異業種体験で成長実感!札幌市教委長期社会体験研修参加者に聞く コンサドーレ札幌で~北都小・五十嵐教諭
(市町村 2015-10-23付)

教員長期社会体験研フットボール
教員長期社会体験研フットボール

 札幌市教委が実施している長期社会体験研修。本年度は、北都小学校の五十嵐由理教諭、厚別東小学校の岩井理美教諭の二人が六ヵ月間にわたり、㈱北海道フットボールクラブ、イトーヨーカドー・アリオ札幌店と、異業種で研修してきた。教職では得られない経験を積み、十月からの学校現場での活動に生かしている。

 日本プロサッカーリーグ・Jリーグ一部昇格を目指し、奮闘を続けるプロサッカークラブ・コンサドーレ札幌。サッカーだけにとどまらず、ホームタウン活動として、監督や選手、クラブマスコットのドーレくんが地域行事へ参加するほか、幼稚園・学校訪問、スポーツ振興や環境保護活動などを展開。子どもたちの健やかな成長や地域の活性化につながる取組を行っている。五十嵐教諭は、運営会社である㈱北海道フットボールクラブのホームタウングループで、裏方として屋台骨を支える仕事に従事した。

 研修初日はホームゲームで、ミーティングや運営の準備などに参加した。午後七時の試合開始に向け、午前十時に集合して丸一日かけて準備。会場設営など一連の流れを経験し、「こんな風にプロの試合が始まるのか」と驚いたという。

 研修では、主に幼稚園・学校訪問や、スポンサーのイベントに参加するドーレくん・選手のアテンドのほか、ホームゲームの設営、チャリティーオークションの景品の発送業務、試合のスケジュールポスターを各方面に配達するなど、いろいろな仕事をこなした。

 仕事の中心となったアテンドでは、申し込みのあった幼稚園や学校に、予定日の二・三週間前に訪問。当日の流れを伝え、内容について相談した。三十~四十分のスケジュールの中で駐車スペースから会場までどこを通るのかなど、ドーレくんや選手の動線確保を考え、その際に学校に依頼するなど綿密な打ち合わせを重ねた。

 ドーレくんが子どもにプレゼントを渡すためにサポートするなど、ドーレくんがスムーズに動くことのできる環境を整えることが大変だったという。「タイムスケジュールの管理や安全確保なども考えなくてはいけない。一つのことが気になって、周りが見えないこともあった。全体のことを見ながら、一部分に目を向けるのに慣れるのが大変で、何度も一人反省会を開いていました」と振り返る。

 学校訪問の際、子どもにどう働きかけるのか、先生方にどんな協力をもらうのかなど、教員の経験そのものを生かし、スムーズに仕事を進め、子どもたちとふれあってきた。

 そのきびきびとした姿は子どもたちの印象に残り、ホームゲームでブースを担当していたときに声をかけられることがあった。「学校に来てくれた人?」「きょうは試合を見に来たよ!」「この間来てくれた選手は出場するの?」と話しかけられたという。「私が“後半に出番があるかも”と伝えると、“頑張って応援します!“と話してくれた。試合後も〝勝ってよかった!〟とわざわざ私のところに来てくれた」と笑顔で振り返る。「ドーレくんや選手が訪問するなどコツコツと仕事を積み重ねて、チームへの愛着や選手を身近に感じ、その選手を気にして試合を見に来てくれる。浸透するまで時間がかかる仕事だが、きちんと結果が出ることがうれしい」と、仕事の成果をかみしめていた。

 チケットの売上など、金額や数字で結果が求められるシビアな世界。学校現場との違いを感じながらも、「コンサドーレ札幌では、チームを育てるためにどういう方面からアプローチをするのか、仕事と仕事のつながりを考え、いかに愛されるチームをつくり上げるかなど、目標に向かっていろいろな方面に分かれて仕事をしている。学校現場では子どもをどうやって育てるか、何を育てるかという目標に向かうこと、人と人とのつながりを大切にして仕事をするなど、形態は変わらないと感じた」という。

 六ヵ月間の研修を通して、「教員とは違う仕事を体験して、社会の仕組みや仕事の中身が分かるなど、いろいろなことを学んだ」と振り返る。「子どもたちにもいろいろなことを体験してもらい、自分自身を見つめ直して、将来に向けた大きな目標をもってほしい」と期待する。

 今月からは学校現場に戻り、教壇に立っている。学校訪問で選手のアテンドをした際、ある選手は子どもたちに向かって、「やりたいこともいっぱいあったけど、その前にやらなきゃいけないことをきちんとこなした。遊びたかったけど、もっとサッカーがうまくなりたいから一生懸命練習した」「夢はやらなきゃいけないことの向こう側にある」と語りかけたという。「努力してプロサッカー選手になった人の重みのある言葉。頑張る気持ち、やり遂げる気持ちを子どもたちに伝えたい」。

(市町村 2015-10-23付)

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