道議会決算特別委の質問・答弁概要(11月11日)(道議会 2016-02-19付)
道議会決算特別委員会(二十七年十一月十一日開催)における大越農子委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、秋山雅行総務政策局長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、佐藤和彦学校教育局特別支援教育担当局長、野﨑弘幸教職員課服務担当課長、赤間幸人高校教育課長、小原直哉特別支援教育課長、松本邦由新しい高校づくり推進室参事(高校配置)の答弁概要はつぎのとおり。
◆教職員の不祥事防止
大越委員 二十七年十月四日に高校長が無免許運転で警察に検挙され、無免許となった原因が二年前の酒気帯び運転であったことが報道された。子どもを教育する学校の責任者であり、一般の教員を指導監督すべき立場にある校長の事故は、決してあってはならない、道民の信頼を裏切る行為であって、地元の地域をはじめ大きな反響があった。私自身、強い怒りと危機感を感じている。
関連して、いくつか質問する。
まず、今回の事故の概要について伺う。
野﨑教職員課服務担当課長 事故の概要について。事故者は、二十五年九月に酒気帯び運転で検挙され、三十万円の罰金を科せられるとともに、運転免許取消二年間の行政処分を受けていたが、その後も、免許証のないまま、通勤や私用などで日常的に運転を続け、本年十月四日に無免許運転で逮捕されたものである。
大越委員 この事故に対する、道教委としての受け止めを伺う。
柴田教育長 このたびの事故について。管理職をはじめとする教職員には、子どもたちの「生きる力」を育成することに真剣に取り組み、子どもや保護者の願いに公正・公平・誠実に対応し、信頼される存在であることが求められている。道立高校は、子どもたちの進学や就職などの面で、地域から期待され、様々な支援をいただいている。
そうした中、道立学校の校長が、生徒の教育に直接携わる教員を監督する立場にありながら、酒気帯び運転や無免許運転という重大な事故を起こし、地域の信頼を裏切ったことは誠に遺憾であり、生徒や保護者をはじめ地域の皆さんや道民の方々に、深くおわび申し上げる。
道教委としては、今後、こうした事故を二度と起こすことのないよう、服務規律の徹底に努めていく。
大越委員 今回の事故は、学校の最終的な責任者である校長による事故であるが、二十二年度から二十六年度までの過去五年間に、校長による交通事故や、違反による懲戒処分の件数は何件あり、どのような内容の処分を行ったのか。
野﨑教職員課服務担当課長 懲戒処分の件数などについて。札幌市を除く、道内の小・中学校、高校、特別支援学校の校長による交通事故および違反は、過去五年間で十一件あり、その内訳は、小学校が四件、中学校が三件、高校が四件で、処分内容は、免職が一件、減給が十件となっている。
大越委員 今回の事故が発生するまで、道教委では、交通事故や無免許運転、飲酒運転について、どのような指導を行ってきたのか伺う。
野﨑教職員課服務担当課長 事故の防止に向けた指導について。これまでも、公立高校長・特別支援学校長会議や道小・中学校長会総会、さらに、管内ごとの公立学校長会議において、道教委から直接指導・助言するほか、毎月、各道立学校や市町村教委に対し、発生した交通事故の内容や地区別の件数など、学校で要因分析や対策の検討などに活用できる資料を送付するなど、交通違反や事故防止の徹底に取り組んでいる。
また、本年度に入り、教職員による酒気帯び運転で三件、無免許運転で二件の懲戒処分を行ったことから、八月に、再発防止を図るための指導通知を発出した。
特に、無免許運転については、各学校において、職員の運転免許証の更新漏れの有無を確認するよう、各道立学校や市町村教委に指導した。
大越委員 八月に運転免許証の確認を行ったということであるが、結果はどうだったのか。
野﨑教職員課服務担当課長 運転免許証の確認について。各学校においては、教職員課からの通知を受け、職員の朝の打ち合わせなどにおいて、全職員を対象に、無免許運転や酒気帯び運転など交通違反の防止について指導するとともに、職員自らの申告や運転免許証の提示などによる確認を行った結果、無免許運転等の報告はなかった。
大越委員 今回、校長による無免許運転が起きているが、道教委では、今回の事故を踏まえて、どのように対応したのか伺う。
