【リポート】専門高校Progressiveプロジェクト―美唄尚栄高 地域産業支える人材育成へ(学校 2016-02-04付)
廃棄アスパラを利用したパンづくり
【岩見沢発】道教委「専門高校Progressiveプロジェクト」推進事業の実践研究指定を受ける美唄尚栄高校(小林為五郎校長)。本年度から、フード系列やメカトロエンジニア系列などを備える総合学科の特色を生かし、地元・美唄産アスパラガスを活用した商品開発に取り組んでいる。高品質のアスパラを生産しながら、約一割が規格外として廃棄される中、地元農家や企業などと連携して地域産業の新たな形を追究する試みを通して、専門的実践能力の育成を目指す同校の現状を取材した。
昨年九月、フード系列二・三年生の授業「食品製造実習」。生徒たちは、廃棄アスパラを利用したパンづくりに取り組んだ=写真=。食パン生地とバターロール生地を使った二種類のパンを焼き上げ、見た目や味、食感を確かめた。「アスパラの緑色が鮮やかでインパクトがある」「バターロール生地を使ったパンの方がおいしい」などと評価。今後の試作への参考とした。
同校は本年度、道教委「専門高校Progressiveプロジェクト」推進事業の実践研究指定を受けた。実践研究テーマは「美唄市の農産物を活用した特産品の開発」。フード、メカトロエンジニア、情報通信マネジメント、デザインなど、同校が備える系列を生かし、三ヵ年にわたって地元の企業や関係者と連携しながら研究を進め、地域産業を担う専門的実践能力の育成を目指す。
美唄市内では、高品質のグリーンアスパラが生産されている。農家から美唄JAへの出荷量は、年間八十~百㌧。一方、出荷には規定の長さが求められ、規定外のため破棄処分されるアスパラは生産量の約一割にのぼるという。
これらを有効活用しようと、農業経営者の丸子幸司氏がアスパラ麺を試作し、同校関係者に紹介したことが取組の契機となった。
実践研究初年度の本年度は、廃棄アスパラを使ったパンと麺の開発を進めている。製麺では、メカトロエンジニア系列の生徒が製麺機械製作の実習に取り組んでいる。アスパラを練り込んだ生地は繊維質を多く含み強度不足が課題となっており、麺に適した製麺機をつくるため、独自にノズルキャップの開発に挑んでいる。
取組を進めるに当たって欠かせないのが、地元関係者や企業の協力だ。市内の農業経営者、企業の関係者などを外部講師として招き、製造機械の開発や加工、製麺、特産品開発などの技術指導を受けている。
丸子氏は「生徒たちには、豊かな発想力と創造性がある。楽しみながら、自由に麺づくりを経験して学んでほしい」と期待する。
事業の推進に当たっては、空知管内の短大、地域の関係者等で構成する「運営指導委員会」を組織。専門家からの指導・助言を受けている。加えて、より地域性の高い「地域連絡会議」を年に数回開催し、地元関係者、企業との連携強化に努めている。
こうした地域との連携を活用しながら、同校では来年度以降、各系列の特色を生かした取組を加速させる。フード系列の授業では、生地の強度を高めるとともに、製造コスト、栄養に大きくかかわる一次加工の方法の研究を進めていく。情報通信マネジメント系列では商品化に向けたパッケージ制作やPOPづくり、デザイン系列ではレシピ開発などを進める方針。
また、食品加工には衛生管理の知識が求められるため、来年度から取組にかかわる生徒全員を対象に、「食品衛生責任者養成講習」を実施する見通し。
同校の小野博道教諭は「商品化に向け、コストや原材料などに精通する市内の民間企業、商工会の協力を得ながら今後の研究を進めていきたい」と話している。
空知教育局の松山拓男局長は、地域と連携して取組を進める重要性を強調した上で、「地域が学校を支援する好循環につながり、生徒の地元に対する愛郷心が育まれるきっかけになれば」と期待する。
(学校 2016-02-04付)
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