札幌市教育センターが講演会開催　不登校の未然防止策示す　講師に鳴門教育大・森田特任教授

（市町村 2016-01-18付）

札幌市教育センター講演会

　札幌市教育センターは六日、市内のちえりあで教育センター講演会を開催した＝写真＝。鳴門教育大学特任教授の森田洋司氏が「不登校の未然防止と社会的な自立に向けて」と題して講演。参加した市内の教職員や保護者など約二百六十人は不登校について、未然防止や解決に向けた対応方法を学んだ。

　はじめに森田氏は不登校の現状と課題について説明。家庭・本人の原因説（登校拒否）から学校・社会が複雑に絡まった原因説（不登校）へと変わっていったこと、学力の二分化や生活習慣の乱れ、家庭の状況や学力低下など、新たな課題が出ていることも示した。

　不登校はどの子にも起きる可能性があり、「無理をして登校しなくてもいいような居場所と雰囲気づくりが必要」と呼びかけた。

　また、不登校の解決目標は、「児童生徒が将来的に精神的・経済的に自立し、豊かな人生を送れるよう、その社会的自立に向けて支援すること」と説明。対応方法として、「登校しやすい学校環境を整備し、本人の状況・状態に応じてある程度の幅をもった時間の中で適切な登校指導を柔軟に加えていくことが必要」「社会参加と自分づくりをどう支援していくか、長い人生の中に不登校の経験をどう着地させていくのかといった、より大きな視点からの働きかけが必要」などを話したほか、子どもが意欲的に取り組む授業づくりについて事例を示した。

　不登校対応の基本的な考え方として、①アセスメント体制の確立②個別性③早期対応の重要性④組織性―の四点を提示。このうち、組織性については、児童生徒が抱える課題とその原因・背景の多様化・重複化に伴い、学校だけで解決することが困難な事案が増加していることから、「内なる連携と外との連携による生活総体の支援が必要」と強調した。

(市町村 2016-01-18付)