秋山総務政策局長 事故後の対応について。今回の事故を踏まえ、緊急に、道立学校および道教委事務局の管理職を対象に、道立学校については、教育局の管理職や校長が、道教委事務局については、所属長などが、運転免許証原本の提示によって、有効期間のほか、「運転免許停止処分者講習」の受講の有無や理由などを確かめ、無免許運転を行っている者がいないことを確認した。
大越委員 現在、議会ではすべての会派が一致して、飲酒運転防止条例の制定に向け、取り組んでいる。そのようなときに、子どもたちに法律をはじめ、社会の約束事を守る大切さを教える教員の、しかも、学校の責任者である校長が飲酒運転などで免許を取り消されたにもかかわらず、無免許運転で検挙されたということは、言語道断である。
このような事故を二度と起こさないように、道教委として、どのように取り組むのか。
柴田教育長 今後の対応について。道教委としては、学校教育の成否の鍵を握るのは、保護者をはじめ地域の方々との信頼や協働を基盤として、校長のリーダーシップのもとで、適切な学校運営を行うことであると考えており、こうした信頼関係や学校運営の前提となるのは、管理職をはじめとした教職員の法令等の順守であると認識している。
今後は、先ほど担当課長から答弁申し上げた取組に加えて、こうした事故を二度と起こすことのないよう、あらためて指導通知を発出し、未然防止の観点から、各学校において、年度当初の自家用車の公用使用の承認の際に、運転免許証の提示による確認をするとともに、終了後に、飲酒運転や無免許運転を含め過去の交通違反が記載された「運転記録証明書」が送付されるセーフティラリーへの参加を働きかけるなどして、より一層危機感をもって、飲酒運転や無免許運転の根絶をはじめ、教職員の服務規律の厳正な保持に向けて、指導の徹底に努めていきたい。
― 指 摘 ―
大越委員 より一層危機感をもって取り組んでいただきたい。
◆高校教育について
大越委員 小・中学校では、国の「全国学力・学習状況調査」の結果によって児童生徒の学力状況を把握し、各学校における学習指導に活用している。
道立高校においては、十七年度から二十年度まで、道教委が独自に「学力等実態調査」を実施し、二十一年度からすべての全日制課程の道立高校で実施されてきたと承知している。
また、道教委では、二十五年度から、生徒の学力向上に関する「道高校学力向上推進事業」を実施していると承知しているが、同事業の概要と昨年度の取組について伺う。
赤間高校教育課長 事業の概要などについて。道教委では、二十五年度から、すべての高校生に対し、社会的、職業的自立に必要な学力の確保と、能力・進路等に応じた教育の提供を図るため、推進校十三校および協力校五十四校を指定し、「道高校学力向上推進事業」を実施している。
二十六年度においては、推進校および協力校の教員によって、国語・数学・英語や職業科目など十教科について、進路に応じ、教科にかかわる基礎的な学力の定着を目指すコアアビリティ、大学入試センター試験を課す大学への進学に必要な学力の定着を目指すベーシック、選抜性の高い大学、いわゆる難関校への進学に必要な学力の定着を目指すアドバンストの三種類の教材を作成し、道教委のホームページに掲載し、各学校での活用を促すとともに、二月または三月に、高校一年生を対象に、生徒の進路希望等に応じて、学校が選択・活用できる「学力テスト」と、「高校学習状況等調査」を実施している。
このほか、推進校および協力校の取組状況等について協議を行う「学力向上研究協議会」や、大学への進学意欲の高揚を図るため、高校一年生を対象とした合宿型の「ハイレベル学習セミナー」を実施している。
大越委員 昨年度、道教委では、高校生の学力向上を目的とした様々な取組を行ったと承知しているが、「高校学習状況等調査」の結果からは、どのような成果や課題がみられたのか伺う。
赤間高校教育課長 取組の成果と課題について。昨年度の「学習状況等調査」の結果においては、国語、数学、英語、地歴・公民、理科の「勉強が好きだ」と回答した生徒の割合は平均で五三・二%となっており、前年度と比べて〇・七ポイント上昇し、「授業の内容がよく分かる」と回答した生徒の割合は平均で六四・〇%となっており、一・二ポイント上昇している。
また、家庭での学習時間については、平日に一日三時間以上学習する生徒は二・一%で、〇・一ポイント上昇し、休日に一日四時間以上学習する生徒は三・六%で、〇・四ポイント上昇している一方で、一日の学習時間について、「まったく、ほとんどしない」と回答した生徒の割合は、平日は二九・七%で、休日は二四・〇%という高い割合となっている。
