道教委・人事評価制度に関する「標準職務遂行能力」 求められる水準を明示 「能力評価」において活用(道・道教委 2016-01-20付)
道教委は十三日付で、地方公務員法の改正に伴う新たな人事評価制度に関する「標準的な職に応じた標準職務遂行能力」を教育長決定した。「部長」など七つの標準的な職に対して、「倫理」「判断」などの項目ごとに求められる能力の水準を明示。職員の職務上の行動等を通じて顕在化した能力を把握する「能力評価」において活用していく。=概要は2面=
個々の職員に困難な課題を解決する能力と、高い業績を上げることがこれまで以上に求められる中、国では、能力・実績に基づく人事管理の徹底、組織全体の士気高揚、公務能率の向上のため、新たな人事評価制度を導入しようと、地方公務員法を二十六年五月に一部改正。ことし四月から施行される。
この中で、地方公務員については、その職務を遂行するに当たって、能力および業績を把握した上で行われる人事評価制度を実施し、任用・給与・分限など人事管理の基礎として活用することが定められた。
これを受けて各地方公共団体では、「標準的な職および標準職務遂行能力」などの事項の定めが必要となる。道教委では、昨年十月から同法改正に伴う新たな人事評価制度を、教職員や道立学校職員を除く道教委の職員に対して試行実施していた。
新しい評価制度では、十月から翌年九月までを期間とし、職員の職務上の行動等を通じて顕在化した能力を把握する「能力評価」と、十月から翌年三月および四月から九月までの期間で、職員が果たすべき職務の達成度を把握する「業績評価」が盛り込まれた。今回は、「能力評価」で使用する「標準的な職に応じた標準職務遂行能力」を教育長決定した。
道教委が教育長決定した、新たな人事評価制度に関する「標準的な職に応じた標準職務遂行能力」における、各職の概要はつぎのとおり。
▼部長
▽倫理=全体の奉仕者として、高い倫理観を有し、組織の重要課題に責任をもって取り組むとともに、服務規律を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽構想=教育行政を取り巻く状況を的確に把握し、先々を見通しつつ、道民の視点に立って、重要課題について基本的な方針を示すことができる。
▽判断=重要課題について、豊富な知識・経験および情報に基づき、冷静かつ迅速な判断を行うことができる。
▽説明・調整=教育行政について適切な説明を行うとともに、組織方針の実現に向け、教育長を助け、困難な調整を行い、合意を形成することができる。
▽業務運営=道民の視点に立ち、不断の業務の見直しに率先して取り組むことができる。
▽組織統率=指導力を発揮し、部下の統率を行い、成果を挙げるとともに、部下のワークライフバランスの推進に向けたマネジメントを行うことができる。
▼局長
▽倫理=全体の奉仕者として、高い倫理観を有し、局の課題に責任をもって取り組むとともに、服務規律を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽構想=教育行政を取り巻く状況を的確に把握し、道民の視点に立って、担当分野の行政課題に対応するための方針を示すことができる。
▽判断=担当分野の責任者として、適切な判断を行うことができる。
▽説明・調整=教育行政について適切な説明を行うとともに、組織方針の実現に向け、関係者と調整を行い、合意を形成することができる。
▽業務運営=コスト意識をもって効果的に業務を進めることができる。
▽組織統率=業務運営に関し、適切な業務の進捗管理や的確な指示を行い、成果を挙げるとともに、部下のワークライフバランスの推進に向けたマネジメントを行うことができる。
▼課長
▽倫理=全体の奉仕者として、課の課題に責任をもって取り組むとともに、服務規律を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽企画・立案=組織方針に基づき、行政ニーズをふまえ、課題を的確に把握し、施策の企画・立案を行うことができる。
▽判断=課の責任者として、適切な判断を行うことができる。
▽説明・調整=担当する事案について適切な説明を行うとともに、関係者と調整を行い、合意を形成することができる。
