道議会文教委員会の質問・答弁概要(11月4日)
(道議会 2016-02-12付)

 道議会文教委員会(二十七年十一月四日開催)における佐々木恵美子委員(民主党・道民連合)、丸岩浩二委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、岩渕隆義務教育課教育環境支援担当課長、堀本厚健康・体育課長、竹林亨学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆北海道総合教育大綱

佐々木委員 北海道総合教育大綱において、本道の教育課題の解決に向けた方策の一つとして、コミュニティ・スクールが重点項目に取り上げられている。学力向上や生活困窮世帯の子どもたちへの教育支援を、学校だけに任せるのではなく、家庭や地域との連携を軸に、地域全体で子どもたちの学びを支援するとしており、その具体的な推進方法の一つとして、コミュニティ・スクールを全道に広めようという考えである。

 しかし、これまでも家庭や地域の理解のもと、学校の抱える課題を地域全体でしっかり解決しようと支援を進めているはずであり、取り立てて、これをうたいながら進めるべきほどの内容ではないのではと思っている。

 コミュニティ・スクールは、十六年度に地教行法の改正が行われ、学校運営協議会を設置することができたにもかかわらず、現在、全国の公立小・中学校のうち約七%、本道は約三%に満たない状況の指定数である。二十七年十月一日現在においても、小中高四十三校で、導入しているのは十一市町村だけ。こういう状況の中、学校や家庭、地域にとって、コミュニティ・スクールが絶対的に必要ではない取組であることを物語っているのではないか。

 そのような取組を、あえて総合教育大綱に位置付けようとしていることに問題意識をもっており、そういう意味で質問させていただきたい。

 コミュニティ・スクールについては、全国で、いまだに未導入のところが多いという現状を踏まえ、国においても議論していると伺っている。そこで、コミュニティ・スクールに関する国の動向、併せて、国や道における設置目標等について伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 国の動向や目標などについて。現在、中央教育審議会において、既存の仕組みとの一体的な推進や地域人材の養成など、今後のコミュニティ・スクールの在り方等について審議されており、二十七年十二月に答申が出される予定となっている。

 目標について、国は、第二期教育振興基本計画において、二十九年度までに、全公立小・中学校の一割の約三千校をコミュニティ・スクールに指定することを目標に掲げており、道教委としても、道教育推進計画において、同じく、二十九年度までに、札幌市を除く全道の公立小・中学校の一〇%を目標に掲げている。

― 再質問 ―

佐々木委員 札幌市を除く全道の公立小・中学校の一〇%という答弁があった。大綱の施策項目8をみると、道内全地域においてとうたっている。これとの整合性を伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 整合性について。国が定めた第二期教育振興基本計画、あるいは、道が定めた道教育振興計画を定めた時期においては、一〇%を目標としていた。その後、中教審への諮問があり、その中で、今後、全国的に広げていくという方針に転換されつつあるので、それを受けて、現在、全道地域で推進していくということである。

― 指 摘 ―

佐々木委員 ならば、一〇%というのは、いかがなものかという気がする。整合性の中で、ここにうたっているのは中教審を見据えて書いているのかということを言いたかった。そういう意味では、この会議の中でどういう議論が出たのかという思いをもっているが、そのことを、まず、指摘しておきたい。

佐々木委員 設置の目標値が、国、道ともに一〇%というのは、コミュニティ・スクールが、学校と家庭と地域を結んで、子どもを支援するという単純な取組ではないということを示しているのではないかと思う。

 これまでも、学校と地域社会との関連の中で、学校支援地域本部がある。学校評議員制度もある。学校評価があるなど、学校改善に関する、いろいろな類似の取組が乱立している。

 その上、新たにコミュニティ・スクールを導入しようというのは、学校にとって負担感が増すのではないか。全国・全道の学校で導入が進まないのは、そこも、因果関係があるのではないか。

 コミュニティ・スクールを導入することで、学校の負担感が増すのではないかということについて、どのような考えをもっているのか伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 導入に関する負担感について。国が行った調査によると、学校運営協議会の日程調整をはじめとする準備などによって、管理職や担当教職員の負担があるなど、課題があることが示されている。現在、中教審においても、学校や地域の負担軽減等について議論されていると承知している。