このように、授業に対する生徒の意欲の向上が一定程度みられているものの、家庭学習の時間の少ないことが課題であるととらえている。
大越委員 小・中学校における国の「全国学力・学習状況調査」の結果については、児童生徒や保護者が把握しやすいように、図やグラフに示して公表している。
道教委の「学力テスト」等は、どのように集計し、また、どのように集計結果を、学校に活用するよう指導しているのか伺う。
赤間高校教育課長 結果の集計などについて。「学力テスト」については、すべての教科の設問ごとの正答率や無回答率を集計して学校に送付している。
また、国語では、「読むこと・話すこと」「書くこと」など、数学では、「図形と計量」「二次関数」などの領域別にも正答率等を集計しており、各学校において、送付された集計表を分析し、全道平均と比較するなどして、各学校の課題を明らかにし、授業改善に向けて活用するよう指導している。
また、「学習状況等調査」については、各教科等に対する興味・関心や、入学前との意欲の変化などの項目で、自校と、全道の平均とを分かりやすく比較することができるレーダーチャートを作成して学校に送付しており、各学校において、送付された資料を分析し、生徒の学習状況の改善に向けた指導の充実を図るとともに、自校の状況を保護者に情報提供するよう全道立高校に指導している。
大越委員 これからの時代、特に、グローバル人材の育成の観点から、本道の多くの高校生が難関大学へ進学することが期待されている。
大学進学を目指す生徒に対する「ハイレベル学習セミナー」について、どのような取組を行い、どのような成果がみられているのか伺う。
赤間高校教育課長 「ハイレベル学習セミナー」について。道教委では二十五年度から、道内の高校一年生を対象に、毎年一月に、三泊四日の日程で、ネイパル深川を会場に、学力向上と進学意欲を高めるための、「ハイレベル学習セミナー」を実施してきている。
同セミナーにおいては、大学教授や企業経営者の講演のほか、高い教科指導力を有している道立高校の教員による国語・数学・英語の講習や、選抜性の高い大学の職員による進学相談、こうした大学へ進学した道内出身の大学生によるパネルディスカッション等を実施しており、参加した生徒からは、「講演や講義によって、難関大学にチャレンジする学習意欲が高まった」「同じ目標をもったライバルと出会えたことで、自信にもつながり、勉強のモチベーションが上がった」などの感想が寄せられている。
こうしたことから、道教委としては、「ハイレベル学習セミナー」が、さらなる生徒の学力向上と進学意欲の向上に効果的であるととらえており、今後とも、内容の一層の充実を図るとともに、成果の普及に努めていく。
大越委員 「学習状況等調査」は情報提供されているということだが、高校の「学力テスト」についても、小・中学校の「全国学力・学習状況調査」と同様に公表するとともに、保護者へも情報提供すべきと考えるが、見解を伺う。
また、道教委として、これまでの三年間の、本事業の取組を踏まえて、本道の高校生の学力向上を一層推進するために、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 今後の取組について。道教委としては、高校生の学力の向上に向けて、学習内容の理解の状況を踏まえた授業改善等に一層役立てることができるよう、「学習状況等調査」の結果に加え、今後は、委員から指摘があった、「学力テスト」の結果についても、次年度の七月を目途に、各校の状況を取りまとめた資料を作成し、それをもとに各学校において、保護者に情報提供するよう指導するとともに、全道の状況について、道教委のホームページに掲載していく。
さらに、現在、国において検討が進められている「仮称・高校基礎学力テスト」や、同じく「仮称・大学入学希望者学力評価テスト」の導入を視野に、主体性をもって多様な人々と協力して問題を発見し、解決していくために必要な思考力・判断力・表現力等の向上を図る観点から、「学力テスト」はもとより、教材の工夫改善を図るなどして、本道の高校生の学力の一層の向上に努めていく。
― 要 望 ―
大越委員 学力テストの結果についても公表の方向ということで、前向きな答弁をいただいた。学力の一層の向上に努めていただきたい。
◇
