道議会予算特別委員会の質問・答弁概要(10月1日)(道議会 2016-02-08付)
道議会文教委員会(二十七年十月一日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合)、山崎泉委員(北海道結志会)の質問、および杉本昭則学校教育監、菅原行彦学校教育局指導担当局長、成田祥介新しい高校づくり推進室長、野﨑弘幸教職員課服務担当課長、赤間幸人高校教育課長、竹林亨学校教育局参事(生徒指導・学校安全)、松本邦由新しい高校づくり推進室参事(高校配置)、相馬哲也新しい高校づくり推進室参事(改革推進)の答弁の概要はつぎのとおり。
◆配置計画指針の成果と課題
川澄委員 高校配置計画、今後の高校の在り方について質問する。この問題については、柴田教育長から、今の指針の検証を進めていくという回答が先日なされた。指針の成果と課題の検証について、今後、どのようなスケジュールで進めていくのか伺う。
成田新しい高校づくり推進室長 指針の検証について。道教委では、中学校卒業者数が減少する中、教育水準を維持し、活力ある教育活動を展開する観点から、高校の配置を検討しているが、広域分散型の本道において、人口減少社会への対応や地方創生の観点から、地域の教育機能を確保することも重要な課題であると認識している。
このため、庁内に検討組織を設置し、現行の「高校教育に関する指針」の成果や課題などを検証するとともに、特に、ほかの学校への通学が困難な地域にある小規模校の在り方や教育環境の充実に向けた検討を進め、年度内を目途に方向性を取りまとめる考えである。
川澄委員 職業学科については、縮小、または、改変といった形で進められてきている。特に、小さな地域においては、富川高校のように商業科がなくなった、または、単一の職業学科に絞るといった状況も出てきている。このことは、地域を支える人材の育成の観点、資格・技能を生かして地元で働きたいと思っている生徒の意向も含め、あまり歓迎されているものではない。これまでの地域別検討協議会等でも、こういった点について、話があったかと思うので、職業学科の在り方について、あらためて認識を伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 職業学科の在り方について。職業学科においては、産業分野ごとに必要となる基礎的・基本的な知識や技能を習得させるとともに、ものづくりや商品開発、環境保全の調査・研究などを通して、実践的な技術を身に付けさせる教育活動に取り組み、本道の産業を支えていくことができる人材を育成することが重要であると認識している。
道教委としては、中卒者数の減少が見込まれる中、専門高校を含めた高校の定員調整や再編を検討しなければならないと考えているが、地域の方々の要望等を十分に伺いながら、時代の進展や地域産業の特性を踏まえた学科への転換なども含めて検討し、子どもたちの期待に応える魅力ある高校づくりに努めていく。
川澄委員 三十年度を目途に、小樽工業高校と小樽商業高校を再編・統合することが示されている。両校の統合に当たっては、これからの職業学科の新たな形のモデルの一つとして再編を進めていくと聞いている。小樽市内等においても、こういった点については、様々に論議されていると聞いている。再編に当たり、どのような観点で、また、どのような方法で行うのか伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 小樽市内の再編について。小樽工業と小樽商業の再編に当たっては、小樽市から二十七年一月に、「小樽市の観光やものづくりなどの産業構造等を踏まえ、観光ビジネス、ものづくり・食などを幅広く学ぶことのできる、小樽にふさわしい魅力ある高校」の設置を求める要望をいただいた。
道教委としては、このような小樽市の要望や地域の実情等を踏まえるとともに、関係団体等の意見も伺いながら、新設校の学科について検討を進め、二十八年の配置計画案で学科構成を示すことができるよう取り組んでいく考えである。
川澄委員 職業学科の再編に当たっては、地元や道内の企業、学校関係者、産業関係者を含めて、経済動向や進路動向といった点について、より具体的に論議を進める場を設けていくべきではないかと考えているが、見解を伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 新設校の学科について。道教委としては、小樽市からいただいた要望や、後志管内の学校・学科の配置状況、卒業生の進路動向やこれまでの両校の進路指導にかかわる取組などを踏まえるとともに、小樽市教委や経済関係団体等と意見交換しながら、新設校の学科について検討を進めていく。
― 指 摘 ―
川澄委員 進路動向については、そのときの経済動向など様々な課題があると思う。地域の方が、「こういう学校、学科がほしい」と言っているが、その学科ができて卒業したとしても、その技能を生かす場がなければ、結局、市外や道外に出て行ってしまう。
