道議会文教委の質問・答弁概要(28年5月10日)
(道議会 2016-07-13付)

 道議会文教委員会(五月十日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合、当時)の質問、および梶浦仁学校教育監、岸小夜子学校教育局指導担当局長、鈴木淳義務教育課長、堀本厚健康・体育課長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆運動会体育活動の事故防止

川澄委員 五月末から六月にかけて、道内各地で運動会が行われる。昨年度、組体操等の事故を受け、通知等が出されている中で、各学校は取り組んできている。

 この間、道内の運動会を含めた体育活動における事故の状況について伺う。

堀本健康・体育課長 事故の状況について。昨年度、札幌市を除く道内の公立小・中学校における運動会において、道教委への報告対象となっている全治三週間以上の負傷事故は、小学校で十一件、中学校で七件の合計十八件発生しており、種目別の内訳としては、小学校では、組体操で十件、徒競走で一件、中学校では、走り幅跳びや走り高跳びなど、組体操以外の種目で七件となっている。

川澄委員 札幌市を除く数なので、札幌市を足せばもっと多くなることと、三段タワーやピラミッドになれば、リスクが大きい状況がある。また、全治三週間以上ということなので、一番多いのは擦り傷とか打撲などを含めた三週間以下のけがの方が多い。そう考えれば、数多く起きているのではないかと思う。

 こういったことを受け、昨年十一月の段階で、道教委から通知が発出され、体育活動中の事故防止ということで、検証の観点やチェックリストを出し、各学校は改善に努めてきた。

 具体的に、どのように改善してきたのか伺う。

堀本健康・体育課長 学校における改善事例について。道教委では、市町村教委および学校に対して昨年十一月に発出した「学校における体育活動中の事故の防止等について」の通知において、児童生徒の発達段階や技能の習熟の程度に応じいるか、具体的な危険性を想定し、安全に配慮した活動になっているかなど、具体的な見直しの観点やチェックリストを示し、運動会等も含めた体育活動全般について検証を行うとともに、必要な改善を図るよう指導した。

 現在、組体操に関する改善状況等について、すべての小・中学校を対象に詳細を把握しているが、昨年度、組体操において全治三週間以上の事故が発生した学校や、七段以上のピラミッドを実施した学校に対して聞き取りを行ったところ、本年度、組体操の実施を取り止めた学校があったほか、ピラミッドの段数を減らしての実施や、担当の教職員の増員による補助体制の強化などの見直しを行うこととしているとの報告を受けている。

川澄委員 連休が明け、学校で練習を始め、二人技など簡単なものからやっていきながら、徐々に大きな技に入っていく状況と聞いている。こういった中で、組体操だけではなく、騎馬戦等の練習も入ってくると思っているが、具体的な危険性を想定しながら、どのように取り組んでいくべきと考えているのか伺う。

堀本健康・体育課長 事故防止に向けた取組について。運動会の練習に当たっては、例えば、組体操や騎馬戦等の種目を実施する場合、演技の練習中にバランスを崩して落下し、骨折するなどの事故が想定されることから、未然防止を図るため、個々の児童生徒の体力や技能の習熟の程度を正確に把握し、その状況に応じて、活動内容や指導計画を適時適切に見直すことや、事故の発生を想定した複数の教員による監視体制や補助体制の強化などに組織的に取り組むことが必要であると考えている。

川澄委員 体育活動において、事故防止のために校内研修等は欠かせないと考えている。安全指導に対する校内研修が各学校で開かれているのか伺う。

堀本健康・体育課長 安全指導に関する校内研修等の取組について。先ほど申し上げた改善事例の聞き取りを行った学校に対して、安全指導に関する取組について、併せて照会したところ、職員会議において、運動会の実施要項の確認に加え、種目ごとに予想される危険性や事故発生時の緊急体制の確認等を行っているほか、運動会の練習の際に、担当者同士で種目の内容や適切な指導方法について打ち合わせなどを行うこととしており、事故防止に向けて、全教職員で活動のねらいや、安全管理、安全指導の内容等に関し、理解を深める取組が進められている。

―意見―

川澄委員 十分、校内研修を行って、子どもたちの事故が起きないように進めていただきたいと思っている。

川澄委員 通知では、チェックリストと同時に、検証の観点を何点か出していたと思う。検証の観点(1)には、児童生徒の安全の確保という部分があった。これについて、運動会に向けた体育活動の場合、具体的に何を指すのか伺う。