大越委員 高校配置について。第三回定例会のわが会派の代表質問、あるいは、同僚議員の予算特別委員会での質問に対し、地域キャンパス校の再編基準の取扱いなど、小規模校の在り方に関し、「新たな高校教育に関する指針」の内容などについて、庁内で検討を進め、年度内に方向性を取りまとめるとの答弁があったが、その後、どのように検討を進めているのか。
松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 庁内検討について。道教委としては、人口減少社会への対応や地方創生の観点から、地域の教育機能を確保することは重要と考えており、こうした観点に立って、現行の「高校教育に関する指針」の成果や課題などを検証するとともに、他の学校への通学が困難な地域にある小規模校、いわゆる地域キャンパス校の再編基準の取扱いなど、指針の内容や教育環境の充実に向けた考え方について検討することとしている。
このため、先般、庁内に、「指針」の検証や高校教育の充実のための方策について検討を行う「高校教育検討委員会」を設置し、検討を進めており、今後、関係する学校や市町村などにも意見を伺いながら、年度内を目途に方向性を取りまとめていく考えである。
大越委員 道教委では、他の地域に通学が困難な地域にある高校を存続することを目的に、地域キャンパス校を導入してきているものと理解している。人口減少問題が本道の喫緊の課題となっている中、地方創生の観点からも、地域において高校が果たす役割はますます大きくなってくるものと思う。
また、今や、ほとんどの学生が高校教育を学びたいと思っている。生徒たちの希望に応えるべきである。
こうしたことからも、地域キャンパス校は、生徒数が減少しても、できる限り存続を図る必要があると考えている。
今後も、中卒者の減少が見込まれる中、地域における教育環境の維持・充実と併せて、現行の指針における地域キャンパス校の再編基準を緩和すべきと考えるが、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 地域キャンパス校の在り方などについて。現行の「指針」においては、地域キャンパス校であっても、五月一日現在の第一学年の在籍者が二十人未満となり、その後も生徒数の増加が見込まれない場合は、再編整備を進めることとしている。
一方で、本道においては、全国を上回るペースで人口減少が進行し、中卒者数の減少が続くことも見込まれることから、今後の検討においては、人口減少問題に対応し、地域の教育環境を維持する観点に立って、ICTを用いた遠隔授業の効果的な活用による科目選択幅の拡大やきめ細かな学習指導の工夫など、教育環境の充実と併せて、委員から指摘のあった、現行の地域キャンパス校の再編基準の緩和など、指針の弾力的な運用について検討を行い、年度内を目途に、その考え方を示していきたい。
― 意 見 ―
大越委員 現行の地域キャンパス校の再編基準の緩和なども含め検討していただけるという、前向きな答弁をいただいた。
高校教育を学びたいというすべての生徒に、その機会を与えるべく、検討を進めていただきたい。
◆特別支援教育について
大越委員 近年、特別支援教育については、障がいの重度化や多様化などを背景に、保護者のニーズも様々であり、特別支援学校はもとより、小・中学校や高校の通常の学級に在籍する児童生徒への支援も重要となってきている。そこで、以下、何点か伺う。
特別支援学校の教育について。特別支援学校においては、在籍する幼児児童生徒の障がいの重度化、重複化が進んでおり、医療的ケアが必要な幼児児童生徒が在籍する学校が増えていると伺っている。
そこで、特別支援学校において行われている医療的ケアの進め方と内容について伺う。
小原特別支援教育課長 医療的ケアについて。特別支援学校では、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒の実態を適切に把握した上で、医療行為の種別や内容等を明示した医師からの指示書に基づき、学校に配置された看護師が中心となり、必要な研修を修了した教員と連携して実施している。
特別支援学校で実施している医療的ケアの内容は、看護師については、経管栄養や痰の吸引、導尿など、医師の指示によって、認められている範囲の行為であり、教員については、経管栄養または痰の吸引を行う法律で定められた特定行為である。