こういった点については、しっかりと様々な業界や地域の方との論議を深め、卒業後の進路や就職動向も含めて検討を進めていただきたい。
川澄委員 目的をもって進学する生徒がいる反面、なかなか自分の進路を定めきれない生徒もいる。そういった生徒が卒業した際にどうなるのか、職業学科の在り方も含めて、一年次は普通科に近い形で履修をする、二年次から学科選択するなど、柔軟な対応、選択ができる形についても検討課題とするべきと思うが、見解を伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 職業学科における履修などについて。職業学科においては、専門分野の基礎的・基本的な知識・技能をはじめ、より実践的な技術の習得のために、入学時から三年間の系統的な履修が可能となる教育課程を編成しているが、小樽市内の新設校の学科の在り方については、このような専門性を確保するための教育課程の系統性を考慮しつつ、生徒の多様な学習ニーズへの対応が可能となるよう検討していく。
― 指 摘 ―
川澄委員 できる限り地元で学ぶという観点も含め、た様々な生徒のニーズに答えるという点についても考慮しながら、職業学科の在り方について、さらに検討を進めていただきたい。
川澄委員 小規模校の在り方について。成田室長は以前、私の質問に対し、「道教委としては、これまでも知事部局と連携し、地域を支える産業の担い手育成などに取り組んでいるが、今後とも、本道の発展に主体的に貢献できる人材を育成するために、地域の自然や人材などの教育資源を活用しながら、特色ある高校づくりに取り組むとともに、地域ごとの特性、実情、高校に対する地域の期待なども十分考慮をしていく」と答えた。
このことは、中卒者の減少をもって、小規模校を削減していくことではないと考えている。あらためて見解を伺う。
松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 小規模校について。道教委としては、中卒者数の減少が引き続く中で、一定規模の生徒および教職員による活力ある教育活動を展開していくためには、高校の再編は避けて通れない課題であると考えているが、再編する場合にあっても、一律に行うのではなく、本道の広域性や地域の実情などを考慮し、小規模校であっても地理的条件などから再編が困難な場合には、地域キャンパス校として教育環境の充実に努めている。
今後においても、高校の配置が地域に与える影響、高校に対する地域の期待などを十分考慮しながら、適切な高校配置計画に努めていく考えである。
川澄委員 本道の広域性を特色としてとらえるのであれば、間口によって機械的に区分するのではなく、都市部と地方の高校の在り方を分けて考えていく必要性があると考えているが、見解を伺う。
松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 地域への配慮について。本道は、広域で多様な地域から形成され、それぞれの地域事情も大きく異なっており、都市部と郡部の高校では、学校・学科の配置状況、通学事情、地域とのかかわりなどの面で相違があると認識している。
郡部においては、自治体に一つの高校しか存在しない場合が多いこと、地理的状況等から再編が困難である場合があることなど、都市部と異なる状況があり、また、人口減少が及ぼす影響の度合いも異なることから、これら都市部と郡部の相違など、地域の実情を十分考慮していく考えである。
川澄委員 本道の特色は、広域分散性だと認識している。この点を長所と考えるのであれば、小規模校をどう支えていくかという観点が必要と考えている。例えば、生徒や教職員、地域や行政の関係者が参加し、小規模校での取組や課題、生徒が学習した成果を発表・交流できるような、小規模校サミットのようなものを、道教委が開催するべきと考えているが、見解を伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 小規模校に関する取組について。道教委ではこれまでも、小規模校において、確かな学力や職業観・勤労観、地域産業を担う実践的な能力が育まれるよう、学力向上やふるさと・キャリア教育、環境教育などの研究指定を積極的に進めるとともに、一学年一学級の高校に対する道単独の教職員の加配措置を行うなど支援に努めているほか、毎年開催している地域キャンパス校・センター校連携研究協議会において、各校の教職員や関係市町村教委職員の参加のもと、出張授業や生徒の相互交流の工夫などについて、研究協議を行うなど、各校の取組の充実に努めてきた。
今後、庁内組織における検討においては、関連する施策について検証しながら、小規模校の在り方や教育環境の充実に向けた方向性を取りまとめる考えであり、高校の魅力づくりや生徒の取組に関する小規模校間の情報交換や、連携を深めるための方策についても検討していく。
