道教委ふるさと教育等実践事例交流会開く 事業成果の効果的活用へ 80人が実践発表や協議など
(道・道教委 2016-01-19付)

ふるさと教育実践交流会
ふるさと教育・観光教育実践事例交流会

 道教委は十三日、札幌市内の第二水産ビルで二十七年度道ふるさと教育・観光教育等実践事例交流会を開催した。道ふるさと教育・観光教育等推進事業の指定校などから約八十人が参加。講演や実践発表、協議などを通して、ふるさと教育や観光教育の充実に向けて考えた。

 「道ふるさと教育・観光教育等推進事業」は、道徳や総合的な学習の時間、特別活動等において「アイヌの人たちの歴史・文化」と「北方領土」の学習を取り上げたり、本道の自然や文化、観光産業などの教育資源を活用したりすることで、本道についての理解を深め、郷土に対する愛着や誇りを育むふるさと教育・観光教育の充実を図るもの。本年度は小・中学校三十校の実践校と、四十二校の協力校を指定した。

 今回、同事業の指定校が講話や事例発表、協議を通して、ふるさと教育の意義や重要性を理解するとともに、探究的な学習過程を踏まえたふるさと教育の指導計画や指導内容の改善、および事業成果の効果的な活用を図るため、実践事例交流会を開いた。

 はじめに、義務教育課義務教育グループの田口範人指導主事が事業概要を説明。道内のふるさと教育の現状についてふれ、アイヌの人たちの歴史・文化に関する指導の留意点として、「日本国憲法と教育基本法の精神に則り、基本的人権の尊重の立場に基づいて行うこと」「学習指導要領の目標や教科書の記述を踏まえて適切に対応すること」などを示した。

 北方領土にかかる指導では、「日本にとって戦後残された最大の課題であるとともに、国際平和にかかわる重要な問題であることを踏まえて指導するべき」「十九世紀半ばまでは、日本とロシアの国境線が両国間で平和的、法的に確認された事実を踏まえるとともに、児童生徒に北方領土の位置や島名を正しく理解させて」と、地図帳や白地図を繰り返し使用するよう求めた。

 また、道教委が作成した総合的な学習の時間「指導プログラム」や「ほっかいどうチャレンジテスト」の問題の活用も呼びかけた。

◆札幌国際大吉岡教授が講演

 このあと、札幌国際大学の吉岡宏高教授が「ふるさとへの愛着と誇りを育む〝ふるさと教育〟の在り方」と題して講演した。

 吉岡教授は、これからは人口が減り市町村が消滅する厳しい時代となることを予想。衰退した空知産炭地域を例示し、他地域でも衰退しうることを取り上げ、「当たり前すぎて見えない地域資源に、別の視点で光を当てることが必要」と呼びかけた。

 空知管内市町の衰退や復活への取組を参考に、それぞれのまちの将来を考えるよう求め、NPO法人炭鉱の記憶推進事業団の実践を紹介。歩いて地域をめぐる取組、炭鉱を散策するワークショップなどを示し、「直接経験から仮説を設定する力、行動する力を育ててほしい」「学校が地域内外の人を交えて取り組める場になってほしい」と期待した。

 「道内百七十九市町村の原点や思いを踏まえ、数十年後に地域のために活動する“スイッチ”を子どもたちに身に付けさせて」と、全道各地でふるさと教育を展開するよう求めた。

 午後からは、義務教育課の中澤美明主幹が、総合的な学習の時間の充実に向けて説明したほか、室蘭市立知利別小学校、厚岸町立床潭小学校、滝川市立江部乙中学校が実践発表。アイヌの人たちの歴史・文化等部会、北方領土部会、観光教育部会に分かれて協議した。

(道・道教委 2016-01-19付)

その他の記事( 道・道教委)

道教委・人事評価制度に関する「標準職務遂行能力」 求められる水準を明示 「能力評価」において活用

 道教委は十三日付で、地方公務員法の改正に伴う新たな人事評価制度に関する「標準的な職に応じた標準職務遂行能力」を教育長決定した。「部長」など七つの標準的な職に対して、「倫理」「判断」などの項...

(2016-01-20)  全て読む

実践的安全教育モデル案―道教委 「自助」「共助」の意識高揚 避難訓練やロールプレイなどで

安全教育モデル検討会  道教委は、「北海道実践的安全教育モデル」案をまとめた。文部科学省委託事業で、モデル地域の石狩市と江別市が取り組んだ実践をもとに、①防災教育②交通安全教育③防犯教育―のモデル案を提示。モデル...

(2016-01-19)  全て読む

根室教育局が教職員キャリアアップ研修会 若手への指導力高めて 講話や演習、協議などで研鑚

キャリアアップ研修会  【根室発】根室教育局は七日、別海町役場で本年度二回目の教職員キャリアアップ研修会を開催した。管内の教職経験十年目以上の教諭七人が参加。スクールリーダーとしての実践力・応用力向上を図ることを...

(2016-01-19)  全て読む

海外教育旅行セミナー開く 勤労・職業観培う契機に 現地調査報告や実践発表で検討

海外教育旅行セミナー  道や政府観光局、航空会社、旅行会社などで構成する道海外旅行促進事業実行委員会は十四日、札幌市内かでる2・7で「海外教育旅行セミナー」を開催した=写真=。高校の教職員や旅行会社職員など約六十...

(2016-01-19)  全て読む

道、道教委、道警が要請活動 フィルタリング普及促進へ 電気通信事業者に協力求める

フィルタリング要請  道、道教委、道警は十五日、札幌市内の電気通信事業者各社を訪問し、フィルタリングの普及促進等を要請した。「契約窓口における使用者の年齢確認」「フィルタリング利用にかかる説明の徹底」「青少年等...

(2016-01-19)  全て読む

全日制220校346学科で 28年度公立高入選実施校

 道教委と札幌市教委は十五日、二十八年度公立高校等入学者選抜実施学校数などを発表した。  入学者選抜を実施する学校学科数(有朋除く)は、全日制二百二十校三百四十六学科、定時制四十校四十六学...

(2016-01-18)  全て読む

道教委27年度教育実践表彰 岩見沢南小など9校受賞 教職員表彰は22人に栄誉

 道教委は、二十七年度道教育実践表彰の学校表彰受賞校、教職員表彰受賞者を決定した。学校表彰には、岩見沢市立南小学校など九校、また、教職員表彰には、伊藤和代氏(東川町幼児センター園長)など二十...

(2016-01-18)  全て読む

活用のノウハウなど学ぶ 道立図書館が学校図書館講座・後期

?学校図書館講座後期  道立図書館は五日、同館で二十七年度学校図書館講座(後期)「学校における道立図書館活用講座」を開催した=写真=。道内各地から小・中・高校、特別支援学校の教諭、学校図書館司書や司書教諭など二十...

(2016-01-18)  全て読む

特別支援学校の設置手続き等変更 道教委が学教法施行細則を改正

 道教委は、指定都市立特別支援学校設置・廃止等の手続きを変更するなど、学校教育法施行細則を一部改正した。  「地域の自主性および自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関...

(2016-01-15)  全て読む

道内へき地校の新級別指定―道人事委 30校増加し841校に 189校で上昇、50校が下降―今月から施行

 道内へき地等学校の新しい級別指定が、今月から施行された。共同調理場などを含む学校等総数二千百七十六校(二十七年十二月一日現在)に対し、へき地等学校数は、見直し前の八百十一校から三十校増の八...

(2016-01-15)  全て読む