大越委員 現在、特別支援学校では、相当数の幼児児童生徒が、医療的ケアを受けているものと推察するが、中には、医療的ケアの実施において、高い専門性が必要な幼児児童生徒もいると聞いている。近年の特別支援学校在籍者の増加傾向から考えると、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒も増加しているのではないかと考える。
そこで、特別支援学校における医療的ケアの実施状況について伺う。
小原特別支援教育課長 医療的ケアの実施状況について。道立特別支援学校において、医療的ケアを行っている幼児児童生徒数は、二十三年度で、十四校に八十二人在籍していたのに対して、二十七年度は、二十校に百十二人と増加している。
道教委では、これらの特別支援学校に配置する看護師を、二十三年度の二十七人から、二十七年度は四十六人に増員しているほか、毎年度、看護師を対象として、痰の吸引等を行う教員に対する実地研修の進め方や緊急時の対応などに関する研修を行うとともに、医療的ケア実施校の校長を対象として、実施上の配慮事項等の説明会を開催するなど、安全かつ適切に医療的ケアを実施するための体制整備に取り組んでいる。
大越委員 医療的ケアの必要な幼児児童生徒は、今後も道内の特別支援学校で増加していくことが予想される。
特別支援学校においては、一人ひとりの障がいの状況に応じた適切な対応が求められており、医療的ケアは、かつては、肢体不自由特別支援学校を中心として実施していたと承知している。
特別支援学校の教育の充実を図っていくためには、医療的ケアの必要な幼児児童生徒の在籍する学校で、必要な体制整備を継続していかなければならないと考えるが、今後の対応について伺う。
佐藤学校教育局特別支援教育担当局長 今後の対応について。道教委では、幼児児童生徒の障がいの重度・重複化、多様化に適切に対応し、教育を受ける機会を等しく保障するため、各学校が実施する教育相談等において、医療的ケアの必要な幼児児童生徒の入学希望状況を把握し、必要に応じて看護師を配置することとしている。
今後も、肢体不自由特別支援学校はもとより、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒が在籍する特別支援学校において、安全かつ適切に医療的ケアを実施し、幼児児童生徒の学習機会を確保することができるよう、各学校の実態に応じて必要となる看護師の配置に努め、保護者や看護師、教員等との連携による実施体制の充実に取り組んでいく。
― 要 望 ―
大越委員 答弁のとおり、しっかりと取り組んでいただきたい。
◇
大越委員 小・中学校等の特別支援教育について。小・中学校等の通常の学級に在籍する発達障がいのある児童生徒等も増加傾向にあり、その対応が急務となっていると認識している。
各学校においては、すべての教員が研修を深め、発達障がいの特性を理解し、通常の学級に在籍する幼児児童生徒への対応をしっかりと行っていく必要があると考える。以下、このことについて、何点か伺う。
二十七年二月の文教委員会において、道教委は、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」の結果を報告したが、その際、わが会派からの質問に対し、「校内研修プログラムを道内すべての学校に配布し、積極的に活用するよう働きかけるなど、発達障がいのある幼児児童生徒への指導や支援の一層の充実が図られるように取り組む」との答弁であった。
その後、どのように取り組んできたのか伺う。
小原特別支援教育課長 発達障がいに関する校内研修の充実について。道教委では、二十七年二月に公表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」の結果を踏まえ、三月に発達障がいのある児童生徒等への指導や支援の充実を目的とした「校内研修プログラム」を道内すべての幼稚園、小・中学校、高校に配布している。
その後、各教育局の指導主事の学校訪問や、道立特別支援教育センターの研修講座において、「校内研修プログラム」の積極的な活用を働きかけるとともに、各学校の特別支援教育コーディネーターを対象とした「特別支援教育充実セミナー」をすべての管内で実施し、「校内研修プログラム」による具体的な演習を行うなど、各学校の課題に応じた効果的な活用を推進してきている。
大越委員 発達障がいのある幼児児童生徒への指導や支援の充実を図るためには、すべての教員の専門性の向上が大切であり、そのためには、継続した研修の実施が必要と考えるが、今後、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
