道高校長協会が理事研開く 新しい教育を創造・提言 役員派遣し支部活動活性化
(関係団体 2016-06-23付)

道高校長協会理事研
理事研では、文教施策要望事項などについて協議した

 道高校長協会(大鐘秀峰会長)は十七日、道庁赤れんが庁舎で二十八年度第二回理事研究協議会を開いた=写真=。大鐘会長が開会あいさつに立ち、協会活動について、「本部役員の支部への派遣等を考え、支部活動の活性化を図っていきたい」と述べるとともに、「新しい教育の在り方、新しい学校の在り方を〝創造〟し、提言していきたい」と表明した。不祥事防止に向けては、管理職向け研修資料を活用して研修を継続する意向を示すとともに、「知識レベルの危機管理ではなく、認知レベルの危機管理によって、的確な未然防止や初期対応が可能になる」と述べた。

 理事研究協議会では、二十九年度文教施策要望事項についての協議や、全国高校長協会(全高長)の諸会議についての報告などが行われた。

 大鐘会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 総会でも協力へのお礼を申し上げたが、熊本地震への全国からの支援活動に対し、全高長理事研において、熊本県高校長協会会長、熊本県立済々黌高校の川上修治校長から、謝辞と現状報告があった。あらためて亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いと、一日も早い復興を祈念申し上げる。

 現在、学校では、四連盟による支部予選等が終了し、各地で全道大会が開催されている。全国大会に向けて、本道生徒のさらなる活躍を祈念するとともに、卒業年度に当たって引退する生徒への、今後の高校生活の充実と進路に向けた頑張りを大いに期待する。

 各教育団体については、すでに総会が終了し、本年度の活動が本格的に始まったことと思う。本年度も、本道の高校生の健全な育成を目指し、それぞれの団体がその目的を達成できるよう、活動の充実・発展を祈念している。

 今日、教育改革が矢継ぎ早に進行する中、様々な情報が入ってくるが、それをどのように各学校で課題として受け止めていくか、そして、実現過程の中に位置付けていくのかが問われている。施策レベルから実現レベルに具体化させていく作業が求められているのである。

 国の動きに対して、道教委の動きを待つことも必要だが、大枠としてとらえられる学習指導要領の改訂と新しい二つのテストの導入については、各学校で工程表を策定することは可能だと考える。そのための条件整備として、様々にデザインされる教育政策の背景や趣旨を取り込みながら、各学校の課題や実情に合わせて、主体的に課題の全体像を描きながら、個々の課題を位置付けたいものである。これからの十年間くらいは、短期、中期、長期のビジョンが描けると考えている。

 さて、まもなく公示される七月十日の参議院議員選挙から、十八歳選挙権が行使される。マスコミ等の関心が高く、学校への様々なアプローチがなされている。先月末には、道教委からも、選挙に向けたパンフレットが送付された。ポイントは、選挙違反にならないための政治活動についてと、投票についてである。投票日については、学校祭と重なる学校も多いと思う。各学校での家庭と連携した指導が求められる。

 各学校においては、人事評価制度の面談が、提出された業績シートに基づいて行われていることと思う。自己目標シートとは異なる緊張感を感じながらの面談が展開される中、新しい評価制度の面談の成果や効果的な方法について、今後、情報の交換を行っていきたいと考えている。

▼全高長総会・研究協議会

 五月二十五・二十六日に大宮ソニックシティホールで開催された。宮本久也会長は、前年度に続き、全高長が組織としての強みを最大限に生かし、教育改革の新しい波にしっかりと対応する旨の抱負を述べた。

 研究協議会においては、壇上発表が四ブロック、誌上発表が五ブロックからあり、北海道ブロックからは、調査研究部人権教育小委員会(橋本達也釧路湖陵高校長)が「北海道における人権教育の現状と課題~六年間の調査研究の概要」について、誌上発表を行った。全国に発信するのにふさわしい、レベルの高い発表であり、研究に当たった校長先生方に敬意を表する。