― 意 見 ―
川澄委員 小規模校を含めた生徒の取組に関する情報交換や連携を深めるための方策についても検討していきたいとの答えがあったので、評価したい。
小さな学校の良さや、小規模校ゆえの悩みもあると思う。こういった点について交流できる機会の検討を積極的に進めていただきたい。
川澄委員 地域キャンパス校の在り方について。センター校とキャンパス校となると、どうしても、主従の関係という形に、道民の目には映ってしまう。
こういったセンター校とキャンパス校という関係ではなく、対等な立場で集中講義期間を設定したり、互いの生徒が互いの学習や部活を交流できるようにするため、教育課程に柔軟性をもたせることも検討するべきではないか。
キャンパス校化という概念だけではなく、特色を生かして地域の様々な機関と連携した形で、複数キャンパス校をかかえた地域高校といった視点も含めて、学校再編の在り方を考えていく必要があると思うが、見解を何う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 地域キャンパス校について。地域キャンパス校においては、センター校からの出張授業はもとより、センター校との間で生徒会交流や部活動の合同実施、長期休業期間中におけるセンター校の進学講座への参加など、両校が連携した教育活動を行うとともに、センター校以外の近隣の学校と互いに教員を派遣するなどして、教育課程の充実に努めている。
今後とも、センター校との連携はもとより、近隣校との道立高校間連携を積極的に行うとともに、今後取りまとめる小規模校の在り方等の方向性も踏まえ、地域と、より連携した魅力ある高校づくりに取り組んでいく。
― 指 摘 ―
川澄委員 連携は、非常に重要と思っている。ただ、高校間の連携だけではなく、高等教育機関がある地域もある。地域の様々な教育機関と連携しながら、様々な学びができる。そういった形の高校の在り方についても、今後、検討していただきたい。
川澄委員 中卒者の学び直しとしての高校の在り方について、何点か伺いたい。高校中途退学者や、中卒で高校に進学しなかった方の社会的・職業的な自立が課題となっている。若者の就労に向けて、ジョブカフェ等の就労支援を行っているが、学歴等の壁が大きい。学び直しの重要性が問われている。
現在の指針では、中卒者数を基準として統廃合が進められてきている。今後の指針の検証に当たっては、中途退学者の学び直しの機会、また、技能の習得や資格を取るための学び直し、生涯学習の場としての役割も含めて検討していく必要があると思うが、見解を伺う。
相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 高校の役割について。定時制課程や通信制課程においては、高校を中退し、あらためて入学を希望する生徒など、様々な入学動機や学習歴をもつ生徒が学んでいる。
また、高校は、生徒や地域の実態などに応じて特色ある教育活動を行うとともに、文化・スポーツ活動といった生涯学習の場にもなるなど、地域において重要な役割を担っている。
今後の庁内検討においては、こうした高校が地域に果たしている役割などを踏まえ、地域キャンパス校や新しいタイプの学校など、指針に関連する施策について、成果や課題などを検証していく考えである。
― 意 見 ―
川澄委員 指針の見直しではなく、検証ということだが、現状の中卒者だけではなく、学び直しの場も取り入れた形で、高校の在り方を検討していくという点も含めて進めていただきたい。
川澄委員 高校配置に対する児童生徒の意見表明について。再編に当たっては、検討協議会等で地元の方や学校関係者、PTAの意見を聞いているが、学ぶ当事者である生徒の意見もある程度聞いていく必要があるのではないか。
こういった点について、知事は「地元の意見を聞いて」としているので、当事者の生徒の声を何らかの形で聴取、反映する場を検討していくといった考えで良いのか、見解を伺う。
成田新しい高校づくり推進室長 高校配置に対する意見について。これまでも、高校配置計画の策定に当たっては、地域別検討協議会などにおいて、市町村の関係者をはじめ、中学生や高校生の保護者や学校関係者などから、より多くの意見を伺うよう努めてきている。
また、統合によって新設される高校では、地域の中学生や保護者等から、新しい高校に対する要望や期待などについて意向調査を行い、教育課程等を検討する際の参考にしてきている。
道教委としては、今後の庁内検討に当たっては、市町村の関係者をはじめ、保護者や学校関係者などからこれまでいただいた意見なども十分に考慮しながら、指針の成果や課題などについて、検証していく考えである。
― 意 見 ―