佐藤学校教育局特別支援教育担当局長 今後の取組について。発達障がいにかかる研修の充実を図るため、各学校の「校内研修プログラム」の活用状況に加え、個別の指導計画や教育支援計画の作成状況等を把握し、各学校が取組を進める上での課題を明確にするとともに、この課題解決に対応した活用事例を年内を目途に取りまとめ、各学校に情報提供することとしている。
また、「発達障がい支援モデル事業」のモデル校等における日常の授業実践や学級経営の取組などをまとめた『通常の学級における特別支援教育の視点を生かした実践事例集』を作成し、年度末に、道内すべての学校に配布することとしており、こうした資料を効果的に活用した研修を促進し、道内すべての教員の発達障がいにかかる専門性の向上に取り組んでいく。
― 要 望 ―
大越委員 スケジュール感も含め、答弁いただいた。しっかりと取り組んでいただきたい。
◇
大越委員 高校における特別支援教育の充実について。
道教委では、高校における、発達障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒への支援を目的として、特別支援教育支援員を配置していると承知しているが、昨年度の支援員の配置状況と、支援員がどのような支援を行ったのかについて伺う。
赤間高校教育課長 特別支援教育支援員の配置状況などについて。道教委では、二十五年度から、「高校における特別支援教育支援員配置事業」を実施しており、毎年二月に卒業生を除く在校生を対象に、また、六月に新入生を対象に、教育上特別な支援を必要とする生徒の状況等を把握し、支援を必要とする生徒数や支援の状況、教員の配置数などを考慮し、支援員を配置してきている。
昨年度は、全日制七校、定時制二校の計九校に各一人の支援員を配置し、配置校においては、支援員が面談などによって、教育上特別な支援を必要とする生徒の状況の把握に努めるとともに、学習面や生活面等の個別の支援を行っている。
大越委員 具体的に、どのような成果と課題があったのか伺う。
赤間高校教育課長 配置校における成果などについて。二十六年度の配置校からは、同事業の成果として、「授業において、生徒の状況に応じ、支援員が声をかけることなどによって、生徒が積極的に学習課題等に取り組むようになった」「放課後に、個別に学習指導を行うことによって、生徒がより一層学習内容を理解することができるようになった」「きめ細かな面談を通じて、生徒が自己理解を深め、学校生活に意欲的に取り組むことができるようになった」ことなどが報告されている。
また、一方で、各学校の実態に応じた支援員の確保が難しいこと、教員が、障がいの特性について、一層理解を深める必要があることなどが課題となっているものと考えている。
大越委員 支援員配置校においては、生徒の学習面や生活面が改善されたなどの成果があったとのことであるが、こうした支援が必要な学校がほかにもあるのではないかと考える。
道教委では、配置校の増加も含め、同事業の充実について、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 今後の取組について。高校における特別支援教育の充実を図るためには、先ほど答弁したように、各学校の実態に応じた支援員を確保することはもとより、教員が、障がいの特性等について、一層、理解を深める必要があると考えている。
こうしたことから、道教委としては、教員や介護福祉士の資格、あるいは、同程度の知識または技術を有する支援員の確保に向け、関係機関等と連携を図るほか、教員が障がいの特性について理解を深めるため、高校に対し、教育局に配置している特別支援教育スーパーバイザーや、特別支援学校の教員を派遣する「特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業」の活用を一層促すとともに、今後とも、教育上特別な支援が必要な生徒の在籍状況等を踏まえ、必要な特別支援教育支援員の配置に努めていく考えである。
― 要 望 ―
大越委員 必要な特別支援教育支援員の配置に努めていただけるということで、しっかり取り組んでいただきたいと思う。
(道議会 2016-02-19付)
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