1定道議会予特の質問・答弁概要(28年3月18日)(道議会 2016-05-31付)
一定道議会予算特別委員会(三月十八日開催)における小岩均委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、秋山雅行総務政策局長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、成田直彦生涯学習推進局長、桜井康仁教育政策課長、赤間幸人高校教育課長の答弁の概要はつぎのとおり(所属、役職はすべて当時)。
◆高校卒業者の就職について
小岩委員 道労働局が一月に公表した道内の有効求人倍率は〇・九九倍、全国平均の一・二三倍の高い数字には及ばないものの、統計数値でいうと、就職を希望する方はほぼ就職できる。しかし、その裏では、様々な雇用環境の問題がある。特に、近年、非正規雇用が四割を超えているという雇用実態があり、大きな問題となっている。そこで、以下数点にわたって伺う。
道立の公立高校を卒業した生徒のうち、就職を希望した生徒の内定率を伺う。また、内定した生徒の勤務地、職種の状況について伺う。
赤間高校教育課長 ことし三月高校卒業者の就職内定状況等について。道教委が毎年実施している「高校卒業予定者の就職内定状況等に関する調査」においては、一月末現在の道内公立高校の就職希望者は八千八百六十六人で、卒業生全体の約二五%となっている。そのうち、就職が内定した生徒は八千九十一人、就職内定率は九一・三%であり、前年同期と比べ二・三ポイントの上昇となっている。
就職が内定した生徒の就労地については、道内が九一・八%、道外が八・二%となっており、職種別では、「事務従事者」が最も多く一九・四%、次いで「生産工程従事者」が一八・四%、「サービス職業従事者」が一七・四%などとなっている。
小岩委員 就職を希望する生徒たちに、高校で就職活動を指導していると思うが、具体的にはどのような指導をしているのか伺う。
赤間高校教育課長 就職指導について。高校における就職指導においては、生徒が社会人・職業人として自立していくため、将来に対する目的意識や、働くことへの意欲や態度などを育成することが大切であると考えており、多くの高校においては、三年間を通じて進路相談や資格取得のための講習などを行うほか、一学年において、職業に関する調べ学習や進路希望調査に基づく進路ガイダンス、二学年において、外部講師による進路講話や進路希望に応じたインターンシップ、三学年において、企業の人事担当者等を招へいした進路説明会や、就職試験に向けた模擬面接、作文指導などに取り組んでいる。
また、生徒に労働基本権など職業生活に必要な知識を身に付けさせるため、公民科の授業などにおいて、勤労の権利と義務や労働問題について学習するほか、総合的な学習の時間等で、道労働局の職員等によるワークルールについての講演会を実施するなどの例がある。
小岩委員 高校では、求人の確保に向け、企業に対してどのように働きかけているのか、そして、求人確保に、どのように取り組んでいるのか伺う。近年、社会問題となっている、働く者を使い切り、使い捨てしている、いわゆるブラック企業も多いが、それらへの対応も含めて伺う。
赤間高校教育課長 求人の確保などについて。高校では、職業安定法によって、生徒への職業紹介を円滑に行うため、ハローワークの業務の一部を分担することができることとなっており、進路指導担当者が、企業を訪問するなどして、求人の確保に努めている。
高校への企業からの求人申込みについては、生徒の適正な職業選択を確保するとともに、求人秩序の確立を図る観点などから、文部科学省および厚生労働省の通知によって、管轄のハローワークの確認を受けた求人票により行うこととされている。
また、ハローワークにおいては、ことし三月一日から、労働法令違反のあった事業主からの新卒者向け求人を受理しないことができる旨、「青少年の雇用の促進等に関する法律」が一部改正されており、道教委としては、このことについて、道立高校等に周知するとともに、今後とも、ハローワークと連携しながら、各学校における適切な就職指導が行われるよう指導していく考えである。
―再質問―