堀本健康・体育課長 運動会における児童生徒の安全の確保について。各学校において、体育活動中の児童生徒の安全確保を図るためには、事故の要因となる学校の環境や児童生徒の学校生活等における行動の危険を早期に発見し、それらの危険を速やかに除去することが重要であると考えている。

 こうした考えのもと、運動会等における具体的な取組としては、児童生徒の体力や技能の習熟の程度に応じた適切な競技種目の選定、運動会等で使用する施設や設備、用具の安全の状態の確認、活動全体の状況を常に把握し、指導できる監視体制の整備、児童生徒自らが危険の回避や軽減ができない場合における補助体制の整備などが挙げられる。

川澄委員 検証の観点(2)において、児童生徒に対し、実践的な能力や態度、望ましい習慣が形成されているかどうかという点があった。

 具体的にどのような指導なのか伺う。

堀本健康・体育課長 児童生徒に対する安全指導について。各学校においては、運動会等の実施に当たって、児童生徒に安全の保持増進に関するより実践的な能力や態度、望ましい習慣の育成に向けて、具体的には、使用する用具等の扱い方や安全な利用方法に関する指導、危険性のある動きや対処方法等の指導、危険な行動を未然に防止するためのルールや集団規律に関する指導などを行っている。

川澄委員 検証の観点(3)において、家庭や地域社会との密接な連携を深めながら、保護者に対する説明と、運動会における協力等を求めるとあったが、具体的に、どのように行われているのか伺う。

堀本健康・体育課長 家庭や地域との連携について。昨年度、道教委が実施した、「運動会や体育大会等における組体操の実施状況について」の調査では、学校における運動会等での安全指導体制の充実に向けた家庭や地域と連携した取組として、例えば、参観日等での運動会の意義や安全面の確保等についての保護者への説明、練習や運動会当日の場面で補助を行う保護者の募集、地域の町内会等への補助体制にかかわる支援の依頼など、家庭や地域の協力を得ながら、児童生徒の事故防止等に向け、監視体制や補助体制の充実を図る取組が行われている。

川澄委員 検証の観点と同時に出されたチェックリストの中に、障がいのある児童生徒や情緒不安傾向、注意を要する児童生徒に対する適切な個別的な配慮が必要であると書かれていたが、個別的配慮というのは、具体的にどのようなことを指すのか伺う。

堀本健康・体育課長 児童生徒に対する個別的配慮について。障がいのある児童生徒など、特別な支援が必要な児童生徒に対する個別的な配慮事項の内容としては、健康診断の結果や日常の健康観察等に基づき、児童生徒一人ひとりの特性や状況を的確に把握した上で、例えば、危ない行動について理解させ、自分自身を守れるように適切な対応をとるよう指導することや、困ったときに相談できる人や場所を確保すること、気分転換やリラクゼーションにより情緒の安定を促すことなどを行うことが考えられる。

―再質問―

川澄委員 障がいのある生徒を含めて運動会があるわけなので、配慮を必要とされる子どもたちがどのようにかかわっていくのかが非常に重要な観点だと思っている。

 こういった点で考えると、配慮するという部分については、当該児童生徒が参加できる種目や演目に変更することも含めて考えているということでよいか。

堀本健康・体育課長 児童生徒に対する配慮について。障がいのある児童生徒など、特別な支援が必要な児童生徒に対する配慮事項については、ただ今答弁した事項のほか、例えば、児童生徒の特性や状況に応じて、種目の選定や、ルールおよび内容を工夫することなどが考えられる。

川澄委員 運動会における体育活動は、組体操や騎馬戦を含めて、リスクを伴いながらの学習指導だと思っている。リスクを伴ったままの学習指導は、教育的な指導と言えないのではないかと認識している。

 検証の観点を押さえた上で、再度運動会における事故防止に向けた取組、また指導の在り方について、通知等を含め各学校に指導すべきだと考えているが、見解を伺う。

岸学校教育局指導担当局長 今後の取組等について。道教委では、各学校において、体育活動を行う際には、安全管理体制の確立や活動時における安全指導の充実などを観点として、活動の検証や見直しに日常的に取り組むことが重要と考えており、先ほど担当課長から答弁したとおり、昨年十一月に市町村教委および学校に対し、事故防止に関する通知を発出するとともに、ことし三月には、国からの「組体操等による事故の防止について」の事務連絡を受け、組体操を含めた体育活動全般にかかわる事故防止について、あらためて通知を発出した。

