上川管内28年度教育推進の重点 上川局が管内公立小中校長会議開く 質高い実効性ある取組を 知・徳・体のバランスとり育成(道・道教委 2016-04-21付)
【旭川発】上川教育局は十五日、上川合同庁舎で二十八年度管内公立小中学校長会議を開いた。小野寺一郎局長=写真=が本年度の管内教育推進の重点を説明した。「確かな力、豊かな心、健やかな体のバランスのとれた育成」「学校、地域、家庭の連携による上川らしい教育の推進」を基本に、五つの重点を提示。①社会で活(い)きる実践的な力の育成②豊かな心と健やかな体の育成③信頼される学校づくりの推進④地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進⑤北海道らしい生涯学習社会の実現―の五点に取り組むよう要請した=表参照=。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
二十八年度管内教育推進の重点を申し上げる。
管内においては、これまで、「学び続け かかわり 高め合う 上川教育の躍動」を推進テーマに、「上川教育推進プラン」に基づいた教育を進めてきたところであり、校長には、同推進プランの趣旨を踏まえ、子どもを中心に据えた学校づくりの推進にリーダーシップを発揮していただいたことに感謝申し上げる。
さて、本年度の管内教育の推進については、道教育推進計画の達成に向け、「確かな学力、豊かな心、健やかな体のバランスのとれた育成」と「学校、地域、家庭の連携による上川らしい教育の推進」を基本的な考え方として、特に、管内として取組が必要な内容を重点として示す。
校長には、これまでの取組の成果を生かしつつ、より質の高い実効性ある取組に努めていただくようお願いする。
【重点1 社会で活(い)きる実践的な力の育成】
子どもたちが変化の激しい社会を生きていくためには、基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等に加え、主体的に学びに向かう力や人間性などを総合的に育んでいくことが必要である。
そのため、小・中学校においては、「確かな学力を育む教育の推進」にかかわって、全国学力・学習状況調査の分析結果を踏まえ、
▽校内組織体制の改善・充実による組織的・計画的な学力向上の推進
▽年間指導計画に基づく「チャレンジテスト」の効果的な活用
▽校内で共通した学習規律の徹底と一貫した指導の確立
▽見通しをもったり、振り返ったりする学習活動の充実など日常授業の改善
―に取り組んでいただくようお願いする。
また、こうした取組を管内全体で進めるため、「上川学力向上ガイドライン」に基づく取組の推進をお願いする。
教育局としては、
▽学校のニーズに応じた学校教育指導の充実
▽アクションRや学力向上に関する研修事業等の充実
▽「地域の学力向上支援事業」の成果の普及
▽「アクティブ・ラーニングに関する調査研究プロジェクト」の推進
―などに努めていく。
特別支援教育については、障がいのある子どもと、障がいのない子どもがともに学ぶインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、特別な教育的支援が必要な子どもの指導や支援の充実を図ることが必要である。
そのため、
▽個別の指導計画および上川版個別の支援計画「すくらむ」等の活用による一貫した支援の充実
▽「校内研修プログラム」や実践事例集を活用した特別支援教育に関する研修の充実
▽保健・福祉担当部局と連携した早期からの相談、支援の推進
―をお願いする。
教育局としては、
▽「管内特別支援連携協議会」の協議を踏まえた取組の推進
▽特別支援教育に関する研修事業の充実
▽「発達障がい支援成果普及事業」の推進地域・推進校の支援と成果の普及
―などに努めていく。
また、グローバル化が進行する中で地方創生を実現していくためには、郷土について理解し、誇りをもつとともに、世界にも目を向け、貢献していくことのできる人材を育成していくことが必要である。
そのため、「新しい時代を切り拓く力を育む教育の推進」にかかわって、
▽北方領土やアイヌの人たちの歴史や文化などに関する学習の充実
―をお願いする。
教育局としては、
▽「道ふるさと教育・観光教育推進事業」の成果の普及
―などに努めていく。
さらに、すべての子どもが学ぶ意欲を高め、夢や希望をもちながら、主体的に自己の進路を選択・決定できる能力を身に付けて、社会人・職業人として自立していくことができるよう、生徒の発達の段階に応じたキャリア教育を推進していくことが必要である。
そのため、
▽「マイノート」を位置付けた全体計画、年間指導計画の作成によるキャリア教育の充実