 一方、コミュニティ・スクールを導入することによって、本道の指定校において、協議会委員からは、学校の目指す方向や教育活動がよく分かった、学校からは、放課後学習や放課後の見守り活動について、地域住民の協力が得られるため、会議や授業の準備の時間を確保することができたなどの成果が上げられている。

 コミュニティ・スクールは、地域住民が学校運営に参画し、学校と地域が力を合わせて子どもの成長を支えることによって、「地域とともにある学校づくり」や地域コミュニティづくりを進める上で有効な手立てであり、地域の実情に応じた導入が図られることが重要と考えている。

― 再質問 ―

佐々木委員 各地域には、PTA団体や学校支援地域本部、学校評議員など、これまでにも多くの学校支援を行う仕組みがある。その整理が行われないまま、コミュニティ・スクールの導入ということであれば、混乱を招くおそれもあるのではないかという思いがある。道教委として、コミュニティ・スクールを推進する際に、既存の仕組みをきちんと整理する必要があると思うが、どのように考えているのか。

梶浦学校教育局長 既存の仕組み、制度の活用について。学校支援地域本部や学校評議員などの既存の仕組みについては、いずれも、学校と地域の協働関係・信頼関係の土台となる大切な取組となっている。

 そのため、コミュニティ・スクールの導入の際には、これら既存の仕組みに追加して導入する方策や、例えば、学校評議員制度を廃止し、その機能だけを学校運営協議会に位置付けたり、学校運営協議会で協議した内容を、学校支援地域本部で実行したりするなど、既存の仕組みの機能を活かしながら、段階的に発展させる方策もあると考えており、道教委としては、地域や学校の実情に応じて、地域が学校運営に参画する持続可能な仕組みを構築できるよう、指導・助言に努めていく考えである。

― 再々質問 ―

佐々木委員 コミュニティ・スクールは、地教行法の改正後、十年間で、道内においては、わずか十一市町村、四十三校しか導入されていない。教育委員会や学校にとっては、それほど必要感はなかったのではないかということを意味しているのではないか。

 さらに、成果の分析では、学校と地域の連携が深まったとか、教員の準備の時間がとれるようになったなど、従来行っていた学校支援と同様の成果しかないのではないか、コミュニティ・スクールを導入しなくても、これらの成果を上げている学校や地域はたくさんあるのではないか。この程度の成果をもって、なぜ、北海道総合教育大綱の中に、重点的に取り上げて、全道に広めようとしているのか、その理由がよく分からない。

梶浦学校教育局長 導入の経緯と必要とされる理由について。道教委は、これまで、国の導入促進事業やCSマイスターによる説明会を国と共催で開催するとともに、こうした内容を案内として全道に通知しており、市町村教委はそれぞれの実情に応じて、国に申し込み、主体的に導入している。

 理由についてだが、子どもをめぐっては、規範意識や社会性の欠如など、様々な課題が指摘される中、これからの時代を生き抜く力を育み、命や安全を守るために、学校だけではなく、目標や課題を地域と共有しながら地域総がかりで子どもたちを育むことが必要であり、学校は、家庭や地域との組織的・継続的な連携・協働体制を構築し、一体となって子どもたちの育成に取り組むことが重要である。

 このようなことから、本道においても、生まれ育った本道や地域に誇りをもち、活力ある未来の地域の創造に主体的に参画する人材を育成するため、学校と地域が連携・協働して子どもたちを育む方策の一つとして、コミュニティ・スクールなどを効果的に活用することが大切であると考えている。

佐々木委員 コミュニティ・スクールの導入が全国的になかなか進まない要因については、学校負担増に関連する、そもそもの不要論と併せて、学校運営協議会の役割の一つにある「教職員の任用に関して、意見を出すことができること」が、指導のプロである教員に対して、素人である保護者や地域が、指導の本質をしっかりと理解せずに、短絡的に意見を述べるのではないかという不安感を増幅させているからではないか。

 子どもたちのために努力している教員の人事は、教員個人の事情や学校内の状況、教科等の状況を踏まえて、教育委員会が決定するもの。保護者や地域住民が、様々な意見を出すということは、本来の人事の仕組みではないはず。