 今後においても、これらの指導通知で示した体育活動に関する検証の観点等を踏まえて、活動の検証や見直しが適切に行われるよう、校長会に対する指導助言や指導主事の教育委員会訪問や学校訪問などを通じ、事故防止に万全を期すよう指導を行うなどして、学校における体育活動中の事故の防止を徹底していく。

―指摘―

川澄委員 運動会に向けて先生方も熱が入る中で、どうしても事故に対するリスクが高まると認識している。子どもたちが一生懸命練習して頑張っていくと、教員も熱が入り、子どもたちの事故に対する意識が若干薄れてしまう。今回、答弁いただいた中には、例えば騎馬戦等を含めて、家庭や地域の方に張り付いていただき、落下防止に配慮するほか、組体操のピラミッド等についても周りに大人を配置して落下防止に努めている。教員も一生懸命取り組んでいるが、なかなか事故が減らない状況も出てきている。

 子どもたちの安全が一番であり、リスクを伴っての指導が本当に教育的意義があるのかという部分については、一度立ち止まって見直す時期ではないかと思っている。

 子どもたちの事故や、そういったリスクを考えるのであれば、事故が起きない形での教育指導をどのように考えるかという点も、指導等を含めて、各学校で研修を深めながら、子どもたちにとって、より良い運動会などの体育活動を進めていただきたい。

◆学力・学習状況調査の取組

川澄委員 文部科学大臣がこの調査にかかわる記者会見の中で、学力調査の成績を上げるために過去問題をやっているとすれば大問題であると述べた。この発言を、道教委としてどのように受け止め、また、こういった行為が道内の学校では、どのようになっているのか伺う。

岸学校教育局指導担当局長 全国学力・学習状況調査にかかる文科大臣の発言等について。四月十九日に実施された記者会見で、同調査の意義を問う質問に対して、調査実施前に授業時間を使って過去の問題を練習させ、本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった声が、一部から寄せられているという事例を取り上げながら、同調査は、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てるなどの目的を踏まえて適切に実施する必要があるといった趣旨で発言したものであり、道教委としては、大臣があらためて各教育委員会や学校に対し、調査の趣旨・目的を理解し、それに沿って取り組むよう求めたものであると受け止めている。

 道教委では、十九年度の調査開始以来、文部科学省が示す実施要領に基づき、適切に調査を実施することについて、市町村教委や学校に丁寧に説明してきており、道内の各学校においては、調査の目的を踏まえて取り組んでいるものと承知している。

―再質問―

川澄委員 この調査が始まったときは、教育の機会均等や教育条件整備が適切に行われているかということも含めて行われたのではないかと思っている。この間の状況をみると、点数を上げることが、どうしてもクローズアップされている。道内では、この趣旨に基づいて調査の目的を踏まえ取り組んでいるという回答があったが、道内では、調査結果向上のために、過去問題に取り組んでいることではないということで、再度伺う。

岸学校教育局指導担当局長 過去の調査問題等の活用について。道内の各学校においては、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てるなど、全国学力・学習状況調査の目的を踏まえて取り組んでいると承知している。

川澄委員 各学校において、過去問題、または、それに類するものに取り組んでいることを、地元の学校や道内のいろいろな先生方からも聞いている。中には、管理職が過去問題の取組を求めていたと理解しているが、こういった理解でよいのかどうか伺う。

鈴木義務教育課長 過去の調査問題等を活用した取組について。全国学力・学習状況調査の教科に関する調査の問題は、身に付けておかなければ、あとの学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や、知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力などにかかわる内容を取り扱い、さらに、学習指導の改善・充実にも生かすことができるよう考えて作成されていることから、道教委では、調査問題を児童生徒の弱点やつまずきの改善、授業で扱う教材づくり、学習の成果を評価するための問題づくりなどに活用するよう、繰り返し、指導助言してきた。

 こうしたことから、道内の各学校では、校長のリーダーシップのもと、児童生徒一人ひとりの学習意欲を高め、基礎・基本を確実に定着させることができるよう、過去の問題も活用するなどして、授業や補充学習の改善・充実など、学力向上の取組を進めているものと理解している。