 文部科学省からは、浅田和伸大臣官房審議官による講話と、特別支援教育課、高校教育改革PT、教育企画課、教育課程課、国際教育課から、行政説明があった。

 教育課程課の合田哲雄氏から、次期学習指導要領改訂のポイントをはじめ、学習指導要領改訂の方向性について、全体的なレビューがなされた。また、アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係について、「深い学び」を実現する視点から説明を、さらに、学校評価の改善について、観点別評価と絡めながら、どのように評価の枠組みを構築していくかについて、説明いただいた。

▼道の動向等

▽配置計画案

 六月七日に計画案が公表された。三十一年度に六校で計六学級減、また、函館西と函館稜北を再編し新設校を立ち上げる等の案が示された。道教委としては、地元とも協議を進めながらの計画案だと考えるが、校長としての立ち位置に十分留意しながら、進めていただきたいと考えている。

▽新しいタイプの学校に対するアンケート調査

 新しい高校づくり推進室が、「新たな高校教育に関する指針」の成果と課題を検証することを目的として、対象校に個別にアンケート調査を実施している。

 対象は、総合学科、普通科単位制、普通科フィールド制、連携型中高一貫教育校、登別明日中等教育学校、地域キャンパス校に在籍するすべての生徒およびその保護者になっている。

 校長協会としても、文教要望で、「公立高校配置計画を進めるに当たっては、国の動向を踏まえ、〝新たな高校教育に関する指針〟を検討し、中・長期的展望に立ち、地域や学校の実情を把握するとともに、私立高校における特色ある教育の内容や厳しい実態を考慮しつつ、教育条件の一層の充実のための施策に、積極的に取り組むことを要望する」と重点要望として挙げている。

 今後、該当の校長にも、アンケートがお願いされるようである。検証の結果を今後、注視していかなければならない。

▼協会の動き

▽調査研究部の活動

 本年度の重点としては、めまぐるしく進行する教育改革に対応するため、研究・研修が最重要課題である。その中核となる調査研究部の活動については、昨年度から部分的に始めた、道教委の高校教育課から担当者についていただき、必要な情報や助言をいただける体制とした。

 また、論文の作成に当たっては、本部役員の担当者を査読者として特定し、徹底した検討が可能になるよう、研究体制のさらなる組織化を図った。また、主査が全国校長会に参加できるよう門戸を広げたのも、研究・研修の推進を企図したことによっている。

▽支部への本部役員の派遣

 地域レベルでの支部活動の活性化も重点としたい。ローカルな話題の中に、今日的課題の本質や普遍的な解決の仕方が潜んでいる。本年度は、全国校長会への支部選出理事等の参加の拡大や、本部役員の支部への派遣等を考え、支部活動の活性化を図っていきたい。

 校長会活動の基幹となる支部活動の活性化を促したい。また、本年度も継承する本協会の課題「北海道の未来を担う人を育む高等学校教育の創造」にあるように、新しい教育の在り方、新しい学校の在り方を「創造」し、それを提言していきたい。新しい柔軟な発想で、施策を実現レベルに落としていくには、創造が不可欠である。その意味では、受動的になることなく、主体的に施策を受け止め、創造的に実現化していきたい。

▽不祥事防止

 この件については、前期研でも申し上げたが、一昨年、「不祥事防止対策委員会」で作成した管理職研修資料を活用し、三年目に当たる本年度も、「わいせつ事故」「金銭事故」「パワー・ハラスメント」「体罰」の四点を重点事項に、支部の研究協議会等において、研修を継続していきたいと考えているので、よろしくお願い申し上げる。

 単に知識レベルの危機管理ではなく、認知レベルの危機管理によって、的確な未然防止や初期対応が可能になると考える。

 あらためて申し上げるが、本年度は、課題解決のため、協働的な研究・研修を進めていきたいと考えている。そのために、校長協会としての情報交換・情報共有が大切になる。どうぞ、理解・協力をお願い申し上げる。

(関係団体 2016-06-23付)

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