道小・道中が道教委に緊急要望書　財務省定数削減案に反対　教育環境悪化懸念し協力要請

（関係団体 2015-11-11付）

道小・道中が道教委に緊急要望書提出

　道小学校長会の松井光一会長と道中学校長会の小西俊之会長は十日、道教委を訪れ、財務省が示した教職員定数の削減案に反対する緊急要望書を、山本広海教育部長と杉本昭則学校教育監に提出した。松井会長は、財務省の定数削減案について、「教育環境が悪化する」と危機感を示した上で、定数削減案反対に対する道教委の協力を求めた。これに対し、杉本学校教育監は、広域で小規模校の多い本道教育の特性にふれた上で、「削減案が示されたことは残念。削減反対に向けた動きを教育関係者以外にも広めていきたい」と述べた。

　財務省は、十月二十六日に開いた財政制度等審議会財政制度分科会で、全国の公立小・中学校の教職員定数について、平成三十六年度までの九年間に約三万七千人減らす案を示した。

　これに対して道小は、「教職員定数の削減に反対する緊急要望書」を全国連合小学校長会との連名で道内選出国会議員と道教委に提出した。

　要望書をみると、進行する教育改革への対応、いじめ・不登校問題など児童の健全育成の取組など教育課題が山積する中、「学校現場の状況を全く理解していない、財政的視点のみの机上の空論であり、極めて遺憾」と断じ、「複雑化・多様化する学校現場におけるきめ細かな指導の充実を図るため、教職員定数の改善をはじめとする教育諸条件の整備こそが、今、真に求められている」と訴えている。

　道中も、全日本中学校長会と連名で「教員加配定数の削減に反対する緊急要請書」を提出。中学校においては、いじめや不登校、暴力行為など生徒指導上の諸課題が深刻化している状況を示し、「学力向上、家庭や地域社会との連携強化、生徒の学習や生活基盤づくり、規範意識の育成、体力の向上など、健やかな心身の育成が求められる」ことを強調している。

　また、昨年、経済協力開発機構が行った国際教員指導環境調査において、日本の中学校教員の一週間当たりの勤務時間が参加三十四ヵ国中、最長であった結果を取り上げ、授業のほか、課外活動や事務業務などに多くの時間を費やしている勤務実態を指摘。その上で、財務省の案に対して、「実態にそぐわないもので、現状を維持することさえできない」「教育への投資は、負担ではなく必要不可欠な先行投資。わが国の成長のための教育再生を推進することが必要」と、定数削減に反対している。

　十日、道小の松井会長と道中の小西会長が道教委を訪れ、山本教育部長と杉本学校教育監に要望書を手渡した。松井会長は「教職員の定数削減は教育環境が悪化する」との考えを示し、「道小、道中がチーム北海道として活動する」と述べ、定数削減案反対に向けて道教委の協力を求めた。

　山本教育部長は「少人数指導や特別な支援を必要とする子どもへの対応など、きめ細かな支援が必要」との認識を示した。杉本学校教育監は「広域で小規模校の多い本道では、先生方が頑張って工夫して活動しており、削減案が示されたことは残念。削減反対に向けた動きを教育関係者以外にも広めていきたい」と述べ、道小、道中に協力していくことを約束した。

(関係団体 2015-11-11付)