小岩委員 道労働局の調べでは、道内の高校卒業者が就職してから三年以内に辞める離職率は四八・二%である。全国平均より約一〇ポイント近く高い。この離職率約五割という数値、実態に対し、道教委として、どのような見解をもっているか、また、今後の対応について伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 高校卒業者の早期離職について。早期離職の要因については、道が二十六年度に行った「職場定着に向けた離職状況調査」では、学卒就職者における、三年以内に離職した理由は、給与や労働条件にかかわるものを除くと、「仕事上のストレス」「仕事にやりがいを見いだせない」「人間関係がうまくいかない」等の理由が挙げられており、自分の能力・適性や職業に対する理解を深めさせる指導やコミュニケーション能力を身に付けさせる教育活動を充実する必要があるものと考えている。
このため、道教委としては、今後、「就職指導の改善に関する研究指定校事業」において、早期離職問題などの課題の分析に取り組むほか、職業や働くことの意義などについての理解を深める「就職促進マッチング事業」や、コミュニケーション能力を高める「ビジネスマナーアップセミナー」の充実を図るなどして、高卒者の職場定着に向けた取組を推進していく。
◆道立高校の非常勤講師
小岩委員 道立高校の授業に欠かせない非常勤講師、時間講師も、残念ながら、非正規労働の分類に入る。非正規で学校現場にいる特殊な勤務実態にある時間講師について何点か伺う。
まず、道立高校に勤務する時間講師の採用人数、その傾向と地域的特徴、また、受け持つ担当教科について伺う。
桜井教育政策課長 時間講師の人数および担当教科について。道立高校では、体育実技で専門的な指導を要する場合や芸術教科で多様な科目を開設する場合など、教育課程を展開する上で学校が必要とする際に教職員定数の一部を活用して時間講師を任用しており、二十七年度における人数は、都市部の高校が百六校四百五十一人、郡部の高校が三十九校八十八人、合計で百四十五校五百三十九人となっている。
また、担当教科については、都市部では保健体育・理科・外国語、郡部では保健体育・音楽・書道が多くなっている。
小岩委員 時間講師の勤務時間、報酬、就業実態はどのようになっているのか伺う。
桜井教育政策課長 勤務時間数および報酬額について。道立高校で時間講師を任用する際には、任用、給与、その他の身分の取扱いなどを定めた非常勤講師取扱要綱をあらかじめ任用希望者に示した上で任用することとしており、勤務時間数については、週当たり十五時間程度の範囲で勤務校の校長が定める時間、報酬額は、勤務時間一時間につき二千八百円としている。
なお、二十七年度における時間講師一人当たりの平均勤務時間については、都市部では週五・七時間、郡部では週五・二時間となっている。
小岩委員 時間講師の生活実態について、道教委として、どのように把握しているのか。
桜井教育政策課長 時間講師の生活実態について。道立高校の時間講師は、地方公務員法の適用を受けない特別職に属する地方公務員であることから、兼業が可能となっている。
道教委としては、時間講師が道以外から得ている収入などについては把握していないが、学校からの聞きとりによると、都市部の時間講師四百五十一人のうち三四%の百五十二人が、また、郡部の時間講師八十八人のうち五〇%の四十四人が、ほかの道立高校をはじめ、私立高校や大学の講師、ピアノ講師、スポーツインストラクターなどを兼業しており、それ以外については、兼業をしていないが、年金の受給年齢に達している方が多く含まれるとともに、主婦や大学院生もいると承知している。
―再質問―
小岩委員 時間講師の確保、採用の決定、業務の指示などは、それぞれの道立学校の学校長が行っているのか。その場合、雇用される時間講師に、雇用条件など明記された雇用契約書を交わされているのか伺う。
桜井教育政策課長 時間講師の任用について。時間講師の業務については、非常勤講師取扱要綱によって、常勤の教諭に準じた内容としており、具体の業務内容については、学校長が指示している。
任用については、各学校長が必要な人材を選考した上で、教育局長に発令依頼を行い、当該教育局長が任用を決定しており、任用に際しては、報酬額や任用期限などを明示し、辞令を交付している。
―再々質問―
