義務教育学校設置にかかる道内の動き 中標津町計根別学園・斜里町ウトロ小中で春から導入(市町村 2016-02-17付)
ことし四月一日から「学校教育法等の一部を改正する法律」が施行となる。これに伴い、根室管内の中標津町立計根別学園とオホーツク管内の斜里町立ウトロ小中学校が小中一貫教育を行う「義務教育学校」としてスタートする。両校は一体型校舎で、小学校高学年からの教科担任制の導入、一~九年生の縦割り班活動の充実などを目指していく。二校を除く道内小中併置校四十四校を抱える各教育委員会の反応は、「全道的な動きをみて検討していく」と慎重な意見が多かった。
学校教育法の改正に伴い、学校教育制度の多様化・弾力化と小中一貫教育の推進を目的に、「義務教育学校」が創設されることになった。
義務教育学校の修業年限はカリキュラム編成や学年の区切りを「六・三」制としているが、義務教育学校であれば、「四・三・二」「五・四」など、地域の実情に合わせて柔軟に対応することができる。
義務教育学校の教員は原則、小・中学校の免許状併有が義務付けられている。ただ、暫定措置として当面の間、小・中それぞれの免許状で、小学校に当たる義務教育学校前期課程、中学校に当たる義務教育学校後期課程のみを指導する体制にしている。
中標津町立計根別学園は、二十七年四月に中学校一校と小学校二校を統廃合して開校。運動会や学芸会などの行事は合同で行い、毎日の掃除も一~九年生の縦割り班で取り組んでいる。一~九年生の音楽は専科教諭が指導し、中学校英語教諭が五・六年生の小学校外国語活動、中学校数学教諭が五・六年生の算数を教えている。また、中学校体育の教諭が校内研修で小学校の教諭に助言するなど、連携を深めている。
同校では、新たなシステムへの移行に当たって、保護者や地域の不安を取り除くため、意見交換を重ねてきた。学芸会では、一人ひとりが参加する場面が減ること、複数学年で取り組む機会が増え学級単位の活動が減ることなどを丁寧に説明し、保護者理解を得てきた。
学校の体制は校長一人、教頭二人の管理職三人体制は変わらず、養護教諭が一人から二人、事務職員は一人から二人に加配される予定。一~九年生を見通した教育課程編成、個々の指導計画の充実、学年ごとに作成した『学習規律の手引き』の浸透を目指していく。
長年、小中併置校だった斜里町立ウトロ小中学校は、四月から「斜里町立知床ウトロ学校」となる。「六・三」制で前期と後期課程とし、一~九年生の授業を進めていく。四月からは五・六年生の教科担任制の在り方を検討し、九年間通した縦割り班活動などを充実していく。
斜里町教委では、「卒業後に町外への進学者が多いので、自立に向けた教育が大切。小中一貫だと教員同士が同一の目標に向けて取り組みやすくなる」と期待している。
なお、二校以外の道内小中併置校四十四校(分校含む)の「義務教育学校化」については、「全道的な動きをみて検討していく」「義務教育学校は想定していない」という教育委員会が多かった。
(市町村 2016-02-17付)
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