▽業務運営=コスト意識をもって効率的に業務を進めることができる。
▽組織統率・人材育成=適切に業務を配分した上、業務の進捗管理や的確な指示を行い、成果を挙げるとともに、部下の指導・育成やワークライフバランスの推進に向けたマネジメントを行うことができる。
▼主幹
▽倫理=全体の奉仕者として、担当業務の第一線において責任をもって課題に取り組むとともに、服務規律等を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽企画・立案、事務事業の実施=組織や上司の方針に基づいて、施策の企画・立案や事務事業の実施の実務の中核を担うことができる。
▽判断=担当する事案について適切な判断を行うことができる。
▽説明・調整=担当する事案について論理的な説明を行うとともに、関係者と粘り強く調整を行うことができる。
▽業務運営=段取りや手順を整え、効率的に業務を運営することができる。
▽部下の育成・活用=部下の指導・育成・活用やワークライフバランスの推進に向けたマネジメントを行うことができる。
▼主査
▽倫理=全体の奉仕者として、責任をもって業務に取り組むとともに、服務規律を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽課題対応=担当業務に必要な専門的知識・技術を習得し、問題点を的確に把握し、課題に対応することができる。
▽協調性、報告・連絡=上司・部下等と協力的な関係を構築し、適切な状況報告、連絡等を行うとともに、上司の指示を部下に徹底することができる。
▽説明=担当する事案について分かりやすい説明を行うことができる。
▽業務遂行=計画的に業務を進め、担当業務全体のチェックを行い、確実に業務を遂行することができる。
▼主任
▽倫理=全体の奉仕者として、責任をもって業務に取り組むとともに、服務規律を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽課題対応=業務に必要な知識・技能を習得し、課題に適切に対応することができる。
▽協調性、報告・連絡=上司・同僚等と協力的な関係を構築し、適切な状況報告、連絡等を行うことができる。
▽業務遂行=計画的に業務を進め、確実に業務を遂行することができる。
▼主事
▽倫理=全体の奉仕者として、責任をもって業務に取り組むとともに、服務規律を順守し、公正に職務を遂行することができる。
▽知識・技術=業務に必要な知識・技術を習得することができる。
▽コミュニケーション=上司・同僚等と円滑かつ適切なコミュニケーションをとることができる。
▽業務遂行=意欲的に業務に取り組むことができる。
「能力評価」では、期末に、標準職務遂行能力に対してどの程度取り組めたかを自己申告し、上司である一次評価者、二次評価者がA~Eの五段階で評価する。
標準職務遂行能力の作成に当たっては、総務省が示した事例を参考にしており、国家公務員に準じた基準とした。
標準職務遂行能力を職ごとにみると、教育長が評価者となる「部長」は、「倫理」「構想」「判断」「説明・調整」「業務運営」「組織統率」の六項目。うち、「判断」では、「重要課題について、豊富な知識・経験および情報に基づき、冷静かつ迅速な判断を行うことができる」ことが基準となる。
一次評価者が部長で、二次評価者が教育長となる「局長」も同じ六項目で構成。「構想」では、「教育行政を取り巻く状況を的確に把握し、道民の視点に立って、担当分野の行政課題に対応するための方針を示すことができる」としている。
「課長」の六項目は、「構想」に代わって「企画・立案」が入り、「組織統率」の項目には「人材育成」の観点が加わる。「主幹」の六項目は、「部下の育成・活用」などからなる。
「主査」は、「課題対応」「協調性、報告・連絡」など五項目で、「主任」「主事」は四項目を設定した。
一次評価者が評価結果を本人に開示し、評価結果の根拠となる事実に基づいて指導・助言を行う。評価結果に対する苦情処理・相談は道教委総務課で受け付ける。
なお、今回新たに「部長」「局長」など、標準的な職に該当する範囲の職名を明示した表もまとめた。
(道・道教委 2016-01-20付)
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