―をお願いする。
教育局としては、
▽「マイノート」を活用した先進校の取組成果の普及
▽「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の取組の成果の普及
―などに努めていく。
【重点2 豊かな心と健やかな体の育成】
子どもたちが、互いに尊重し合い、ともに支え合いながら、社会の一員として成長していくためには、学校・家庭・地域が連携しながら、心身の健やかな発達を支え、子どもが自らの生き方を主体的に考えることができる力を育むことが大切である。
とりわけ、道徳教育においては、道徳が特別の教科として位置付けられたことを踏まえ、基本的な倫理観や規範意識、思いやりの心や美しいものに感動する心などを育むとともに、様々な体験活動を通して、社会性や豊かな人間性を育むことが必要である。
また、いじめの根絶のためには、いじめの芽は、どの子どもにも生じ得るという強い認識に立ち、常日ごろから望ましい人間関係を醸成することや、ネットトラブルを回避する観点から情報を適切に取り扱う能力を育むことが重要である。
そのため、「豊かな人間性と感性を育む教育の推進」にかかわって、子どもたちの健やかな成長と安心して学ぶことができる環境の実現に向け、
▽『私たちの道徳』等を年間指導計画に位置付けた道徳教育の推進
▽いじめ防止基本方針に基づいた取組の推進
▽いじめや不登校等の問題の対応に向けた組織的な取組の推進
▽児童会、生徒会が中心となったいじめ根絶に向けた取組の推進
▽ネットトラブルの未然防止に向けた情報モラル教育の充実
▽子ども理解支援ツール「ほっと」を活用した生徒指導の推進
▽スクールソーシャルワーカー等関係機関と連携した生徒指導の推進
▽中一ギャップ問題の未然防止に向けた小中連携の取組の推進
―をお願いする。
教育局としては、
▽「道徳教育推進校事業」の成果の普及
▽「どさんこ☆子ども地区会議」や「いじめ未然防止モデルプログラム事業」の成果の普及
▽生徒指導に関する研修事業の充実
▽「管内地域いじめ問題等対策連絡協議会」の協議を 踏まえた取組の推進
▽「中一ギャップ問題未然防止事業」の成果の普及
―などに努めていく。
また、体力については、健康の維持のほか、意欲や気力の充実といった精神面の充実にも大きくかかわっており、子どもたちが生涯にわたって心身ともに健やかに生きるための基盤として重要なものである。
そのため、「心身の健やかな成長を促す教育の推進」にかかわって、全国体力・運動能力、運動習慣等調査等の分析結果を踏まえ、
▽校内体制による組織的な体力向上の推進
▽全学年での新体力テストの実施および複数回実施による体力向上の把握
―をお願いする。
また、こうした取組を管内全体で進めるため、「上川体力向上ガイドライン」に基づく取組の推進をお願いする。
教育局としては、
▽体力向上に関する研修事業の充実
▽「体力向上先導的総合実践事業」等の成果の普及
―などに努めていく。
学校安全については、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう、
▽地域と連携した防犯、防災等の意識向上を図る安全教育の推進
―をお願いする。
学校保健については、
▽食物アレルギー対応に向けた指針に基づく組織的な取組の推進
―をお願いする。
【重点3 信頼される学校づくりの推進】
学校は、地域の特色を生かした創意ある教育活動を主体的に展開することが求められており、学校の規模や地域にかかわらず、説明責任や結果責任を果たし、保護者や地域住民から信頼される魅力ある学校づくりを進めることが大切である。
しかしながら、体罰やわいせつ行為、乗用車による法定速度違反、交通事故など、教職員の不祥事が後を絶たないことから、教職員の意識改革や自覚を促す指導の徹底を強化する必要がある。
そのため、「教職員に対する信頼性の向上」にかかわって、
▽コンプライアンス確立にかかわる職場研修や個人面談の実施
―をお願いする。
また、学校教育の成否は、子どもたちに直接ふれあう教員の人間性や指導力によるところが大きく、教員一人ひとりの果たす役割が大きいことから、資質・能力の向上に向けた継続的な取組が必要である。
そのため、教員の資質・能力の向上に向けて、
▽管理職による授業参観とOJTの実施
▽指導力向上のための全教員による授業公開やミニ研修およびワークショップ型研修の実施
▽ICT機器を活用した分かりやすい授業づくりの推進
▽教員の時間外勤務の縮減による子どもと向き合う時間の確保
―をお願いする。
さらに、校外研修については、道立教育研究所や道立特別支援教育センターにおける研修など、教職員のライフステージに応じた参加への働きかけをお願いする。