 本道において、コミュニティ・スクールの導入を進める場合、教職員の任用に関する事項の取扱いは、どのように考えているのか。教育長は、これについて、どのような見解をもっているのか伺う。

柴田教育長 協議会における、教職員の任用の扱いについて。教職員の任用については、法律上、学校運営の基本方針に対する承認とは異なり、学校運営協議会は、当該校の職員の採用、その他の任用に関する事項について意見を述べることができるとしており、その扱い、対応についても、任意という取扱いになっている。ただ今、委員から指摘があったように、最終的に人事異動については、市町村教委の内申権、校長の意見具申権に変更が生じるものではなく、任命権者の権限と責任において、任命権を行使するものであると、私は理解している。

 コミュニティ・スクールにおける扱いについては、先行事例においても、任用に関する権能を行使するかするかどうかについては、必ずしもすべてにおいて扱えているものではない状況にあることも認識している。これらについては、逆に、地域において、こういった人材がこの学校には必要だという見方で行使される可能性も、私としてはあるものと考えているが、いずれにしても、最終的に任命権者の権限と責任において、任命権を行使するものとなると考えているし、コミュニティ・スクールにおいては、こうした制度の趣旨に基づき、それぞれの地域の実情に応じて、適切にその取扱いを定めていただく必要があると考えている。

佐々木委員 今、教育長から、教員の人事については、各学校の地域の実情に応じて取扱うことができるという答弁があった。学校と家庭、地域が連携・協働して、地域、社会全体で子どもたちをしっかり育てるという仕組みであって、それを全道的に展開していこうとするならば、教員の人事の取扱いなど、懸念される内容については、曖昧な取扱いではなく、道教委でしっかり整理して、方向を示すことが必要ではないかと思うが、再度伺う。

柴田教育長 教職員の任用等について。国においても、このコミュニティ・スクールの導入が進まない要因の一つとして、教職員の任用に関する意見に対し、学校や教育委員会から不安や懸念の声があることを認識していることから、現在、中教審において、より柔軟な運用について検討されているものと承知している。

 先ほども答弁申し上げたが、この教職員の任用等に関する事項等については、こうした国の動向も注視しながら、各市町村教委において、学校や地域の実情に応じ、取扱うことが重要であると考えている。

佐々木委員 コミュニティ・スクールは、学校と家庭、地域が連携して学校運営を進めて、子どもへの支援を充実させていく取組である。その中心となるのが合議制の学校運営協議会であると認識しているが、学校と家庭、地域だけではなく、中心となる子どもの意見を聞くことが欠如しているのではないかと思っている。

 コミュニティ・スクールを導入する場合には、学校運営に子どもの声を反映させる、子どもにとって魅力のある学校にする、子どもたち自身も、今、抱えている課題にしっかりと向き合って、ともに地域の中で自分たちの声を出しながら、学校を誇りあるものにしていくことが必要ではないかと思っている。

 そういう意味では、学校運営協議会委員に、子どもの代表を加えて、子どもの意見表明の場を与えるなどの工夫が必要ではないかと思っている。

 道教委は、このことに、どのような見解をもっているのか伺う。

梶浦学校教育局長 子どもの意見の集約などについて。学校運営協議会の委員の人数や構成等については、各教育委員会の規則等で定めることとしており、国においては、学校運営協議会は、学校の管理運営に一定の権限をもって関与する機関であるため、児童生徒をその委員として参画させることは想定されていないが、学校運営協議会において、必要と認める場合には、発達の段階に配慮しつつ、子どもに意見を述べさせたり、必要に応じて、学校運営協議会委員と子どもの代表が意見交換したりする機会を設定するなどの工夫を行うことも必要であると考えている。

― 再質問 ―

佐々木委員 子どもたちが将来、社会に積極的に参画していく、当事者責任をもたせるという観点では、学校運営協議会の場において、子どもの意見を聞く機会を設定するだけでは不十分だと思っている。子どもを委員に正式に任命して、協議会のメンバーとしての意見を集約する必要があると考えるが、その必要性について、見解を伺う。