川澄委員 検討協議会には様々な方が参加して、それぞれの立場で意見を申し上げているが、直接、当事者の声を聞いていくという視点をもつこと、特に、これからの将来を支える若者であるから、その意見を吸い上げていく場の設置を検討していくことを強く求めておきたい。
川澄委員 指針の検証について。高校での学びの主体は生徒である。また、学び直しで入る方々も中にはいると思う。指針の検証および見直しは、生徒の学ぶ環境を整備していくことや、学習する権利をしっかりと保障していくことを前提とするべきと考えている。この点についての見解を伺う。
杉本学校教育監 指針の検証などについて。道教委ではこれまで、高校配置計画の策定に当たっては、指針の考え方に基づき、高校の教育水準の維持向上と、生徒の学習環境の充実を図ることを基本に、地域の特性や実情を考慮しながら検討してきたが、かつて経験したことのない人口減少社会を迎える中、地域の教育機能を維持・向上させることは重要な課題であると認識している。
こうしたことから、今後、庁内に設置する検討組織において、中卒者の大幅な減少など高校を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、指針に関連する施策について検証を行うとともに、地域の特性を生かし、生徒や保護者にとって、より魅力ある学校づくりを進める視点に立って、小規模校の教育環境の充実などに向け、検討を進めていく考えである。
― 指 摘 ―
川澄委員 確かに、高校配置の問題は非常に難しい。他府県に比べると広域分散型の地域。人口規模も全く違う。こういった中で都市圏の学校再編の在り方とは、まったく違う観点で臨まなければならないと思っている。
また、人口減少の課題が本道の喫緊の課題であることは同感である。地域で学びたいと思う子どもたち、また、これからのまちを担う若手がいなくなっていく中で、どのように後期中等教育機関の在り方を考えるかが非常に重要だと思っている。
学ぶ生徒の意見をしっかりと取り入れていくという観点も、これからの見直しを含めて必要なものだと思っている。本道を支えていく子どもたちがどのような環境で学ぶことができるのか、そういった条件を整えるのが道教委の役目だと認識している。
こういった中で、地域の方、学校関係者、何よりも学ぶ主体である生徒の意見をしっかりと聞きながら検証を進めていき、年度内にしっかりと今の在り方について検証し、誰もが納得できるような、新たな指針をつくっていただきたい。
◆公職選挙法改正について
山崎委員 二十七年六月に文教委員会でも質問させていただいた。当時、大臣が二十七年八月に何らかの形でまとめて提出するということであったが、昨日、総務省および文科省が、副教材、教師用指導資料を公表した。
この指導資料なども含めて、どのようなねらいで、どのような内容になっているか伺う。
赤間高校教育課長 副教材などについて。このたび、総務省および文科省が作成した高校生向け副教材は、解説編、実践編、参考編の三編から構成されており、それぞれの編においては、選挙の実際についての解説、模擬選挙や模擬議会などの進め方、投票と選挙運動に関する質疑応答などが示されており、自分が暮らしている地域の在り方や日本・世界の未来について調べ、考え、話し合うことによって、国家・社会の形成者として現在から未来を担っていくという公共の精神を育み、行動につなげていくことを目指したものである。
また、教師用指導資料においては、高校生向け副教材を活用した指導事例や、指導上の政治的中立の確保等に関する留意点などが示されており、各学校において、副教材および指導資料を積極的に活用し、政治的教養を育む教育の一層の充実を図ることを目指したものである。
山崎委員 教師用資料の中にもあるとおり、教育的中立性は確保しなければならないと考えるが、道教委としての考えを伺う。
赤間高校教育課長 学校における指導について。今回公表された副教材および指導資料にも記載があるが、教育基本法には、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」、また、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、または反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と示されており、学校においては、これらの規定に基づいて、指導を適切に行うことが必要である。
道教委としては、学校で、政治に関する事項を扱う際には、こうした規定に反しないよう指導を適切に行うとともに、生徒が政治や選挙に関する理解を深め、様々な課題を多面的・多角的にとらえ、根拠をもって自分の考えを主張しつつ、他人の考えに耳を傾け、合意形成を図っていくことができるよう指導することが重要と考えている。
山崎委員 生徒が有権者として、自ら判断することが、絶対的に大切なことであるから、きちんとやっていただきたい。