―再質問―

川澄委員 子どもたちの弱点、つまずき等を、授業での改善に生かす取組で、過去問題に取り組んでいる学校もあることも承知している。

 ただ、中には、一回や二回ではなくて何回も取り組むという状況も聞いている。子どもたちから、またやるのかという声が出てきているだとか、これだと、いわゆる大学入試の赤本と同じような状況で、テスト問題に慣れてもらうためと公言する人もいたと聞いている。

 校長のリーダーシップのもとでと話していたが、明らかに担任に対して、過去問題に何度も取り組むように一方的に求めている実態があると聞いていたが、見解を伺う。

鈴木義務教育課長 過去の調査問題等を活用した取組について。ただ今答弁したとおり、道教委では、これまで、学習指導の改善・充実のため、調査問題を児童生徒の弱点やつまずきの改善、授業で扱う教材づくり、学習の成果を評価するための問題づくりなどに活用するよう指導助言してきており、道内の各学校では、校長のリーダーシップのもと、学校全体で過去の調査問題も活用するなどして、児童生徒一人ひとりの学習意欲を高め、基礎・基本を確実に定着させることができるよう、学力向上の取組を進めていると理解している。

―指摘―

川澄委員 そういった形で進めているということだが、そうは理解されていない状況があると思うので、この点については、丁寧な説明が必要であることを指摘しておく。

川澄委員 委員会等で何度かチャレンジテストについて質問した。中身等については、改善が図られてきていることも承知している。

 ただ、現場の先生方から、チャレンジテストは、明らかに過去問題に基づいた内容であるということを聞いているが、チャレンジテストは、全国学力・学習状況調査等の対策ではないという認識でよいのか伺う。

鈴木義務教育課長 チャレンジテストについて。チャレンジテストは、児童生徒一人ひとりに学習指導要領に示されている各学年の学習内容が確実に定着しているかどうかを把握し、学習状況を改善するために実施している。

川澄委員 各教育局の指導主事が、各学校を訪問し、学力向上に向けた指導助言をしていると認識している。

 過去には、教育局の指導主事通信等に、過去問題のテスト対策に取り組むべきだとか、明らかにテスト対策を求めているような状況があったと認識している。この点について、見解を伺う。

 また、教育局の研修会等で、過去問題を活用するよう発言していたとも聞いている。指導主事が、授業で過去問題の活用を勧めていたのか、この点について伺う。

鈴木義務教育課長 教育局の指導について。全国学力・学習状況調査の目的は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること、また、学校における教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることなどであり、道教委では、こうした目的を達成できるよう毎年度の調査結果を踏まえ、工夫改善しながら学力向上の施策を進めてきている。

 こうしたことから、各教育局においても、調査の目的を踏まえ、管内の課題等に応じて、子どもたちの学力について考える会や学力向上推進研修会を開催するほか、学力向上の取組を工夫する中で、習得が十分ではない内容を繰り返し指導することや、過去の問題も活用して指導した内容の定着を図ること、粘り強く取り組むことなどについて学校に丁寧に指導助言してきており、委員指摘の取組も、こうした趣旨で行われていると承知している。

―再質問―

川澄委員 私が見た中で、通信の中に、子どもとの根比べだとか、あと残り何日というカウントダウンまで書いて取組を求めるような状況もあった。こういった中で、現場の先生方の受け止めは、過去問題に取り組むよう、言葉は悪いが、強要されているというような状況がある。現場の先生方は、過去問題の取組、調査結果の向上につなげる学習指導をせざるを得ないといった指導助言になっていると受け止めているのではないか。

 この受け止め方の違いは、指導主事の助言の在り方に問題があるのではないかと思っている。この点について、今後、どのように改善していこうとしているのか伺う。

鈴木義務教育課長 指導主事の指導助言について。道教委では、これまでも全国学力・学習状況調査の目的を踏まえ、学力向上の取組を工夫する中で習得が十分ではない内容を繰り返し指導することや、過去の問題も活用して指導した内容の定着を図ることなどについて指導助言してきたが、学校にこのような趣旨が伝わっていないような状況がみられる場合は、あらためて説明し、理解が図られるよう指導助言に努めていく。

川澄委員 ぜひ、真意が伝わるような形で、指導しっかりしていただきたい。

 学力向上推進校が各管内等にあると思うが、こういった学校においては、校長が学力向上ということで、日課等を変更して時数の確保だとか、特に、算数の時間を増やすように、先生方に話し合いというよりも、校長が決める形で進んでしまっている状況もあると聞いている。そういった状況がどのようになっているのか伺う。