梶浦学校教育局長 委員について。任命された委員は、法に基づき、一定の権限と責任をもって、学校運営に参画することから、その委員は、特別職の非常勤の地方公務員として、教育委員会において任命される。また、協議を通じ、児童生徒のプライバシーに関する情報を知り得ることもある。さらに、知り得た内容について、守秘義務を課すことが必要となることから、国においては、児童生徒に委員として参画させることは、想定していない。

 学校運営協議会が子どもの意見を聞いている事例もあることから、こうした事例について、指導資料などを通して、今後、紹介していきたいと考えている。

― 再々質問 ―

佐々木委員 協議会委員に子どもを入れることについて、国は想定していないというが、高校生であれば、選挙権も十八歳から認められたことから、責任をもって発言することなどが可能である。いろいろと工夫しながら、道独自の取組として、委員に任命できないか。その必要性について、道として、どのように考えるか伺う。

梶浦学校教育局長 子どもの意見を聞くこと等について。充実した教育活動を行う上でも、様々な場面や、それぞれの段階で子どもの意見を聞くことは重要なことであると考えている。

 子どもの意見を聞くことについては、今後、先行事例において、学校運営協議会として、子どもの代表の意見を聞いている事例が全国的にも少なくないと聞いているので、このような工夫について、指導資料等を通して、今後、紹介するなどして周知していく考えである。

―再々々質問―

佐々木委員 重要なことだという見解をもっているとするならば、道から国に、これは重要なことだということを、きちんと申し立てをするか伺う。

杉本学校教育監 学校運営協議会に児童生徒を入れるべきという話について。委員から話があったとおり、法律で定められた委員について、国では、児童生徒に委員として参画させることは想定していないということである。指摘のあった点については、今後の国の動向を見極めながら、対応を検討していきたいと考えている。

―再々々々質問―

佐々木委員 重要なことだという認識をもっているのならば、道として、これからの本道の人材養成に必要だということを言っている。

 子どもの意見を聞かず、大人だけで、コミュニティ・スクールの運営ができるわけがないではないか。ここが一番大事。子どもの意見をきちんと聞く、その聞き方、手法はいろいろとある。とても大事なことだと思う。教育長の見解を伺う。

柴田教育長 運営協議会における子どもの意見の反映について。総合教育会議において、委員からも指摘があったが、運営協議会が子どもたちの代表から提案を受けて議論している場面が講師の説明にあり、子どもたちが自分たちの学校を含めて、地域がどうあるべきかを提案するのに対して、運営協議会の代表である町内会長が、子どもたちの発言に対して、いい考えだけれど、これはすごくお金がかかるといった生の話をしながら、議論していた。

 まさに、委員から指摘があったように、子どものそうした意見を表明する場面を運営協議会の中でもつことは、私も非常に大切なことだと思うし、子どもたちの教育ために必要だと思っている。

 それと、委員として採用するかについては、今の段階で認められていない。それについては、私どもとしても、どうやって子どもたちの意見をしっかりととらえていくかということを道内の実践の中でも研究しながら、事例を踏まえて、発展的に、コミュニティ・スクールの中で子どもたちの意見をしっかりくみ取れるような仕組みを、もっと研究していきたいと考えている。

― 指 摘 ―

佐々木委員 中教審に出て、そのままやらなければならないのか。違うだろう。都道府県独自のコミュニティ・スクールの在り方を検討している。道はどうあるべきか、議論しなければならないという話をしている。子どもたちの理解を求めながら、きちんと一緒に、ともにというところが、大事なのではないか。

 これは、知事にもきちんと言っていただきたい。やはり、そこが大事。どこが大事なのか、子どものところである。ここがおざなりになっている気がしてならない。

佐々木委員 保護者や地域住民からの意見をしっかりと学校運営に反映するのであれば、当然、適正配置の問題が出てくると思う。高校にコミュニティ・スクールを導入していくことによって、適正配置計画に影響を与えて、地元住民の声を大切に生かすような仕組みになると考えていいのかどうか、伺う。

杉本学校教育監 道立学校における導入について。保護者や地域住民が主体的に学校運営の充実・改善を目的に協議し、地域の信頼を得て充実した教育活動を推進するコミュニティ・スクールの導入は、地域に開かれた、子どもたちにとって魅力ある学校づくりにつながるものと考えている。

