の活用について打ち合わせた。

 教育局SVを講師に、全教職員が、研修シート「発達障がいの特性の理解」「教師の言葉がけ」「授業づくり」を活用し、演習を行った。

▽成果(教員の反応等)

 教員が生徒に対し、意識して肯定的な言葉がけをするようになってきた。

 今後は、授業改善を進めていく。

〈B校〉

▽取組内容

 特別支援学校の校長を講師に、特別支援教育の研修を行った。

 視覚支援などの効果的な取組を、教職員全員で共有した。

 道教委主催の「特別支援教育充実セミナー」に特別支援教育コーディネーターが参加し、その内容を教職員に知らせた。

▽成果(教員の反応等)

 担当教員がスケジュールの提示等の視覚支援を行うことによって、生徒が落ち着いてきた。

 今後は、「校内研修プログラム」を活用した校内研修を行っていく。

▼確実な校内研修の実施

 各学校においては、教育局SVや特別支援学校教諭を講師とするなどして、「校内研修プログラム」の研修シートの一部を活用し、特別支援教育についての基本的な理解を進める校内研修を行っていただきたい。

◆健康・体育課

【学習指導要領の適切な実施】

 「体つくり運動」と「体育理論」の領域については、各年次において、すべての生徒に定められた時数を履修させることや、生徒が領域を選択して履修することなど、学習指導要領に示された履修の要件を満たした年間指導計画を作成する必要がある。

【体育活動中の事故防止】

 秋のスポーツシーズンを迎え、学校においては、マラソン大会や強歩遠足などの行事をはじめ、運動部活動など体育活動が盛んに行われる時期。

 各学校においては、『学校体育活動中における事故防止の手引~学校安全推進資料改訂版』(二十一年三月道教委)や、関係通知等を参考にし、事故防止の一層の徹底を図っていただきたい。

 学校の教育活動の一環として行われる運動部活動においては、二十五年五月に文部科学省が作成した『運動部活動での指導のガイドライン』に示されている運動部活動の方向性と道筋、方策を踏まえ、スポーツの技能等の向上のみならず、生徒の人間形成につながるということを踏まえ、適切な指導体制による効果的、計画的な指導を行っていただきたい。

【授業実践セミナー(保健体育)】

 スペシャリストおよび会場校の選定に当たって、理解と協力をいただいていることに感謝する。今後は、当日の会場の提供や講師となるスペシャリストの派遣および教員の参加について、配慮いただきたい。

 授業実践セミナーについては、実践的な研修によって、例年参加者の満足度が非常に高い研修であり、保健体育科の教員の指導力の向上を図る貴重な機会となっていることから、特に、近隣で開催される場合は、教員の積極的な参加について配慮いただきたい。

▽各ブロックの開催予定

・道央=10月23日、北広島高校

・道南=11月中旬、函館中部高校

・道北=11月下旬、上川合同庁舎

・道東=11月上旬、釧路江南高校

【スポーツ事故防止対策推進事業】

 文部科学省が日本スポーツ振興センターに委託して全国六ヵ所で実施する事業である。本年度は、二十七年九月八日付教健体第五五九号で通知したとおり、二十八年一月八日に札幌コンベンションセンターで開催される。

 学校における体育活動中の重篤な事故を防止するため、その発生原因や背景についての実地調査をもとに分析・研究し、その成果を広く関係者で共有する内容であることから、学校体育や運動部活動にかかわる教員の札幌会場への参加について配慮いただきたい。

【献血制度等にかかる教職員等研修会】

 道保健福祉部や日本赤十字社と連携し、科目「保健」での指導の充実を図るとともに、小・中・高校での献血についての正しい知識の普及啓発を促進するため、教職員等を対象とした研修会を石狩・上川・渡島・胆振・釧路で開催する。

 十月から十二月までに半日日程で開催することとしている。日程などが決まり次第、お知らせするので、協力いただきたい。

【学校におけるアレルギー疾患への対応】

 学校におけるアレルギー疾患をもつ生徒への対応については、医学的根拠に基づき、安全・確実で効果的な方法で実施する必要がある。

 このため、食物アレルギーに限らず、生徒にアナフィラキシーのような重篤な症状が想定され、保護者が学校における特別な配慮や管理を希望する場合には、主治医の診断に基づき作成される「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を用いて、保護者と学校が実際の取組に必要なアレルギー疾患に関する情報を的確に把握する必要がある。

 高校は、学校給食のない学校が多いが、食物・食材を扱う授業や宿泊を伴う行事等があるので、道教委が作成・配布した『学校における食物アレルギー対応の進め方』を参考に、保健調査や健康診断等においてアレルギー疾患を有する生徒を把握し、生徒や保護者と個別の面談等を行い、保護者が学校における配慮を求めた場合には、保護者に「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」の提出を求め、医師の指示に基づく保護者と学校の共通理解の得られた取組を行っていただきたい。

【学校保健総合支援事業】

 道教委では、二十四年度から文部科学省の委託を受け、学校、家庭、関係機関の代表者からなる協議会を設置し、生徒の現代的な健康課題を解決するための取組を行っている。本事業では、アレルギー、性、薬物、心の健康問題など生徒の心身の健康課題に対応するため、各学校等に地域の専門医などの派遣を行うことができる。

 各学校には、教育局から通知され、すでに申込の期日は過ぎているが、まだ若干派遣が可能な状況にある。本年度からは、校内研修のみならず、生徒向けの講演会にも講師を派遣できるので、追加で活用を希望する場合には、教育局へ相談していただきたい。

(道・道教委 2015-10-21付)

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