道議会文教委の質問・答弁概要(28年5月10日)(道議会 2016-07-20付)
道議会文教委員会(五月十日開催)における丸岩浩二委員(自民党・道民会議)、佐野弘美委員(日本共産党)の質問、および村上明寛総務政策局長、北村善春学校教育局長、加賀学施設課長、伊賀治康教職員課服務担当課長、山本純史特別支援教育課長、道の佐藤則子学事課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆教員の問題行動とその対応
丸岩委員 道立高校の教員が自校の生徒に、安保法に反対するビラの配布、署名活動を行ったことが報道された。看過できない活動と考える。以下、数点伺う。
四月二十六日の朝、道立高校の教員二人が校門の外で、自校の生徒に対し、安保法への反対署名に協力してほしいといった旨のビラを配布したと聞き及んでいる。当該事案のてん末を、道教委はどのように把握しているのか伺う。
伊賀教職員課服務担当課長 当該事案の概要について。四月二十六日の朝、高校教員二人が年休を取得の上、校門の前の道路で、生徒に対して、安全保障法に反対・廃止を求める署名への協力依頼のビラを配布して、その後、同日の放課後に年休取得の上、校門の前で署名活動を行い、同校の生徒二人が署名したものである。
同校は、当日の午後に教員による校門前でのビラの配布および署名活動の情報を得たことから、署名活動を中止させるとともに、学級担任を通じてビラを回収するよう指示した。
翌日の二十七日に、今回の件についてPTA会長に説明するとともに、二十八日には、校長から全校生徒へ署名活動の中止やビラ回収に関する経緯を説明し、保護者に対しても文書によって説明・謝罪を行った。
丸岩委員 今回の教員の行動は、特定の主義主張に基づき、一方からの見方に立った行動であり、本来、教育現場が一番重要とされる公正や中立性を欠く、大変大きな問題であると考えている。道教委では、これまで、学校に対し、こういったことについて、どのような指導を行ってきたのか伺う。
伊賀教職員課服務担当課長 学校に対する指導について。道教委においては、二十七年十一月に、道立高校長や高校を置く市町村教委教育長に通知を発出して、生徒への指導に当たっては、教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で指導すること、教員は、その言動が生徒の人格形成に与える影響が極めて大きいことなどに留意し、学校の内外を問わず、その地位を利用して特定の政治的立場に立って生徒に接することのないよう、また、不用意に地位を利用した結果とならないようにすることなどについて指導している。
丸岩委員 報道によると、今回の署名活動について、高教組は、正当な組合活動の範囲で計画したことである。また、学習塾や予備校などは、営業活動を校門の前で生徒に対して行っている。今回の件だけ問題にするのはおかしいと主張しているとのことである。
しかし、生徒に対する政治的な宣伝や組合の宣伝活動と営業活動は全く異なるものであり、同一に取り扱うものではないと考える。今回の行動に対する道教委の認識を伺う。
村上総務政策局長 今回の事案に対する認識について。道教委としては、職員団体活動として行われる行為であっても、その構成員である個々の教職員については、生徒に対して特定の政治的立場に立って接すべきではないと考えている。
また、教員は、学校教育に対する国民の信頼を確保するため、公正中立な立場が求められていることから、このたびの教員の行為は、学習塾や予備校などの営業活動とは大きく異なるものであり、生徒や保護者、地域住民からの信頼を損ないかねない行為であると認識している。
なお、今後、早急に詳細な事実関係を確認し、法令等に違反する行為があった場合には、厳正に対処していきたいと考えている。
―指摘―
丸岩委員 ことし三月、千葉県の元県立高校教諭が、学校から無断で持ち出していた生徒の名簿のデータを使い、卒業生約三百人に安保法への反対署名を求める手紙を送っていたとの報道があった。
この元教諭は、同校を定年退職しているが、在職中に校内のパソコンから自分のUSBメモリーにコピーし、無断で持ち帰っていたデータを、今回使用して、署名を求める手紙を出していたという。教職員がその立場を利用して、こうした行為を行うことは、決してあってはならないことである。
本日は、議論の入口とさせていただくが、わが会派としては、このような問題について、今後とも、しっかりと議論をしていきたいと思うので、よろしくお願いする。
◆学校施設における防災機能
佐野委員 九州地震では、県立高校の四分の三、市町村立小学校の八割超で建物への被害が確認されたと報道されている。
そこで、道内の公立・私立の小・中・高校、幼稚園、特別支援学校の耐震化および避難所になっている教育施設の耐震化の状況はどのようになっているのか伺う。
加賀施設課長 公立学校の耐震化について。二十七年四月一日現在の耐震化率は、小中学校が八八・二%、高校が九七・二%、特別支援学校が一〇〇%、幼稚園が七五・八%となっており、全国平均と比較すると、高校および特別支援学校は上回っているものの、小・中学校では約七ポイント、幼稚園では約一一ポイント下回っている。
また、公立学校二千十二校のうち、避難所に指定されている学校は一千八百四十六校であり、その耐震化率は約八五%となっている。