 道教委としては、現在、導入している別海高校の成果や課題を整理し、学校の立地条件や特性を考慮した上で、地域の実情に応じ、保護者や地域住民の意見を学校運営に反映することができるコミュニティ・スクールの導入について、検討していく考えである。

佐々木委員 本道では、広域的および特色ある地域性の観点からも、それぞれの地域の特色を生かして、すでに多くの学校や地域で、学校支援活動や地域との連携を独自に進めている。

 そんな中で、国も道教委も、コミュニティ・スクールの導入促進を進めている。もし、本道において、各学校がコミュニティ・スクールをもっと導入していくのであれば、地域の特色ある活動を十分に生かした形で実施することが必要ではないかと思っている。

 そのために、国の示しているコミュニティ・スクールにこだわってはいけないのではないか。こだわるのではなく柔軟な形で、本道の家庭や地域の力を十分に引き出すことができるような、北海道型のコミュニティ・スクールとしていくべきではないかと考えるが、いかがか。

杉本学校教育監 本道におけるコミュニティ・スクールの導入促進について。現在、中教審において、地域とともにある学校づくりに向け、議論されており、道教委としては、こうした国の動向を注視し、導入促進に向けて取り組む考えであり、その際、学校と地域の双方が、「地域でどのような子どもを育てていくのか、どのような地域をつくっていくのか」というビジョンを共有することが大切であることから、その実現に向けて、それぞれの地域の自主的・自律的な動きを後押しすることが重要であると考えている。

 そのため、市町村の実情に応じて、地域が学校運営に参画する持続可能な仕組みとなるよう、制度の説明や先進地域の情報を提供するなどして、コミュニティ・スクールについての理解の促進に努めていく考えである。

― 再質問 ―

佐々木委員 今後、道立学校にコミュニティ・スクールを導入する際、道教委としては、どのような基準で指定しようとしているのか。学校運営協議会委員の選任を含めて、どのように考えるか伺う。

梶浦学校教育局長 今後の進め方などについて。道教委においては、今後、道立学校へのコミュニティ・スクール導入の検討に当たり、現在、取り組んでいる別海高校の導入の経緯や手続き、成果や課題を整理し、国の動向を見極めながら、学校の特性や立地条件など、地域の実情に応じたものとなるよう留意して検討を進めていく考えである。

― 再々質問 ―

佐々木委員 国の動向を見極めながら、地域の実情に応じたものとなるように、検討を進めるという答弁をいただいた。具体的に、何をどのように検討していくのか。

杉本学校教育監 今後の進め方などについて。道立学校が所在する地域におけるコミュニティ・スクールに対する理解や思いなどを把握して、国が示す枠組みの中において、本道の広域性や地域の歴史、文化、自然などの特徴を生かした形で、どのようなコミュニティ・スクールを導入することができるかについて、実情に応じて検討していく考えである。

― 指 摘 ―

佐々木委員 国が示す枠組みの中から一歩も出ていない。国が示す枠組みばかり答弁している。道としての主体性がない。道としてどうあるべきかというところが、まだまだ研究と理論が足りない。しっかりと、そこを精査して、きちんと大義をもって説明できるように勉強していただきたい。

◆体育活動中の事故防止

丸岩委員 二十七年九月二十七日、大阪府の八尾市の中学校の体育大会において、組体操のいわゆる「ピラミッド」が崩れて、生徒が重症を負うという残念な事故が発生した。報道によると、当該校では、十段の「ピラミッド」を男子生徒が行うことが一つの伝統となっているということであった。

 運動する上で、けがを一〇〇%なくすということは難しく、けがをするからといって、その発生が心配される、いわゆる組体操や騎馬戦などの活動をすべて行わないようにすべきという考えではないが、本道においても、小・中学校の運動会や体育大会等で同様の種目が実際に行われていると思われる。

