道都市教委連・道都市教育長会28年度文教施策要望に対する道教委回答(下)(関係団体 2015-10-26付)
道都市教育委員会連絡協議会(長岡豊彦会長)、道都市教育長会(同)が六月に道教委に提出した二十八年度文教施策要望に対する回答の概要はつぎのとおり。
▼学校教育の振興充実について
(1)全国学力・学習状況調査等の学力向上策の推進
これまで道教委では、できるだけきめ細かく分かりやすい調査結果を示す観点から、報告書の内容について不断の工夫・改善を行ってきた。
昨年度は、変更された実施要領に基づき、市町村の同意を前提として、市町村名を明らかにした公表を行うこととし、教科の領域別の状況を分かりやすく示すことができるレーダーチャートを基本としつつ、市町村教委がこれまで取り組んできた施策等の成果として、教科や質問紙のデータや分析結果、今後、重点的に推進する施策等を掲載するなどの改善を加え、市町村の成果や課題が明らかになるよう工夫したところである。
道教委では、報告書と同様のデータを簡単に作成できる分析ツールを併せて提供しているので、各地域における学力向上の取組に役立てていただくよう、お願いしたい。
また、「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」については、子どもの生活リズムを整えることをねらいとしたリーフレットや本道にかかわりのあるスポーツ選手を起用したポスター、映画とタイアップしたポスターの作成・配布などに取り組んできており、今後も、多くの方々の協力を得ながら、学校・家庭・地域・行政が一体となった取組を推進していくので、支援をお願いする。
(2)小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の早期実施
道教委では、二十六年度から国が実施している「英語指導力向上事業」の研修に教員を派遣し、研修を修了した教員が英語教育推進リーダーとして、各管内における研修会で講師を務め、すべての小学校の中核教員に研修の成果を伝達・還元する取組を継続的・計画的に進めている。
今後は、校内研修において、文部科学省が作成したDVD教材をすべての小学校教員が視聴するとともに、授業実践を通しながら、なお一層、英語力・指導力の向上が図られるよう、指導・助言していきたいと考えている。
(3)就学援助の財源措置拡充
道教委では、市町村が必要な就学援助を行えるよう、補助金や交付税の財源措置の拡充についてこれまでも国に要望しておりますが、市町村の認定要件や援助項目に違いがあることから、国においてガイドラインを策定することや、生活保護基準の見直しに伴い、二十八年度以降の就学援助に影響が出ないよう財源措置することなどについての検討も含めて引き続き要望していきたいと考えている。
(4)中学校の全道大会・全国大会に対する引率教員の旅費の充実
道教委としては、昭和五十六年度から(公益財団法人)日本中学校体育連盟が主催する全国中学校体育大会にかかる引率旅費を措置してきたところであり、二十五年度からは、十人以上の生徒を引率する場合、引率者一人の加算ができるよう、改善をしたところである。
また、北海道中学校体育連盟が主催する地区大会(地域およびブロック大会も含む)にかかる引率旅費についても、二十五年度から新たに全国大会同様の措置をしてきたところである。
全道大会の引率旅費については、厳しい道の財政状況ではあるが、予算措置に向け引き続き努力していきたいと考えている。
文化的諸行事の全道大会・全国大会の部活動引率旅費については、「中学校文化連盟」の組織化の進展状況等を注視しながら、検討していきたいと考えている。
(5)生徒指導旅費等の十分な確保
生徒指導旅費については、家庭訪問や校外指導等生徒指導を行う際の旅費をいじめ関連生徒指導旅費として、一本化し、各学校が柔軟に予算執行できるように配慮している。
厳しい財政状況にあるが、引き続き、予算の確保に向け努力していきたいと考えている。
(6)校外学習指導旅費の十分な確保
各学校における校外学習指導がより円滑に実施されるよう、学校の実態の把握に努めるとともに、引き続き必要な予算の確保に努めていきたいと考えている。
(7)教職員の研究会・研修会にかかる旅費の十分な確保
教職員の研究会・研修会等への出席旅費については、これまで、自主的、創造的な研修活動や学校の研究課題にかかわる調査研究を奨励するため、「校内教職員研修促進費」を予算措置してきた。
二十四年度からは、学校の小規模化の問題に対応するため、複数の学校が合同で研修を行うことができるよう地域連携型の事業を拡充し、二十五年度においては、約二千万円の予算を増額して措置するとともに、二十六年度においては、新たに特別支援学校を対象とするなど、拡充を図ってきたところである。
今後とも、道の財政状況が厳しい面があるが、予算の確保に向け引き続き努力していきたい。
(8)へき地児童生徒援助費のスクールバス・ボート購入費の補助拡充
スクールバス購入費の補助限度額の引き上げや通学距離要件等補助要件の見直しを行い、児童生徒の通学手段を確保するための施策の充実について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(9)給食にかかる助成制度の拡充
