道教育大附属札幌中が公開学習会　相手を理解する態度育成　道徳授業のほか研究討議も

（学校 2016-02-24付）

１年生の道徳の授業を公開

　道教育大附属札幌中学校（佐藤昌彦校長）は十八日、同校で公開学習会「道徳」を開催した。伊藤雄一教諭が一年Ａ組の道徳「あなたはどう受け止めますか」を指導したほか、研究討議を実施した。伊藤教諭は相手の立場や個性を尊重し、新たな関係を構築しようとする態度を養うことをねらって授業を展開。部活動や生徒会選挙といった身近な事例や、一つの事実を二つの異なる立場から見た物語を提示した上で、クラス内で考えを交流させ、人には様々な考え方があることを理解させた＝写真＝。

　同校では昨年七月に教育研究大会のほか、道徳における研究成果を発表。参加者の意見等を通し、さらなる充実を図ることを目的に、毎年公開学習会を実施している。

　この日は、伊藤教諭が一年Ａ組の道徳「あなたはどう受け止めますか」を指導。「相手の立場や個性を尊重し、広い視野に立って、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、他者の過ちを許し、新たな関係を構築しようとする態度を養うこと」を目標とした。

　伊藤教諭は「同じ部活に入っているＡはずっと基礎練習をサボっていたが、先輩たちが引退してからまじめに参加するようになった」「中学一年生のとき、同じクラスでわがままだったＢが二年生の時に生徒会役員選挙に立候補。選挙活動に熱心に取り組み、スピーチも立派だった」といった二つの事例を提示。Ａ・Ｂを応援するかしないか問いかけた。

　二つの事例は、部活動や生徒会の選挙など、身近な状況を設定することで、自分自身のこととして考えるよう促した。また、応援するかしないかをどうやって判断したか生徒に問うことで、自分の考えを認識させたほか、他者の考えと交流することで自分の考えを見直したり、認識を広げたりするよう促した。

　このあと、セルヒオ・ベニテス氏に関する物語を朗読。非行少年だった彼が神父となり、子どもたちの生活費のためにプロレスをしているといううわさを聞いた「隣人の私」の視点から書いたもの。隣人の私は彼とどのように付き合っていくべきか問いかけた。

　考えを交流したあと、伊藤教諭がベニテス氏の視点からの物語を朗読。一つの事実を二つの異なる立場から読ませることで、相手の立場や個性を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解させ、新たな関係を構築しようとする態度を養うよう指導した。

　また、実際の生活では相手の気持ちはなかなか確認できないことから、どのように考えていくと良いかを問いかけた。

　公開授業後の研究討議では、「生徒自身が考え・議論し、自己の生き方を考える授業」を討議の柱に意見を交換した。

(学校 2016-02-24付)