 こうした事故を起こさないという観点から、今回の事故を対岸の火事とすることなく、今後の未然防止や安全対策の取組につなげていく必要があると考えている。

 こうしたことから、以下、本道の状況や道教委の取組等にかかわって、数点にわたって伺いたい。

 まず、二十六年度および二十七年度、本道の小・中学校において発生した組体操や騎馬戦を行っている最中の事故の状況について伺う。

堀本健康・体育課長 事故の発生状況について。道教委では、他府県において、組体操中に骨折等の重大な事故が発生していることを受け、あらためて、二十六年度と二十七年度における道内の小・中学校の運動会等での組体操の実施状況や事故の発生状況について、調査を行った。

 その結果、札幌市を除く道内の公立小・中学校において、道教委への報告対象となっている全治三週間以上の負傷事故が、二十六年度では八件発生しており、その内訳としては、小学校で、骨折四件、脱臼一件、捻挫一件、打撲一件の計七件、中学校で、骨折が一件となっている。

 また、二十七年度では十件発生しており、いずれも小学校での事故で、骨折七件、捻挫二件、挫傷一件となっている。

 なお、騎馬戦に関しては、こうした事故の報告は受けていない。

丸岩委員 二十六年度および二十七年度の本道の小・中学校の運動会や体育大会における組体操の実施の状況について伺う。

 また、他府県では、組体操の中でも、いわゆるピラミッドやタワーにおいて、大きな事故が発生していたと聞いている。

 二十七年度に、これらの種目を取り入れている学校の状況を伺う。

堀本健康・体育課長 組体操の実施状況について。札幌市を除く道内の公立小・中学校において、運動会などで組体操を実施した学校数は、二十六年度が、小学校では三百三十六校で全小学校の三六・九%、中学校では二十五校で全中学校の四・八%、二十七年度が、小学校では三百二十九校、三六・九%、中学校では二十四校、四・七%となっている。

 なお、二十七年度、ピラミッドやタワーを実施した学校数は、ピラミッドが、小学校では三百校で組体操実施校の九一・二%、中学校では二十校、八三・三%、タワーが、小学校では二百六十六校、八〇・九%、中学校では十六校、六六・七%となっており、多くの学校でピラミッドとタワーの両方が実施されている状況となっている。

丸岩委員 運動会や体育大会は、運動に親しんだり、楽しんだりするといった意義を有するとともに、それぞれの学校や地域の伝統、特色なども反映されていると考えている。

 また、組体操には、学年や学級の団結を高める、協調性を高めるといった効果とともに、子どもたちの練習の成果を発表するという点で、大変に意義があるものとは考えている。

 一方で、教室での座学とは違い、身体活動を伴う体育活動中では、これまでも、骨折などの大きな事故が起きたことがあると思われる。

 道教委として、組体操も含め、体育活動中の事故防止に関し、どのような指導に取り組んできたのか伺う。

堀本健康・体育課長 事故防止にかかわる指導について。道教委ではこれまで、組体操を特に取り上げてはいないが、体育活動全般に関し、事故防止のための方策や安全対策のポイントなどを掲載した『学校体育活動中における事故防止の手引』を作成し、道立学校および市町村教委に配布の上、その活用を促してきた。

 また、毎年度、発出される「学校における体育活動中の事故防止等にかかわる」文部科学省通知を踏まえて、道立学校および市町村教委に対し指導を行うとともに、校長会議のほか、各種の体育実技講習会や初任段階研修など様々な機会を通じ、体育活動中の事故防止の取組として、安全点検の励行、指導計画等の整備および児童生徒の技能の程度や健康状態の把握、体育活動中の指導体制の整備などについて指導してきた。

丸岩委員 昨今、保護者の価値観が、大変多様化している。学校に対して、様々な要請や要望が寄せられる中で事故が発生した際には、学校としても、様々な対応が求められると考える。また、けがをした子どもについても、学校生活の中で、通常の授業のほかに部活動や少年団活動に支障が生じることも考えられる。

 学校では、今後、二十七年度における教育活動の評価が行われ、新年度の教育計画が検討・作成される時期でもある。

 このたびの八尾市における「ピラミッド」の事故を機に、各学校が自ら取組をしっかりと検証しながら、今後の安全対策に生かしていくことが求められると思っている。

 本道では、五月から六月が運動会等のシーズンとなっている。練習中や当日に事故が起きると、子どもたちにとって楽しいはずの行事が、一転して暗いものになってしまう可能性が含まれているので、運動会での組体操、騎馬戦をはじめ、ムカデ競走なども事故が多いと聞いているので、これらを含め、骨折のような重大な事故が発生することのないよう、あらためて学校等に対し指導を徹底していく必要があると考える。

