札幌市教委が小中連携の手引発行　楽しく学ぶ学校づくりを　交流行事、出前授業など紹介

（市町村 2016-04-01付）

小中連携の観点や事例等をまとめた

　札幌市教委は、「小中連携の手引」を発行した＝写真＝。研究開発事業「小中連携」にかかる実践研究に基づき、小中連携の観点や事例等をまとめたもの。学校行事での交流や出前授業など、子どもが楽しく学び、生活できるよう学校づくりの推進を求めている。

　グローバル化の進展など子どもを取り巻く環境が複雑化・多様化している中で、子どもが小学校から中学校へと進学し、新たな環境で不登校やいじめなどの問題行動等が増加する中一ギャップ等が学校教育における今日的な課題となっている。

　市教委ではこのような状況を踏まえ、一貫性・連続性のある学びを実現するために異なる学校種間などの学びの場の連携を推進することを基本施策の一つに掲げ、小中連携の取組の充実を図っている。

　手引では、小中連携の必要性・意義を説明。また、小中連携を進めるポイントとして、①児童生徒が直接交流する「交流」②小・中学校間の教員同士が意見交換や情報共有をし、共同で行事等を企画・実施する「連携」③発達の段階に応じて、育ちの連続性を考えながら行事や教科の学習などを検討し、つながりのある教育活動を行う「接続」―の三つの観点を示している。

　三つの観点から八校の実践例についても紹介している。「交流」では、宮の森中学校が校区内の小学校を訪問し、中学校生活について説明。小学生が中学校入学後の不安や戸惑いを解消できるよう工夫したプレゼンテーションを行っている。

　また、「連携」では西陵中学校と発寒小学校、発寒東小学校による小中連携グループ討議、「接続」では米里中学校の教員が小学校に出向く出前授業など、様々な取組を紹介している。

　市教委はこれらの取組から、「小学生の中学校進学への期待感の向上や不安感の軽減」「中学生の自己有用感の向上」など、小中連携の効果を示したほか、今後も義務教育九年間の連続性ある教育を一層充実していくことが重要であるとして、「子どもがより一層安心して楽しく学び、生活できるような学校づくりを進めてほしい」と呼びかけている。

(市町村 2016-04-01付)