札幌市教委27年度全国学力・学習状況調査の実施報告⑥(市町村 2016-01-27付)
◆中学校理科
▼設問分析
▽「理科の勉強は好きですか」という質問では、肯定的に回答した割合が六三・二%(二十四年度六五・五%)となっており、全国平均を一・三ポイント上回っている。
引き続き、科学的に探究する活動を通して、自然の美しさ、精妙さ、偉大さを実感し、生徒の知的好奇心を育て、日常生活や社会における科学の有用性を実感するような指導を充実することが大切である。
▽「理科の勉強は大切だと思いますか」という質問では、肯定的に回答した割合が六七・七%(二十四年度六九・八%)となっており、全国平均を一・六ポイント下回っており、他教科と比べても全国と同様に低い状況である。
今後とも、より一層、観察・実験などから得られた事実を客観的にとらえ、科学的な知識や概念を用いて合理的に判断するとともに、多面的・総合的な見方を身に付け、日常生活や社会で活用できるようにし、理科を学ぶ意義を感得できるような指導を充実することが重要である。
▽「理科の授業の内容はよく分かりますか」という質問では、肯定的に回答した割合が六八%(二十四年度六六・三%)となっており、全国平均を一・二ポイント上回っている。今後とも、観察、実験を中核に据えた科学的に探究する活動を通して、一人ひとりの学習実現状況を的確に把握し、個に応じた指導を充実することが求められる。
▽「自然の中で遊んだことや自然観察をしたことがありますか」という質問では、肯定的に回答した割合が七三・一%(二十四年度七五%)となっており、全国平均を二・四ポイント下回っている。二十四年度調査よりも三・一ポイント上昇したが、豊かな自然環境をもつ札幌の生徒の回答が、全国平均を下回っている。
今後とも、自然体験の一層の充実を図るような指導の工夫が求められる。また、身の回りの自然から問題を見いだし、目的意識をもって観察、実験を行うような指導が求められる。
▽「理科の授業で学習したことを普段の生活の中で活用できないか考えますか」という質問では、肯定的に回答した割合が四四・九%(二十四年度三八・三%)となっており、全国平均を二ポイント下回っている。
科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていること、理科で学習することが様々な職業と関係していることなど、日常生活や社会との関連を重視した指導を充実することが重要である。
▽「理科の授業で学習したことは、将来、社会に出たときに役に立つと思いますか」という質問では、肯定的に回答した割合が五五・七%(二十四年度五一・五%)となっており、全国平均を三・六ポイント下回っている。
今後とも、より一層、生徒の将来とのかかわりの中で理科を学ぶ意義を実感し、理科で学んだことが様々な職業やその後の生活と関連していることや、理科の学習で養う科学的な見方や考え方が社会の中で生かされることにふれ、様々な課題に自立的に対応していくことができるような指導の工夫が求められる。
▽「将来、理科や科学技術に関係する職業に就きたいと思いますか」という質問では、肯定的に回答した割合が二二・二%(二十四年度二三・四%)となっており、全国平均を五・七ポイント下回っており、非常に低い値となっている。
様々な原理や法則が科学技術を支えていることにふれ、それらが日常生活や社会に深いかかわりをもっていることを認識するような指導の工夫が求められる。また、科学技術の進歩によって、利便性や安全性を手に入れ、日常生活や社会がより豊かなものに発展させてきたことを実感するような指導の工夫が求められる。
▽「理科の授業で、自分の考えや考察をまわりの人に説明したり発表したりしていますか」という質問では、肯定的に回答した割合が三一・七%(二十四年度二三・七%)で、全国平均を六・七ポイント下回っており、二十四年度調査よりも八ポイント上昇したが、全国平均よりも非常に低い値となっている。
観察、実験を計画する場面で、考えを発表する機会をもったり、検証方法や実験の結果を討論したりしながら考えを深め合うなど、科学的な概念を使用して考えたり、説明したりする学習活動を通して、科学的な思考力や表現力を育む指導の充実が求められる。
▽「理科の授業では、理科室で観察や実験をどのくらい行いましたか」という質問では、肯定的に回答した割合が八九・四%となっており、全国平均を五・五ポイント上回っている。観察、実験は、理科の学習の中核であり、今後とも明確な目的意識をもった観察、実験を行うことが大切である。
▽「観察や実験を行うことは好きですか」という質問では、肯定的に回答した割合が七九・五%(二十四年度七八%)となっており、全国平均を五・六ポイント下回っている。
今後とも、目的意識をもった観察、実験、実習など、直接体験を重視するとともに、地域の環境や学校の実態を生かし、自然の事物・現象を科学的に探究する能力の基礎と態度を育成していく指導が求められる。
▽「理科の授業で、自分の予想をもとに観察や実験の計画を立てていますか」という質問では、肯定的に回答した割合が五二・五%(二十四年度四九・三%)となっており、全国平均を二・五ポイント下回っている。
学習課題を明確にとらえ、それを解決するために、自分の予想をもとに、柔軟な発想で観察、実験を計画し、科学的に探究することができるような指導の工夫が必要である。
▽「理科の授業で、観察や実験の結果をもとに考察していますか」という質問では、肯定的に回答した割合が六九・二%(二十四年度六五・八%)となっており、全国平均を二ポイント上回っている。
今後とも、結果と考察の違いを認識し、観察、実験の結果を図や表で表したり、数値で処理したり、グラフ化したりして、それらを分析して解釈し表現することを生かすような指導が重要である。
▽「理科の授業で、観察や実験の進め方や考え方が間違っていないかを振り返って考えていますか」という質問では、肯定的に回答した割合が五五・五%(二十四年度五三・七%)となっており、全国平均を五・五ポイント上回っている。
自分の考えや他者の考えについて、観察、実験の記録や結果、科学的な知識や概念を根拠にその妥当性を検討するなど、多面的、総合的に思考し、必要に応じて自らの考えを改善することができるような場面を設定するような指導の工夫が重要である。
(市町村 2016-01-27付)
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