 道教委としての今後の取組について伺う。

菅原学校教育局指導担当局長 今後の対応について。運動やスポーツは、事故が発生する危険性を常に有していることから、学校では、児童生徒の発達段階や健康状態を考慮した指導に留意するとともに、日ごろの安全管理や活動時における安全指導を徹底し、事故の防止に努めることが重要と考える。

 道教委としては、こうした考えのもと、今後、組体操なども含めた体育活動全般に関して、来年度に向け、児童生徒の発達段階や技能の習熟の程度に応じてい るか、具体的な危険性を想定し、安全を考慮した活動内容になっているかなど、具体的な見直しの観点やチェックリストなどを示し、本年度の活動について検証を行うよう指導通知を発出するほか、指導主事の学校訪問、各種会議や研修会の機会を通じて事故防止に万全を期すよう指導を行うなどして、学校における体育活動中の事故の防止を徹底していく。

◆学校における防災の取組

丸岩委員 ここ数年、ゲリラ豪雨や大型台風など、想定を超えた気象現象が発生をしている。本道においても、二十七年十月には、低気圧や台風によって、家屋や農地など甚大な被害が生じている。

 道内の学校においては、児童生徒の安全確保のため、休校などの措置がとられ、子どもたちが被害に遭うことはなかったと承知しているが、今後、冬を迎える。授業を行っている間にも、天候が急変したり、登下校中に突風や豪雨、地震などの自然災害に遭遇することも予測される。

 こうした際に、子どもたちの安全確保、そして、子どもたちが自分の身を守る行動の仕方について備える必要があると考えており、以下、数点伺っていく。

 学校では、災害等の発生に備え、子どもたちの安全を確保できるように、避難訓練を実施したり、危機管理マニュアルを作成していると承知している。

 道内の小・中学校における避難訓練の実施状況および危機管理マニュアルの作成状況について伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 学校における防災の取組について。二十七年度、地震や風水害などの自然災害を想定した避難訓練については、道内すべての公立小・中・高校において実施されている。

 そのうち、年度内に複数回実施している学校の割合は、全体で九三・四%であり、校種別では、小学校で九七・五%、中学校で八九・一%、高校で八六・八%となっている。

 また、避難の手順や安否の確認、児童生徒の保護者への引渡しの方法などを整理した危機管理マニュアルについても、道内すべての公立学校で作成されている。

丸岩委員 学校で防災教育を進めるに当たっては、子どもたちが自ら危険を予測しそれを回避する力、また、的確に行動できる力を身に付けることが重要であると思われる。

 道教委として、児童生徒にこうした力を身に付けさせるために、これまでどのような取組を行ってきたのか伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) これまでの取組について。防災教育を進めるに当たっては、児童生徒に地震や風水害などの自然災害について正しく理解させ、児童生徒自らが危険を回避し、適切な行動をとることができる力を身に付けさせることが大切であり、各学校では、これまでも、理科や社会科、保健体育などの教科や、特別活動等において指導してきている。

 また、道教委では、防災教育の優れた実践例等を掲載した『学校安全推進資料』や、『安全教育実践事例集』の活用を促すなどして、年間を通じて、計画的に防災教育を実施するよう指導してきているほか、校種別、災害種別ごとに作成した防災教育啓発資料『学んDE防災』を、道内すべての公立学校の児童生徒に配布するとともに、教職員やPTA、行政関係者等を対象とした、「全道防災教育研究フォーラム」や「学校安全教室」等を実施するなどして、自他の安全に配慮して安全な行動をとることに重点を置いた防災教育の充実に努めてきている。

丸岩委員 昨今、不審者による児童生徒に対する、声かけといった事件も多く発生している。地域の方々と子どもたちのコミュニケーションが大変に希薄になっている現状と思われる。地域と学校にも距離感が生まれているのではないか。

