未来を創造する力育成へ　道中理が函館で第５４回研究大会開催

（関係団体 2015-10-23付）

第５４回道中学校理科研究函館大会

　【函館発】第五十四回道中学校理科教育研究会函館大会が十六日、函館市立深堀中学校で開催された＝写真＝。関係者約二百三十人が参加。研究主題「自然と人間との調和をめざし、未来を創造する力を育む理科教育」のもと、三人の教諭が生徒の好奇心を引き出し、探究心へと変える授業を公開したほか、全体会やポスターセッションなどを通じて、本道における理科教育の発展に向け協議を行い、交流を深めた。

　大会は、道中学校理科教育研究会（本間玲会長）と、函館市中学校理科教育研究会（岡野伸二会長）が主催。渡島理科教育研究会が共催し、道教委や函館市教委、道中学校長会等が後援した。

　開会式では、本間会長と岡野会長があいさつ。本間会長は「理科は、自然科学を通じて子どもたちの考える力と心を育む教科。子どもたちに自然事象に感動し、尊敬し、知りたいという意欲を育てる」と述べた上で、「理科が子どもたちに夢を与えるものになることを信じている」と、大会の成功を願った。

　岡野会長は、幕末の一八五六年（安政三年）、函館に徳川幕府直営の「諸術調所」という学問所が設立されるなど、当時の日本における最高水準の理科系の学びの場が存在していたことを紹介し、「本道における理科教育の産声を上げた街こそが函館の地。函館で大会が開催できることは実に感慨深い。参加した皆さんから多くの示唆をいただきながら、大会が理科教育の発展に少しでも寄与できれば幸い」と述べ、活発な議論、協議を呼びかけた。

　引き続き、来賓として出席した渡島教育局の辻俊行局長と函館市教委の山本真一教育長が祝辞に立った。辻局長は「理科を窓口に、他の教科にも波及する研究協議が主体的に進められることを願う」と述べた。山本教育長は「子どもの力をどのように引き出していくかという努力を汲み取って、各地に持ち帰ってほしい。大会に参加した皆さんが、それぞれの地で活躍できる〝素材〟になる」と強調。それぞれ大会の成果を期待した。

　大会では、授業公開のほか全体会において、理科教育の今日的課題の解決に向け、意見が交わされ、また、理科教師のスキルアップを意図したポスターセッションも行われた。

　大会の運営に当たった函館市理科教育研究会は、研究主題を踏まえて、研究副主題として「主体的に自然とかかわり、科学的探究能力を育む理科教育」を目標に掲げた。

　研究会ではこれまでの十年間、「科学的な思考力を伸ばす理科教育」をテーマに、直接的な体験を重視した学習展開、実生活とのかかわりをもった指導計画、コミュニケーション機能の活用、思考の振り返りの工夫、「受信・思考・発信」という学習サイクルの工夫などに取り組む活動を重ねてきた。

　その結果、理科への興味・関心の喚起、学ぶ意義や有用性の向上、自己学習の向上などにおいて、一定の成果を上げてきた。

　今大会では、これまでの成果と方向性の連携を図る副主題を設定。科学的探究能力を「問題を明らかにする、問題解決に必要な情報を収集する、仮説を立てる、仮説を検証する、結論を導くのに必要な能力」とおさえ、アクティブ・ラーニングの考え方も念頭に入れながら、授業づくりを推進してきた。

　中では、研究仮説として「直接的な体験や実生活とのかかわりを大切にした継続的な学びの中で得られる様々な知識や技能を生かしながら、主体的な探究活動を行うことで、子どもたちの思考が深められ、科学的探究能力を育むことができる」と設定。学習内容、学習方法、学習形態の三つについての工夫を研究の視点に据えた。

(関係団体 2015-10-23付)