教育局としては、
▽経験年数等を踏まえた教員の指導力の向上を図る研修事業の充実
▽「地域連携研修」や「校内研修コーディネーター配置事業」等の成果の普及
―などに努めていく。
魅力ある学校づくりの推進については、学校が一体となった組織的な力を生む教育力である学校力の向上や義務教育九年間で子どもに身に付けさせる力を明確にした学校間連携の推進、学校評価の充実による学校改善の取組を推進することが必要である。
そのため、
▽学校力向上に向けて学校がチームとして機能する包括的な学校改善の推進
▽学校評価における喫緊の課題に即した評価項目の重点化
▽レーダーチャート等の活用による保護者・地域住民と連携を図った学習習慣や生活習慣、運動習慣を改善する取組の推進
▽教育課程の編成や学習規律の共通化など、具体的な小中連携・一貫教育の推進
―をお願いする。
また、こうした取組を管内全体で進めるため、本年度策定する予定である、「上川〝学校力〟向上ガイドライン」に基づく取組の推進をお願いする。
教育局としては、
▽「学校力向上に関する総合実践事業」や「小中連携、一貫教育実践事業」等の成果の普及
―などに努めていく。
また、女性教職員の活躍を支援するため、道が新たに策定する行動計画に基づき、人事上の配慮やミドルリーダー養成研修の実施などの各種取組を進める。
さらに、教員の時間外勤務を縮減するため、部活動休止日を設定するなど、実効ある取組をお願いする。
【重点4 地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進】
社会が急激に変化する中、学校・家庭・地域・行政が連携協力して、子どもたちを守り育てることが重要であり、家庭や地域での教育の充実を図るとともに、地域の教育機能を幅広く活用していくことが必要である。
そのため、「家庭の教育力の向上」にかかわって、
▽保護者が日常的に相談や交流ができる仕組みづくりの推進
▽家庭教育サポート企業、NPOなどの人材やノウハウの活用
▽ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着に向けた取組の推進
―をお願いする。
「地域の教育力の向上」にかかわっては、学校・家庭・地域の連携強化を図るため、
▽コミュニティ・スクール導入の推進
▽「朝読・家読(うちどく)運動」の推進
▽「子ども未来塾」「放課後子供教室」などの取組の充実
▽子どもたちの土曜日の教育環境の充実
―をお願いする。
また、こうした取組を管内全体で進めるため、「上川生活習慣・読書習慣定着ガイドライン」に基づく取組の推進をお願いする。
教育局としては、
▽コミュニティ・スクール導入の促進
▽家庭教育「学びカフェ」推進事業の取組の推進
▽子どもの生活習慣づくり推進事業の充実
▽地域住民の協力によって学習支援を行う「子ども未来塾」の取組の推進
▽「どさんこアウトメディアプロジェクト」の推進
―などに努めていく。
【重点5 北海道らしい生涯学習社会の実現】
道民が潤いのある生活を送るとともに、持続可能な地域づくりを進めるためには、生涯を通じ積極的に学び、その成果を生かせる環境をつくることが重要である。
そのため、学校では、
▽児童生徒が道民カレッジ生として登録するための普及啓発
▽ほっかいどう学検定・ジュニア検定への参加促進
▽「文化財保護強調月間」や「芸術週間」における芸術文化に親しむ取組の推進
―をお願いする。
教育局としては、
▽「道民カレッジ」の連携講座の拡充
▽社会教育の取組を生かした人材育成の支援
▽アイヌ民族文化財の保護・伝承活動の支援
―などに努めていく。
【むすび】
グローバル化や急速な情報化など、将来の予測が困難で変化の激しい社会にあっても、自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら、より良い社会づくりに貢献していくことのできる人間を育成することが、教育の役割であり、私どもの使命であると考えている。
教育局としても、本道教育の基本理念である「自立」と「共生」のもと、市町村教委や学校と手を携えながら、「上川の子どもたちは、上川全体で育んでいく」という認識に立ち、常に危機感をもって、来るべき未来を見据えながら管内教育の充実・発展に取り組んでいくので、よろしくお願いする。
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説明する小野寺局長
(道・道教委 2016-04-21付)
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