 防災に関しても、地域の特性等を踏まえながら、学校と地域住民、PTA等とが連携した防災訓練を実施する取組が大変重要だと思われる。

 それについて、道教委の見解を伺う。

菅原学校教育局指導担当局長 地域と連携した防災訓練について。地震や風水害などの自然災害は、授業中だけではなく、登下校時などにも起こり得ることから、学校と保護者や地域が連携した自然災害に対応するための体制を整備することが重要である。

 また、学校における防災教育を効果的に進めるためには、近隣の住民の参加を得た、地域と連携した訓練を実施するほか、避難の際の連絡体制や避難経路、保護者への引渡しの方法の確認など、地域の実情を踏まえた取組の充実を図ることが大切であると考えている。

 こうしたことから、道教委としては本年度、体験活動を通じて、地域と連携した取組を進めるモデルを作成する「防災キャンプ推進事業」および「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」を実施するとともに、二十八年一月に開催の「全道防災教育研究フォーラム」において、これらの事業の成果の普及啓発を進めるなどして、地域と連携した防災教育の一層の充実に努めていく。

丸岩委員 近年、自然災害によって、想定を超える甚大な被害も多く発生している。これまでの取組に加えて、突発的な気象の変化等に際し、児童生徒の安全の確保、また、児童生徒を保護者に安全に引き渡す手立てなどを示した対応のマニュアルをしっかりと作成することが必要と思われる。

 道教委として、今後、どのようにその点について取り組んでいくのか伺う。

杉本学校教育監 今後の取組について。道教委では十九年度から、緊急事態発生時の対応マニュアルとしての『危機管理の手引』を作成して、その後、数回にわたり内容の追加を行ってきており、各学校に対して、自然災害の発生等に際し、本マニュアルを活用して、児童生徒の安全が確保されるよう指導してきたが、今後は、突発的な気象の変化等に際しても対応できるよう、内容の一層の充実を図る必要があるものと考えている。

 このため、近年の気象状況の変化にかんがみ、登下校中の地震、風水害・雪害などの突発的な自然災害を想定したマニュアルを『危機管理の手引』の追録として新たに作成・配布し、学校における防災教育の一層の充実に努めていく考えである。

(道議会 2016-02-12付)

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(2016-02-18)  全て読む

道議会文教委員会の質問・答弁概要(11月4日)

 道議会文教委員会(二十七年十一月四日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、山崎泉委員(北海道結志会)の質問、および山本広海教育部長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、加賀学...

(2016-02-17)  全て読む

道議会文教委員会の質問・答弁概要(11月4日)

 道議会文教委員会(二十七年十一月四日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および山本広海教育部長、秋山雅行総務政策局長、桜井康仁教育政策課長、野﨑弘幸教職員課服務担当課長...

(2016-02-16)  全て読む

道議会文教委員会の質問・答弁概要(11月4日)

 道議会文教委員会(二十七年十一月四日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、梶浦仁学校教育局長、赤間幸人高校教育課長...

(2016-02-09)  全て読む

道議会予算特別委員会の質問・答弁概要(10月1日)

 道議会文教委員会(二十七年十月一日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合)、山崎泉委員(北海道結志会)の質問、および杉本昭則学校教育監、菅原行彦学校教育局指導担当局長、成田祥介新し...

(2016-02-08)  全て読む

道議会文教委員会の質問・答弁概要(10月1日)

 道議会文教委員会(二十七年十月一日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、佐々木恵美子委員(民主党・道民連合)の質問、および杉本昭則学校教育監、菅原行彦学校教育局指導担当局長、佐藤...

(2016-02-05)  全て読む

道議会文教委(2月2日) 公正性・透明性を確保 教科書採択問題

 道教委は、二日の道議会文教委員会で、本道分の「教科書発行者による自己点検・検証結果」を報告し、今後も、教科書採択の公正性・透明性確保に万全を尽くす意向を表明した。  教科書会社が、教員等...

(2016-02-04)  全て読む

道議会文教委(2月2日) 保護者の意識啓発促進 児童生徒の学力向上に向け

 道教委の杉本昭則学校教育監は、二日の道議会文教委員会で、本道の児童生徒の学力向上に向け、保護者の意識啓発を積極的に促進すると答弁した。加藤貴弘委員(自民党・道民会議)の質問に答えた。  ...

(2016-02-04)  全て読む