異業種体験で成長実感!札幌市教委長期社会体験研修参加者に聞く アリオ札幌店で~厚別東小・岩井教諭(市町村 2015-10-23付)
教委長期社会体験研アリオ札幌
札幌市教委が実施している長期社会体験研修。本年度は、北都小学校の五十嵐由理教諭、厚別東小学校の岩井理美教諭の二人が六ヵ月間にわたり、㈱北海道フットボールクラブ、イトーヨーカドー・アリオ札幌店と、異業種で研修してきた。教職では得られない経験を積み、十月からの学校現場での活動に生かしている。
昨年、教職経験者研究協議会Ⅰに参加した。協議会では、同研修の参加者が具体的な研修内容や成果を話す場面があり、これらを耳にしたことで、「学校と違う環境で働くことが、自分自身の視野を広げることにつながる」と確信し応募した。
ことし四月から九月までの半年間、イトーヨーカドー・アリオ札幌店での研修に身を置いた。五月末までの二ヵ月間、店内にある商品を老人ホームなどに運び、販売する外販部に所属した。
商品の選定では、「何が売れるのか」「何を持っていくと、入所者に喜ばれるのか」を常に考えたという。施設のルールで販売できないものもあり、買い物で使用できる金額が制限されている入所者もいるため、すべての入所者の要望に応えられない場面もあったが、自分で選んだ商品を入所者に紹介することも。「用意した商品を実際に買ってもらえたこと、ほしかったものを購入して喜ぶ入所者の姿を直接見ることができたことは、とてもうれしい思い出」とほほ笑む。
六月と七月の二ヵ月間は、日用品やペット用品、食器などを扱うハウスキーピング部で研修。洗剤やキッチン用品等の日用品担当者として、品出しや特売品売り場の設営などに従事した。
大量の商品を段ボールごと売り場に運んで行う品出しは、力仕事も含んでいたため大変だったが、メーカーによる商品の違いなどの知識習得につながった。
配属当初は、「買い物客から商品について質問されても答えられず、教育担当のパート従業員や社員にその都度確認していた」と振り返る。品出しを通して知識を得ることで、状況は徐々に改善。お買い得品の情報など、客にとって有益な情報と合わせて伝えられるようになり、スムーズな対応ができるようになった。
八月から受けもったサービスカウンターでは、セルフ式ドリップコーヒーやたばこ等を販売。購入した商品を客に代わり自宅まで配送するポーターサービスの受付や、購入された商品のラッピングなども担当した。このほか、客や店内からの問い合わせ対応、各売り場や専門店と連絡を取り合いながらの客対応なども行った。
客への対応では、カウンター業務が多岐にわたるため、「カウンターで扱っている商品の購入なのか」「注文商品の引き取りなのか」「落し物を届けに来たのか」など、問い合わせの目的を的確・迅速に把握することを心がけた。
また、教師として、いろいろな子どもから意見を引き出すことに尽力してきた経験が、「店を訪れた子どもと接する様々な場面で生きた」という。対象商品の購入者にノベルティとしてプレゼントしているキャラクターグッズを受け取りに子どもが来たり、迷子が連れて来られたりもした。迷子に対応する際、どのような状況で迷子になったのか、スムーズに聞き出すことができた。
学校との違いとして強く感じたのは、「売上」や「利益」などの言葉が飛び交う中、従業員もそれらを意識して働いている点。「売上や利益に視点を定め、月次や日次などの短い期間ごとに結果を積み重ねる小売店のアプローチは新鮮だった」と話す。
各店舗で今後の方針などを決定するだけではなく、本社からの指示によって現場が動くこともあった。組織内での指示系統という部分では、教育現場との共通点を感じると同時に、その重要性をあらためて実感した。
初めて経験する業務を通して、「自分自身と向き合い、人とのコミュニケーションをとることが好きな自分をあらためて感じ、今まで知らなかった得手不得手を発見できた」と、充実した表情を浮かべた。
「従業員の中には、保護者や地域関係者として学校にかかわる人たちもいる。その人たちとの会話を通して得た客観的な視点を生かして、人とかかわる楽しさを子どもたちに伝えていきたい」と、気持ちを新たにしていた。
(市町村 2015-10-23付)
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