札幌市子ども議会に児童生徒60人参加 独自の視点で市政に提案 スマホトラブル対応などテーマに(市町村 2016-01-19付)
各委員会が市政に関して提案
二十七年度札幌市子ども議会が八日、市議会本会議場で開かれた。市内の小・中・高生約六十人が子ども議員として出席。「携帯・スマートフォントラブルの予防・対処法」「定山渓の観光魅力アップ」などをテーマとする五つの委員会が子どもならではの視点で市政に関する提案を発表した。また、秋元克広市長や板垣昭彦副市長、長岡豊彦教育長などと市政に対する意見交換も行った。
この取組は、「未来を担う子どもたちが札幌のまちづくりについて考え、市政への関心・理解・参加を促す機会とする」「子どもの権利条例にある意見を表明する権利を体現する場とする」―の二点が目的。十三年度から実施している。
十五回目を迎えた本年度は、①SAPPOROスマホLife委員会②KSP(コラするな!ポイ捨て)委員会③三代目税ソウルブラザーズ委員会④それ湯気(ゆけ)!定山渓委員会⑤動物love go(あいご)!委員会―の五つに分かれて活動。各委員会が個別のテーマについて、約三ヵ月間全六回にわたって話し合いを重ねてきた提案をまとめ、発表した。
開会に当たり、札幌市議会の鈴木健雄議長があいさつ。「本会議場は市民の皆さんが住みやすいまちになるよう、六十八人の議員が集まり、議論をする重要な場所」と説明。「市役所の仕事について勉強し、市民の皆さんのために議論を重ねてきたことについて発表すると聞いている。話を聞きながら、札幌市のまちづくりを考えていきたい」と話した。
子ども議会の概要説明のあと、各委員会が壇上で市政に関する提案を発表した。
携帯・スマートフォントラブルの予防・対処法をテーマとしたSAPPOROスマホLife委員会では、予防のための出前講座やトラブルの際の相談受付を行っている札幌市消費者センターを知ってもらうため、小・中学生向けに名刺サイズのカードを配布することを提案。カードには電話番号や住所、中を開くと携帯・スマートフォンの使用ルールやインターネットで起こりうるトラブルについて記載すると説明した。
秋元市長は「カードの配布は、小・中学生が直接持てることから認知を高めることができる。この提案を参考にさっそく取りかかっていきたい」と答弁した。
ごみのポイ捨てをテーマとしたKSP委員会は、若年層や観光客を対象とした啓発方法の改善について提案。若年層については、小・中学校など早い段階からごみ拾いのイベントに参加させるほか、観光客に向けてはツアーガイドにポイ捨て禁止のパンフレットを配ってもらうこと、ポイ捨て禁止を呼びかける路面ステッカーを多言語で示し、大きな字で見やすくするなど取組を説明した。
秋元市長は、ポイ捨てなどの防止条例について条例施行から十年が経過していることにふれ、「若い人や観光客に対する啓発は、今後ますます重要になる。提案のように視覚に訴えるような啓発をしていきたい」と答弁した。
税の大切さを知ってもらうためにはどうしたら良いかをテーマに取り組んだ三代目税ソウルブラザーズ委員会は、子どもが税について理解するためのPRを提案。①税に関するスタンプラリー②面白くて分かりやすいポスターを作り、学校に張る③広報さっぽろに税に関する分かりやすい漫画を掲載する―の三点について詳しく説明した。
秋元市長は、税によって除雪などの仕事が成り立っていることにふれ、「税について皆さんに知ってもらうことは重要。税に関するスタンプラリーの実施など提案を十分活用していきたい」と答弁した。
定山渓の観光魅力アップをテーマに取り組んだそれ湯気!定山渓委員会は、定山渓をにぎわいのあるまちとするため、道の駅の設置を提案。子どもも遊べるアスレチック施設やフードコート、定山渓の歴史コーナーなど、道の駅に設置したい施設を挙げた。
秋元市長は定山渓の活性化に向け、魅力アップの検討をしていることにふれ、「道の駅のように気軽に立ち寄れる施設が必要という意見も出ている。しっかりと検討していきたい」と答弁した。
動物愛護をテーマとした動物love go!委員会は、動物管理センターに収容される動物が多いことにふれ、捨てられるペットをなくす取組を提案。①道徳の授業でペットの命の大切さを学ばせる②社会科見学で動物管理センターへの訪問③市内各地でペットの譲渡会④動物管理センターの名称変更―の四点について説明した。
秋元市長は「道徳の授業や動物管理センターを社会科見学で訪問するのは、命の大切さを学ぶことにつながる」と今後に向けて取組を検討していくことを述べた。また、板垣副市長は「市内各地で譲渡会の実施と動物管理センターの名称変更について前向きに検討していきたい」と答弁した。
続いて、再質問を実施。SAPPOROスマホLife委員会が、「スマートフォンの“ながら”操作の問題について、子どもに考えてもらいたいことは」と質問した。池田佳恵市民まちづくり局長は「スマートフォンを操作しながらだと、集中力が低下し、事故につながる。自分たちなりのルールを考えてほしい」と答えた。
KSP委員会は、路面ステッカーが経年劣化によって見にくくなっていることから張替の予定について質問。谷江篤環境局長は「札幌市内全体で約六百枚あり、一年間で二百枚の張替を検討している。提案されたポスターの作成も検討していきたい」と話した。
三代目税ソウルブラザーズ委員会は、税がなくなったら警察・消防・学校・教科書が有料になり、こんな日常になるというポスターを作成。「このポスターの中で現実になりそうなものは何か」と質問した。中川智義税務担当局長は「安全安心な暮らし、豊かな社会にしていくため、すべて必要」と答えた。
それ湯気!定山渓委員会は、札幌市として定山渓が今後どうなってほしいか質問。小西正雄観光文化局長は「現在、全国の温泉百選で定山渓は五十三位なので温泉ランキング全国一位を目指し、一生懸命アイデアを出し合っていきたい」と答えた。
動物Love go!委員会では、動物の命の大切さを学ばせる出前授業を、どれくらいの小・中学校で行っているか質問。瀬川誠福祉局長は「二十四年度から二十六年度まで十六回実施した。小・中学校では五校にとどまっており、今後市教委と連携を深め、工夫をしながら出前授業のPRをしていきたい」と答えた。
このあと、意見交換に移行。秋元市長が観光について、もし海外の人が札幌に来たら、どういうところに案内するかと質問。子ども議員は、「自然豊かな場所を案内したい」「雪祭りやウィンタースポーツを一緒にしたい」などと答えていた。
長岡教育長は「北海道は雪に埋もれて生活が制限されてしまう」と話し、体力向上に向け冬期間にどういう取組ができるか質問。子ども議員は、「雪かきで道をきれいにするなど一石二鳥の運動を」「体育館でクラス対抗の縄跳び大会を行う」などと答えていた。
このあと、子ども議員の白土瑠一君が秋元市長に各委員会がまとめた提案書を手交。秋元市長は「皆さんが課題について、自分たちには何ができるか、何ができないかを考え、提案することは本当にすばらしい。つぎの世代がこのまちに住み続けたいと思えるようまちづくりを進めていきたい」と話した。
子ども議長を務めた小林祐人君は「参加した子ども議員は人前に立ち、発表や積極的に意見を述べるなど大切なことを学んだ。今回の活動を通じて経験したことは今後の糧になる」と話し、これまで支えてくれた大学生サポーターや市の職員、保護者に感謝の気持ちを述べた。
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子ども議員が秋元市長に提案書を手交
(市町村 2016-01-19付)
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