道立近代美術館「足立美術館所蔵 横山大観展」開幕 巨匠の名作50点一挙公開 絢爛豪華な日本の美「紅葉」など(道・道教委 2016-04-11付)
来館者は数多くの名作に見入っていた
近代日本画の巨匠・横山大観の画業をたどる特別展「足立美術館所蔵 横山大観展」が二日、道立近代美術館で開幕した。日本随一の大観コレクションで知られる足立美術館の百二十点の所蔵品の中から、初期から晩年に至る名作五十点を一堂に展示。北海道では二十年ぶりとなる本格的な横山大観展。訪れた来館者は数多くの名作に見入っていた。
明治、大正、昭和と、近代日本画壇で活躍した巨匠・横山大観(一八六八~一九五八年)は、日本美術史上に大きな足跡を残した。長い画業の中で生み出された数多くの名作は、他の追随を許さぬ気迫と品位を備え、二十一世紀の今もなお、深遠な輝きを放っている。
島根県安来市出身の実業家・足立全康氏(一八九九~一九九〇年)が創立した足立美術館には、同氏が長年にわたって収集した横山大観の作品約百二十点が所蔵されている。
今回、同展では、質、量ともに充実した足立美術館の大観コレクションより、初期から晩年に至る名作五十点を選び、一堂に展示。そのほとんどが道内初公開となる。
また、足立美術館には、世界中から訪れる人々を魅了し続けている広大な日本庭園があり、大きな魅力となっている。同展では、四季を彩る庭園の写真と映像によって、庭園の魅力を紹介する。
展覧会は、「明治」「大正」「昭和」「戦後」の四章構成で、各時代の作品を順を追って紹介。
見どころの一つ、六曲一双(左右一対)の屏風「紅葉」は、各隻(各対)が縦百六十三・三㌢㍍、横三百六十一㌢㍍の大作。描かれているのは秋の渓谷。鮮やかな群青が彩る川面と、赤や黄色、茶と微妙に色を変えていく楓の葉など、鮮烈な色彩が見事に調和した絢爛豪華な作品。右隻には一羽のセキレイを配し、黒のコントラストが画面を引き締めている。
また、画業五十年に際して制作された連作「山海二十題」のうち「曙色」「雨霽る」など名作八点を展示。「雨霽る」は、雨後の雲霧が晴れ上がっていく山並みの流動感が見事に表現され、大観の水墨画の中でも、五本の指に入るといわれている。
二日に行われた開会式には、嵐田昇館長のほか、来賓として、足立美術館の森清治理事と足立知美副館長、道教委の橋場弘之委員などが出席。
冒頭、あいさつに立った嵐田館長は「質、量ともに充実した足立美術館の大観コレクションより、今回は、初期から晩年に至る名作五十点を選び、一堂にご覧いただく」「色鮮やかな六曲一双屏風《紅葉》や、〝山海二十題〟のうち《曙色》《雨霽る》など八点は、大観生涯の代表作」などと説明。「日本画一筋に生きた大観の芸術世界を、足立美術館が誇る日本庭園の魅力とともに楽しんでいただきたい」と呼びかけた。
また、足立美術館の森理事があいさつ。「今回の展覧会は、当館の百二十点の大観コレクションから中心作五十点を展示しており、すべてが大観の代表作。大観の作品は、見るたびに新しい発見がある。多くの方々に一度ならず、二度、三度と足を運んでいただき、その都度、新たな感慨を得ていただけるものと確信している」と述べた。
続いて、嵐田館長、足立美術館の森理事、足立副館長、道教委の橋場委員らがテープカットを行い、開会を祝った。
このあと、一般公開を前に、関係者、招待客が一足早く鑑賞。大観芸術の集大成ともいえる傑作「紅葉」など、名作の数々に大勢の観覧者が見入っていた。
五月十五日まで。月曜休館。一般一千三百円、高大生七百円、中学生五百円、小学生以下無料(要保護者同伴)。
問い合わせは、道立近代美術館(電話〇一一―644―六八八二)まで。
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嵐田館長などがテープカット
(道・道教委 2016-04-11付)
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