鈴木義務教育課長 学校の取組について。学校の教育課程は、教育基本法や学校教育法等の法令や学習指導要領に従い、児童生徒の人間として調和のとれた育成を目指し、地域や学校の実態および児童生徒の心身の発達の段階や特性を十分考慮し、校長の権限と責任において、適切に編成することとなっている。

 委員指摘の学校においても、校長が学校全体の責任者としての指導性を発揮しながら、学習指導要領に基づき、児童生徒に指導すべき各学年の内容が確実に定着するよう、適切な授業進度を確保した指導計画を作成し、授業に取り組んでいると理解している。

―再質問 ―

川澄委員 こういった指導は、直接、子どもの指導にかかわる担任も含め、校内研修や職員会議の中で、本来、十分な話し合いをしながらやるべきものではないかと思っているが、職員との十分な話し合いがないまま、学力の向上ということで進んでいる実態がある。この点についての見解を伺う。

鈴木義務教育課長 学校の取組について。学校の教育課程は、ただ今答弁したとおり、校長の権限と責任において編成するものであり、具体的な実施に当たっては、指導計画に基づき、全教職員の協力のもと、校内の運営組織を生かして行うよう、校長会等で指導助言してきており、今後も、学力向上を含めた教育活動が一層充実するよう、各学校の実態に応じた支援に努めていく。

―指摘―

川澄委員 今、全教職員の協力のもと、校内の運営組織を生かして行うという話があったので、この点については、校長会等でも話していると思う。

 今、チーム学校という言葉も出てきているが、先生方の一致した意見のもとで、子どもたちの学力向上、その他体力の向上も含めて取り組むことが必要だと思うので、なかなか論議が深まらない中、一方的に進むことのないよう、しっかりと指導等を行っていただきたい。

川澄委員 チャレンジテストの在り方については、検討すべき時期ではないかと思っている。道教委もこの間、内容の充実に向けて取り組んできていることは理解している。

 チャレンジテストの使い方について、授業を補完するツールとして各学校の裁量で活用できるようにすべきと考えるが、見解を伺う。

鈴木義務教育課長 チャレンジテストについて。チャレンジテストは、全国学力・学習状況調査の結果から、本道の子どもたちが苦手としている問題などを分析し、学習指導要領に示されている各学年の学習内容が確実に定着しているかどうかを把握することができるよう、年間を通して計画的に配信するとともに、各学校で年間指導計画に位置付け、授業の振り返りや学期のまとめの学習等で効果的に活用されるよう指導助言に努めてきている。

 道教委では、これまでも、学校などからチャレンジテストに対する意見や要望を、様々な機会を通して把握し、改善を図ってきており、今後も、学校等からの意見や要望を参考にしながら、学校の学力向上に向けた取組を支援するため、チャレンジテストの改善・充実に努めていく考えである。

―再質問―

川澄委員 テストの結果を入力することに時間を取られるという話も聞いている。また、テストをこなすことを前提にしているということもあるので、子どもたちの定着が悪ければ、そこでうまく活用したい、また、必要な時に必要な形で使えるようにしたいという意見があるのは、現場の先生から多くの声として、実際に聞いている。

 そういった中、現場からは柔軟な運用ができないかという声を、管理職の先生も含めて聞いているので、裁量で活用できることも含めて、改善・充実に努めるということでよいのか伺う。

鈴木義務教育課長 チャレンジテストの改善・充実について。チャレンジテストの実施等については、これまで、学校からは、「教育課程に位置付けて授業の中で活用したい」「単元や学期の評価問題として活用したい」「時期を考慮して実施してほしい」などの要望や意見があった。

 このため、道教委では、各学校が、授業の中でより一層チャレンジテストを活用できるよう、内容の充実を図るとともに、配信日から結果登録までの実施期間を一ヵ月以上確保すること、学年末問題の中学校第三学年の問題配信日を、入試を考慮して二週間早めることなどの改善を行い、各学校が効果的に取り組めるよう配慮しており、今後も、学校等からの意見や要望を参考にしながら、改善・充実に努めていく。

川澄委員 今後、過去問題を活用して点数向上をあおるような授業ではなく、子どもたちが楽しく学びながら理解できるような授業を行うよう、各学校に対して指導していくべきではないかと思うが、その点について伺う。