道教委では、学校給食用物資の安定的供給にかかる補助制度の充実について、引き続き、国に対し要望していきたいと考えている。
また、消費税率の引き上げによる給食用食材の取扱いについては、今後の動向も見据え、国に対する要望について検討していきたいと考えている。
(10)食物アレルギー対応食の提供等に必要な学校生活管理指導表の文書料にかかる補助制度の創設
学校給食におけるアレルギー対応について、道教委としては、二十八年度「国の施策および予算に関する提案・要望」において、新たに就学援助が必要な児童生徒への学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の作成等に要する経費の財政措置を国に要望していきたいと考えている。
(11)フッ化物洗口にかかる経費負担
フッ化物洗口については、北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例等に基づき、児童生徒にかかる歯・口腔の健康づくりの推進を図るため、一校でも多くの学校等で実施されるよう、市町村教育委員会へ協力をお願いしてきたところである。
また、未実施市町村における円滑な導入の支援の一環として、二十四年度までに道教委の指定を受けた公立の幼稚園、小学校および中学校に対して、知事部局と連携し、導入初年度の機材および薬剤の支援や指定期間にかかる二年目以降の試薬相当分の薬剤を負担しており、二十五年度からは、都市教委連等の要望を受け、新規にフッ化物洗口を実施する公立の学校等に対して、初年度分の薬剤支援を行っているところである。
道教委としては、今後、知事部局と連携し、新規にフッ化物洗口を実施する学校等への負担軽減措置について検討していきたいと考えている。
(12)学校におけるNHK放送受信料の免除措置の継続
日本放送協会(NHK)の放送受信料の免除措置については、義務教育諸学校における教育内容の一層の充実・向上と放送教育の普及・拡大の観点から、十一年八月に日本放送協会札幌放送局長および同局を通して日本放送協会会長に対して、免除措置の継続を要望するとともに、これまで、国に対して要望してきているところである。
今後とも、日本放送協会の動向を注視しながら、引き続き日本放送協会や国等の関係機関に働きかけていきたいと考えている。
(13)教育の情報化を着実に推進するための支援措置の拡充
道教委としては、学校におけるICT機器の整備に使途を限定した財源措置の創設について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
(14)義務教育学校(小中一貫教育校)を設置するための法整備
設置者の判断により、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」を設置することができる改正学校教育法が、六月十七日に国会において可決、成立し、二十八年四月一日に施行される。
道教委では、今後、国の制度改正の内容を踏まえつつ、道内外の先進事例を取りまとめ、市町村教育委員会に情報提供していきたいと考えている。
(15)地域にとって重要な役割を果たしている小規模高校の存続
高校教育に関する指針では一学年三学級以下の高校については、原則として、再編整備を進めることとしているが、一律に再編するのではなく、地理的条件などから再編が困難な場合には、地域キャンパス校とするなど、地域の実情等に配慮するとともに、地域別検討協議会の意見なども参考にしながら、検討していきたいと考えている。
なお、「高校教育に関する指針」については、国の施策の動向、社会の変化や時代の要請を踏まえ、必要に応じて見直しを図ることとしている。
また、職業学科については、地域の産業構造や特色、高校が地域で果たしている役割などを踏まえ、将来の地域社会を担う人材の育成や、特色ある教育活動の展開の観点から、地域別検討協議会をはじめ様々な機会を通じて、保護者や地域の方々の意見などを伺いながら、配置計画を検討していきたいと考えている。
(16)公立高校の再編整備に伴う通学費補助制度の充実
通学費等補助制度は、道立高校の募集停止に伴う、進路変更や通学費負担等の増加など、学習環境の激変を緩和する観点から創設したものであり、従来から高校のない地域との均衡にも考慮し、補助期間を五年としている。
このような制度の趣旨を考慮すると、補助期間の延長は難しいものと考えているが、地域別検討協議会などでの要望を踏まえ、控除額を引き下げて一万円を超える額を補助することとしたほか、補助金を月ごとに支払いができるよう改善してきているところである。
また、この制度の対象となる地域の生徒に対しては、公立高校生徒奨学金により、通学費等補助の補助期間終了後についても、期限を設けずに、貸付限度額の引き上げを行っており、こうした制度の周知も図り、生徒の修学機会の確保に努めていく。
(17)義務教育費国庫負担制度の維持
道教委としては、義務教育費国庫負担制度の根幹が尊重され、国の責務において確実に財源が保障されるべきものと考え、これまでも国に対して、全国都道府県教育委員長協議会や教育長協議会を通して必要な財源が確保されるよう要望を行ってきており、今後とも、引き続き国に働きかけるとともに、知事部局とも連携し、必要な財源の確保に努めていきたいと考えている。
(18)学校の安全体制の強化