小岩委員 時間講師は、働く側からすると、不安定な職業。賃金も一時間二千八百円となっており、この報酬も、この十一年あまり改定されていない。そんな中で、改善すべきことは多いのではないか。この際、道教委は、時間講師について、学校・学校長に任せきりにせず、まずは、実態把握を今以上にしっかり努めて、改善すべきことが多いと思うので、ぜひ、取り組んでいただきたいと思うが、見解を伺う。
秋山総務政策局長 時間講師制度について。道立高校の時間講師については、教育課程を展開する上で、学校の必要に応じて任用しており、任用予定者には、あらかじめ勤務日、勤務時間や報酬の計算方法などの条件を説明し、理解した上で職に就いていただいている。
また、報酬額については、ほかの特別職非常勤の職と同様に、職務の内容や社会経済状況、また、国や他県の状況を勘案して定めている。
なお、生活実態については、個人のプライバシーに関する事項であり、これ以上の調査は困難であるが、今後、時間講師の任用時に学校からの事前の説明や勤務条件にかかわる書類の交付が確実に行われたかを本人に確認するとともに、併せて、時間講師の任用に関する意見などを伺い、制度の適切な運用に努めていく。
―意見―
小岩委員 ぜひ、よろしくお願いする。
◆ユネスコの活動について
小岩委員 今、ユネスコ世界遺産、道南方面の縄文文化に対して、道も様々な形でかかわっていると思う。
国際機関の一つであるユネスコの活動は、教育、科学、文化を通じて、世界各国の人々が相互に国際的理解を深め、平和と人類の福祉に貢献をするということで目的が掲げられている。
日本は、一九五一年に国連のユネスコ総会で加盟が認められ、現在、国内に二百八十六の協会がある。
ユネスコ憲章の前文には、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない…国際平和と人類共通の福祉という目的を果たすため」と続く。このユネスコ憲章、そして、ユネスコに対する教育長としての見解を伺う。
柴田教育長 ユネスコ活動の意義などについて。わが国のユネスコ活動は、ユネスコ憲章の定めるところに従って、教育、科学および文化を通じ、国民と世界の諸国民との間に理解と協力の関係を進めることによって、国際平和と人類の福祉へ貢献することを目標に、官民合わせた多様な取組が展開されている。
行政においては、持続可能な社会づくりの担い手を育む教育、いわゆるESDの普及啓発や世界遺産の登録に向けた取組などが行われており、また、民間では、災害の被災者への募金活動や、国際交流、環境保全に関する学習機会の提供が行われるなど、大変意義のある活動であると認識している。
道教委としては、ユネスコ憲章の理念や「ユネスコ活動に関する法律」の趣旨に則り、市町村や関係団体に対してユネスコ活動に関する情報提供するとともに、道内の小・中学校等に対し、ESDの推進拠点であるユネスコスクールへの加盟の促進に努めるなど、ユネスコ活動の普及に取り組んでいる。
小岩委員 現在、道内には、四十五校のユネスコスクールが加盟している。これに対する見解、そして、加盟校の増加に向けた働きかけについて伺う。
成田生涯学習推進局長 ユネスコスクールに対する認識などについて。ユネスコスクールは、海外の学校との交流を通じ、互いの文化を理解する学習や、地域の環境保全や国際貢献を目的とした体験学習やボランティア活動などを通して、国際理解を深めるとともに、課題の解決に向けて行動する力を身に付けるための有効な教育活動であると認識しており、道内では、幼稚園や小中学校、高校を中心に四十五校が加盟し、現在、二校が申請中となっている。
道教委としては、これまで、ユネスコスクールにおけるESDの取組事例集を作成し、市町村教委へ配布してきたほか、ホームページに申請窓口等の情報を掲載し、ユネスコスクールの制度や意義などの周知に取り組んできており、今後も、こうした取組に加え、道ユネスコ連絡協議会が主催する研修会等を通じて、ユネスコスクールへの加盟の促進を図るなど、道内のESD活動が一層充実するよう積極的に取り組んでいく考えである。
(道議会 2016-05-31付)
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