鈴木義務教育課長 学校における授業について。各学校においては、子どもたちに、基礎的・基本的な知識・技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育み、主体的に学習に取り組む態度を養う授業を行うことが求められていることから、子どもの実態を的確に把握し教材研究を十分に行い、「分かる授業」にするための様々な工夫をする必要があると考えている。

 このため、道教委では、これまで、例えば、授業の基盤となる学習規律の徹底やノート指導、授業のはじめに目標を分かりやすく示すこと、振り返りの活動を位置付けること、自分の考えを発表したり、グループで話し合ったりする活動を徹底することなど、学習指導要領に基づく創意工夫を加えた授業改善が各学校で一層推進されるよう、指導助言しており、今後も、各教科の指導方法の改善に関する研修会などを通して、授業の充実が図られるよう取り組んでいく。

―指摘―

川澄委員 子どもの実態を的確に把握して教材研究を行うことや、「分かる授業」にするための工夫をする必要があるというのは、そのとおりであると思っている。

 学校が厳しい状況に置かれている中で、子どもたちにとって本当に分かりやすい授業になっているのか、また、興味・関心を引く授業になっているのかというと、なかなかそういった授業が実現できづらい状況にあると認識している。

 過去問題に何回も取り組む、子どもたちから「また過去の問題をやるの」といった声が実際に出てきているという話も聞いている。子どもたちにとって分かりやすい授業、理解できる授業を求めていくことが必要だと指摘する。

川澄委員 本年度も調査が行われたので、このあと、結果公表が控えているが、現状の調査結果公表の在り方だと、自治体間の競争をあおるような中身と言わざるを得ないと思っている。

 本来の教育の機会均等の確保の趣旨も合わせるのであれば、公表の内容の在り方も、自治体の意見を取り入れながら行うべきと考えるが、見解を伺う。

岸学校教育局指導担当局長 調査結果の公表について。子どもたちの学力向上のためには、教育委員会や学校が保護者や地域住民に対し、調査結果を踏まえた的確な情報提供を行い、学力向上に向けた認識を共有し、一体となって取り組むことが重要であると認識している。

 このため、道教委では、一昨年度から、国の実施要領に示されている、公表する内容や方法等は教育上の効果や個人が特定される影響等を考慮して適切なものとなるように判断すること、また、調査によって測定できるのは学力の特定の一部であることや、学校の教育活動の一側面であることなどを明示することなどの配慮すべき事項を踏まえつつ、市町村ごとの特色や取組状況などを明らかにした公表を行うこととし、市町村教委に対しても、こうした考え方を丁寧に説明し、同意を得られた市町村について公表を行っている。

 また、公表に当たっては、管内の市町村教委教育長の代表者等で構成する「学力向上推進協議会」を開催し、意見を聞くなどして、公表内容の改善を図ってきており、今後も、市町村教委と情報共有、意見交換を行うなど連携を図り、本道の学力向上に向けた取組が一層充実するよう、調査結果の公表に取り組んでいく考えである。

川澄委員 同調査導入当初に懸念されていた順位争いが過熱化していると思っており、こういった過熱化が、文科大臣の発言等につながったと考えている。道教委も、調査導入によって、どうしても点数向上に偏った施策が、この間、目立っているのではないか。

 そういうことを受けて、現場の先生方との考え方、または、目指す方向性との溝が広がっているのではないかと思っている。

 学力向上を実現することについては、誰も異論がない。こういった点について、現場の先生方と協働し、現場の先生方が納得して取り組めるような施策に変えていくべきではないかと思う。この点についての見解を伺う。

梶浦学校教育監 学力向上の取組について。道教委としては、本道の子どもたちに、社会で自立するために必要な学力を身に付けさせることが重要であり、そのためには、学校の教職員はもとより、保護者や地域の方々と課題を共有し、一体となった取組を進める必要があると考えている。

 こうした考えに基づき、道教委では、これまで、市町村教委や校長会、PTA等の意見や要望の把握に努め、理解を得ながら、学力向上にかかわる事業を推進してきており、今後においても、施策の展開に際して、一層丁寧な説明に努めるとともに、学力向上推進研修会や学校訪問など、様々な機会を通じて現場の声の把握に努め、各学校の抱える課題に応じたきめ細かな支援を充実させていく考えである。

(道議会 2016-07-13付)

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