もちろん教員は、学習指導要領に基づいて適切に行わなければならないが、政治的中立性で、疑わしい授業が行われた場合、道教委としては、どのように対応するつもりなのか伺う。
野﨑教職員課服務担当課長 教育公務員の政治的中立性について。教育公務員は、教育基本法に定める教育の政治的中立性の原則に基づき、特定の政党の支持または反対のために政治的活動をすることが禁止されており、学校で、政治に関する事項を扱う際には、こうした規定に反しないよう、生徒に対する指導を適切に行うことが必要である。
道教委としては、各学校において、学習指導要領に基づき、校長の権限と責任のもとで、教育課程を編成・実施するとともに、指導計画の作成や授業の実施について、不断の評価・改善に努めるよう指導するほか、教育の政治的中立性を確保し、学校教育に対する道民の信頼を損なうことのないよう、服務規律の保持について指導しているが、仮に法令等に違反する行為があった場合には、厳正に対処していく考えである。
山崎委員 高校生向けの教材は副教材という位置付けで、国から各学校に配られる。道教委として、配られたものに対し、どのような活用を促していくのか伺う。
赤間高校教育課長 副教材の活用について。このたび、国が作成した高校生向け副教材は、公民科の科目「現代社会」や「政治・経済」の授業における、憲法や選挙、政治参加に関する学習において、現実の具体的な政治的事象を取り上げる際に活用することをはじめ、総合的な学習の時間や特別活動等において、模擬選挙や模擬議会などの実践的な活動を取り入れたりする際に活用するための資料として作成されたものである。
こうしたことを踏まえ、道教委としては、各学校において、それぞれの学校や生徒の実態等に応じて、適切に指導計画を作成し、この副教材を積極的に活用するよう指導・助言していく。
山崎委員 若者の投票率低下が懸念されている中で、今回、十八歳に投票権が下がって、投票率の向上につながらなければならないと考える。
そうした意味でも、道教委として、高校生の政治に対する関心の状況は把握していく必要性があると考えるが、道教委の考えを伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 政治に対する関心の把握について。高校において生徒の政治的教養を高める指導の充実を図るために、現在の高校生の政治に対する興味・関心等について把握し、指導に生かすことは大切であると考えている。
このため、道教委としては、毎年度、高校一年生を対象に、教科に対する興味・関心などを把握するために実施している「学習状況等調査」において、政治に対する関心についての質問項目を設定するなど、本道の高校生の政治に対する関心について把握し、政治的教養を育む教育の一層の充実を図っていく。
― 意 見 ―
山崎委員 今後に対する期待も大きいと思うので、ぜひ取り組んでいただきたい。
◆不登校への対応について
山崎委員 文科省から、「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」が八月に出され、先般、「二十六年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」が公表された。
残念ながら、全国的な傾向として、この二年間、増加傾向にあるということだが、本道における、この十年で、不登校児童生徒数の状況はどのようになっているのか確認させていただく。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 不登校児童生徒の状況について。本道の公立小・中学校の在籍児童生徒数に占める不登校児童生徒数の割合は、十年前の十七年度と二十六年度を比較すると、小学校が〇・二三%から〇・三二%に、中学校が二・〇四%から二・六〇%になっており、年度によって増減はあるが、小・中学校のいずれにおいても増加傾向にあり、二十六年度の割合は、この十年間で最も高い値になっている。
また、不登校が増加した要因としては、今回の調査に関連し、文科省が実施した都道府県教委へのアンケート調査結果によると、家庭の教育力の低下等によって、基本的な生活習慣等が身に付かないことが不登校に結び付くケースが増えていることや、無気力で何となく登校しない児童生徒が増えていることなどが多く挙げられており、本道も同様の状況と考えている。
山崎委員 不登校に対して、道教委が今まで、どのように対応を行ってきたのか伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 不登校への対応について。学校はすべての児童生徒にとって居心地のいい場所であることが大切であり、このためには、教育活動全体を通じて、児童生徒の自己存在感や自己有用感を高める取組をはじめ、学ぶ楽しさを実感できる授業の実施、教育相談体制の充実などに努めることが重要であると考えている。