道教委では、各学校が児童に対し、安全に関する知識を身に付けさせるとともに、安全に行動できる意識・態度・能力の育成を図ることができるようにするため、小学校の低・中・高学年それぞれを対象とした「学校安全読本」や、学校や地域における取組事例などを紹介した「安全教育実践事例集」を作成し、道教委のホームページに掲載するなど、防犯教育を含む安全教育の充実に努めている。
また、教育局ごとに教職員をはじめ、PTAや関係機関・団体等を対象にした「学校安全推進会議」を開催し、児童に対する犯罪被害の防止など、地域ぐるみで子どもを守る体制整備の具体的な方策等について共通理解を図っている。
さらに、スクールガード・リーダーの確保や育成、スクールガードの養成などに取り組むほか、各教育委員会に対し、学校支援のボランティアの協力を得た見守りなど、児童の安全を見守る体制の拡充や警察等の関係機関、PTAや地域住民等と連携して、不審者の出没等に関する情報を迅速に児童や保護者に確実に伝えることなど、児童の安全確保の徹底が図られるようお願いしているところである。
登下校時間帯の通学路における警察等のパトロール強化については、「北海道犯罪のない安全で安心な地域づくり推進会議」や「交通安全対策七者連絡会議」などの場を通じて、道警察や関係機関・団体に対して、通学路の巡回パトロールや街頭活動の強化の働きかけを継続していきたいと考えている。
各教育委員会においては、引き続き、道路管理者や警察、保護者や地域住民などの関係者と連携し、登下校中の児童の安全確保を推進するようお願いする。
今後とも、道、道警察などの関係機関・団体と一層の連携を図りながら、すべての市町村において、地域ぐるみの安全確保体制が整備されるよう努めるとともに、引き続き、国に対して、学校安全体制の整備を推進する事業の充実を働きかけていきたいと考えている。(19) 北方領土問題に関する学習の充実
北方領土に関する学習を一層充実するため、学習指導要領に北方領土に関する内容をさらに具体的に記述するよう、これまでも国に要望しており、引き続き要望していきたいと考えている。
(20)携帯電話やインターネットの利用による有害情報や被害から子どもを守る取組の推進
道教委では「北海道教育推進計画」に基づき「有害情報に対する指導の充実」を図る観点から、児童生徒のネットの不適切な利用による、ネット上のいじめ等の問題行動の未然防止、早期発見・早期対応に向け、ネットの監視やネットトラブル未然防止にかかる学校の取組の支援に取り組むほか、教員を対象としたネットパトロール講習会や携帯電話のフィルタリング設定についての保護者説明会を実施するなどの啓発活動に取り組んできた。
また、道として、二十六年四月一日に北海道青少年健全育成条例を改正し、青少年の携帯電話のフィルタリングを義務化するなどの法整備を図ったところである。
道教委としては、有害情報や犯罪被害・トラブルから子どもを守るために学校のネットパトロールを支援する事業の拡充や携帯電話会社事業者にとどまらず、インターネットに接続可能な機器に対する、フィルタリングサービスの提供義務の対象範囲の拡大など、さらなる法的規制について、引き続き、国に対して、働きかけていきたいと考えている。
(21)教育目的で利用する貸切バスの確保および補助の新設
教育目的で利用する貸切バスの借上料に対する国庫補助金制度の新設については、実現が極めて難しい状況にあると思われるが、道教委としては、今後の推移を見ながら対応していきたいと考えている。
また、貸切バスの台数確保の改善については、関係部局に要望の趣旨を伝えていきたいと考えている。
▼幼稚園就園奨励費補助事業の改善について
幼稚園就園奨励費補助については、国において補助単価の引き上げや優遇措置の拡大など制度の改善が図られているところである。道教委としては、各自治体の負担の軽減が図られるよう、施策の充実について、引き続き国に要望していきたいと考えている。
▼その他文教施策の充実について
(1)国指定文化財の保存管理費用に対する助成の拡大
国庫補助事業の対象の拡充については、これまでも道の「国の施策および予算に関する提案・要望」において、要望してきたところであり、引き続き、国に要望していきたいと考えている。
史跡の維持管理については、面積にかかわらず一律に特別交付税が措置されている(一件につき年間六十二~百十三万円が交付)ところだが、要望の趣旨を踏まえ、国に働きかけていきたいと考えている。
(2)北海道立図書館の図書資料費の確保
北海道立図書館では、道内図書館のセンターとして、大量一括貸出しなど市町村立図書館等への支援や、利用者へのインターネット予約貸出、さらには各種研究・研修事業などを行っている。
道財政が厳しい状況にあるが、道民や市町村立図書館等からの要望に応えられるよう図書資料の整備充実等に努めていきたいと考えている。
(3)社会教育施設の改修にかかる補助制度の創設
道教委としては、社会教育施設の現状等を踏まえ、今後、全国都道府県教育委員会連合会と連携を図りながら、社会教育施設の改修にかかる補助制度の創設などについて、国に要望していきたいと考えている。
(関係団体 2015-10-26付)
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