文科省指定・旭川南高が地域連携研修開く　ＡＬに対する理解深めて　活動評価の道外視察成果報告

（学校 2016-02-26付）

「多様な学習成果の評価に関する調査研究」指定の取組から報告

　【旭川発】文部科学省「高校における多様な学習成果の評価に関する調査研究」の指定を受けている旭川南高校（前田豊校長）は二十三日、同校で地域連携研修を行った＝写真＝。担当者が同校の調査研究、アクティブ・ラーニング（ＡＬ）とその評価に関する道外視察の成果を報告。同校のほか、連携校の旭川西高校、士別翔雲高校などから約六十人が参加し、同事業の成果、ＡＬについて理解を深めた。

　二十六～二十七年度の指定を受けている同校では、社会での課題解決のために必要な思考力、判断力、表現力、構想力等を多面的に評価する手法を研究。総合学科の特色を生かしたキャリア教育を基盤に、ルーブリック（評価規準表）を作成し検証を進めてきた。

　はじめに、前田校長があいさつ。「ＡＬを視野に入れた授業と評価手法は、今後の授業改善に参考となるはず。研修が地域全体の教育力向上につながれば」と期待した。

　つぎに、同校担当者が調査研究の内容を説明。同事業の成果を盛り込んだキャリア教育の推進によって生徒の学習意欲が高まり、本年度は国公立大学を中心に大学合格者が増加したことを伝えた。ルーブリックの導入によって、教員の規準が整理され生徒との共通の目標意識が生まれたほか、キャリア教育の質が向上したことを報告した。

　一方で、課題として、ルーブリック作成の負担と評価の汎用性・客観性の向上を挙げた。

　続いて、ＡＬとその評価に関する道外視察報告として、埼玉県立坂戸高校、東京都立成瀬高校の取組を解説。両校とも、若手教員が率先してＡＬに取り組んでいることを紹介した。

　うち、坂戸高の評価手法は、説明プリントの裏面に書いた生徒のメモをポートフォリオ的に評価する。「Ａ、Ｂ＋、Ｂ、Ｂ－、Ｃ」の五段階評価で、標準がＢ。プリントの内容をすべて記入し、問題演習を解いたらＢ、加えて振り返りや考察などを行うと評価が上がる。

　次いで、道立教育研究所理科教育センターの柳本高秀研究研修主事が「アクティブ・ラーニングと評価」について講義。ＡＬにおける評価の重要性を強調し、学習目標に即した評価を意識するよう求めた。

　また、愛知県におけるＡＬの実践例を交えながら、ルーブリックの改善・充実について解説した。

　まとめとして、ＡＬは「生徒に身に付けさせたい力を再確認するきっかけとなるほか、教科間、小・中学校との連携を深めるチャンス」と強調。「これからは、教える専門家から学びの専門家への役割変換が求められる」と結んだ。

※キーワード

▽ポートフォリオ評価＝学習活動において、児童生徒が作成した作文やレポート、作品、テストのほか、活動の様子が分かる写真などをファイルに入れて保存する方法。

(学校 2016-02-26付)