こうしたことから、道教委では、これまで、市町村教委や学校に対して指導助言を行うほか、児童生徒の望ましい人間関係を築く力を育む「中一ギャップ問題未然防止事業」や「高校生ステップアップ・プログラム」の実施、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣、不登校を解消した対応事例集の作成・配布などに取り組んできた。
山崎委員 不登校のきっかけとして様々な理由があるが、今回の調査でどのようなきっかけ、傾向なのかが示されている。そのような状況も含めて、どうなのか伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 不登校児童生徒の傾向などについて。文科省が設置した「不登校に関する調査研究協力者会議」が、二十七年八月に公表した中間報告では、不登校児童生徒の傾向等にかかわって、欠席状況が長期化すると、学習の遅れや生活リズムの乱れなどによって、その回復が困難であることや、不登校になったきっかけや継続している理由から、「無気力型」や「人間関係型」などいくつかの類型化が示されている。
道教委としては、このようなことから、不登校となる予兆を把握できた初期段階から、速やかに対応することや、不登校が継続している理由に応じた対応の在り方を検討することなど、不登校の未然防止はもとより、不登校の児童生徒一人ひとりの特徴に応じた、きめ細かな支援を行うことが重要であると考えている。
山崎委員 家庭や本人に何らかの問題があるということだけではなく、不登校になったきっかけが、学校の中にもあるのではないかということも考えなければならないのではないか。
一番心配なのが、中学校を卒業して、進路がどうなっているのかということ。就職も学校も行かない人たちは、引きこもりの中で成人になるまでの間、社会とふれることがない、ケアができないということが、非常に不安という話も聞いたことがある。社会に自立できるように手助けしていかなければならないと考える。
この進路状況についても、今回の結果が出ているので、伺いたい。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 不登校生徒の進路について。文科省が二十六年七月に公表した「不登校に関する実態調査」において、十八年度に不登校であった中学三年生を対象に、進路状況等を追跡したところ、回答のあった一千六百四人のうち、就職せずに高校等に進学した者の割合は八〇・九%、就職して働きながら、高校等に進学した者の割合は四・二%、高校等に進学せずに就職した者の割合は六・〇%、高校等に進学せず、就職もしなかった者の割合は八・四%であり、高校等に進学した者の割合は八五・一%で、五年度に不登校であった中学三年生の生徒を対象に実施した前回調査の六五・三%に比べ、一九・八ポイント増加しており、不登校生徒の高校進学率には上昇がみられている。
― 意 見 ―
山崎委員 その子どもたちが継続した支援を受けられるような体制を、中学校三年生の最終段階、例えば三学期、二学期制であれば二学期に、促していかなければならない。
同時に、道としても、きちんと把握していかなければならない。調査も含めて、考えていかなければならない。
その上で、保健福祉部と連携しながら、支援の継続が成り立つわけであるから、学校を卒業して社会とかかわらなければ何も接点がないということがないようにしていかなければならないと思う。
◇
山崎委員 不登校になって、長期化すればするほど、学校に行きづらくなるという話も聞く。未然も含めて、長期化する前に取り組まなければならないと考えるが、道教委としての考え方を伺う。
杉本学校教育監 不登校にかかわり、今後の取組について。不登校の未然防止のためには、児童生徒が学ぶ楽しさや自己存在感を味わうことのできる教育活動の充実を図るとともに、不登校の前兆を的確に把握する教育相談体制を充実させることが重要であると考えている。
道教委では、先ほど担当参事が申し上げたように、これまでも、学校教育指導や各種研修会を通して、市町村教委や学校に対し、不登校の未然防止や早期対応について指導助言を行うほか、児童生徒の望ましい人間関係づくりに向けた取組などを進めてきた。
また、本年度から、新たに、インターネット回線を活用した、専門家による教育相談等の支援を行う「教育カウンセリングICT活用事業」を実施するとともに、本日、児童生徒や保護者等からの相談に対し、問題の解決につなげる支援を行う「子ども相談支援センター」を開設した。
道教委としては、こうした取組の一層の充実を図るとともに、今後、不登校が継続している理由別に、効果的な対応の在り方を示した指導資料を作成・配布するなどして、不登校の未然防止、早期対応の充実に努めていく考えである。
(道議会 2016-02-08付)
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