佐藤学事課長 私立学校の耐震化について。二十七年四月一日現在の耐震化率は、小中学校が八一・八%、高校が六七・四%、幼稚園および認定こども園が七八・二%となっており、全国平均と比較すると、小・中学校で一一・九ポイント、高校で一三・七ポイント、幼稚園および認定こども園で五・六ポイント、それぞれ下回っている。
また、避難所に指定されている施設は百十八棟あり、このうち、耐震性があるのは七十七棟で、耐震化率は、六五・三%となっている。
―意見―
佐野委員 学校の耐震化が遅れているのは、以前から議論があったが、避難所に指定されている学校のうち、公立で一五%、私立で三五%近くが耐震化されていないということであった。九州地震の状況をみても、いざというときに使えないということになりかねないため、対策は重要と考える。
佐野委員 一般的に避難所として使われる学校体育館等における非構造部材の耐震化の状況について伺う。
加賀施設課長 非構造部材の耐震化について。二十七年四月一日現在、公立学校の屋内運動場等における吊り天井・照明器具・バスケットゴールの落下防止対策は、吊り天井を有する棟では、小・中学校が五・二%、高校が五〇%、特別支援学校が一〇〇%、吊り天井を有していない棟では、小・中学校が五七・二%、高校が六六・二%、特別支援学校が四六・二%、幼稚園が六六・七%となっている。
佐藤学事課長 私立学校施設の非構造部材の耐震化について。二十七年四月一日現在、屋内運動場等における吊り天井・照明器具・バスケットゴールの落下防止対策は、吊り天井を有する棟では、小・中学校が三三・三%、高校が六・三%、幼稚園および認定こども園が四五・八%、吊り天井を有していない棟では、小・中学校が四〇%、高校が二六・四%、幼稚園および認定こども園が四四・五%となっている。
佐野委員 非構造部材の耐震化は、さらに深刻な状況だと言わざるを得ない。九州地震関連で使えなかった避難所の多くは、非構造部材の損傷が原因だったとの報道もあった。
道教委および総務部学事課は、これまで、学校の耐震化をどのように推進してきたのか、また、現状と課題について、どのように認識し、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
村上総務政策局長 耐震化の推進について。道教委では、これまで、耐震化の早期完了に向け、市町村に対し、幹部職員が直接要請するとともに、耐震化年次計画を随時把握し、事業の前倒しを求めるほか、国に対して、財政支援や補助率の嵩上げの継続を働きかけてきた。
しかしながら、地域によっては、依然として、児童生徒数の減少に伴う学校の統廃合の検討や市町村の厳しい財政状況などによって、耐震化の完了が見通せない状況となっている。
道教委としては、児童生徒の学びの場であるととともに、避難所としての役割も果たす学校施設の耐震化は、何よりも優先して取り組むべき課題であることから、これまでの取組を継続して行うことはもとより、特に、耐震化の完了が見通せていない状況にある市町村に対しては、まずは、できる限り早期に年次計画を立て、その計画に基づき、耐震化を推進するよう強く要請していきたいと考えている。
佐藤学事課長 私立学校の耐震化の推進について。道では、学校法人等が行う耐震診断にかかる助成制度を設けるとともに、各学校法人に対し、各種会議などを通じて、国等の各種助成制度の活用などについても周知啓発を行うなど、学校施設の耐震化の取組を支援している。
しかしながら、私立学校においては、近年の少子化の進行など、非常に厳しい経営環境にある中、多額の費用を要する耐震化については、将来の経済的負担や校舎等施設の改築時期も見据え、慎重な対応となっていることなどから、耐震改修が進んでいない状況にあるものと考えている。
道としては、学校施設の耐震化の取組が一層進められるよう、各種助成制度の活用を促していくとともに、私学団体とも連携を図りながら、国に対しても、耐震化の補助率の引き上げや補助対象施設の拡充など助成制度の充実について、要望していきたいと考えている。
―指摘―
佐野委員 国に支援を求めていくのはもちろんだが、児童生徒、地域住民の生命、安全を守るためにも、道として、独自の支援を拡充するべきと指摘したい。
佐野委員 学校施設の防災機能に関する実態調査の目的、道内の避難所指定学校数等について、説明していただきたい。
加賀施設課長 調査の目的などについて。「避難所となる学校施設の防災機能に関する調査」は、避難所として位置付けられている学校施設の防災機能に関する施設・設備の現状を取りまとめ、地域の安心・安全の基盤となる学校施設の整備計画の進展に資することを目的として、国立教育政策研究所が、毎年五月一日現在で実施している。
二十七年度の調査において、本道の避難所に指定されている学校数は、二千十二校のうち一千八百四十六校の九一・八%であり、全国平均の九〇・五%を上回る状況となっている。
佐野委員 九州地震では、感染症が発生するなど、衛生面が問題となった。避難所の衛生面と避難者の健康面から、国土交通省はマンホールトイレへの補助を行っていると承知している。道内の市町村立学校では二十六校で整備しているが、道立学校はゼロである。導入する考えはないのか伺う。
また、避難所に指定されている道立学校百八十九校のうち、二十校にとどまる屋外利用トイレの整備についても、併せて伺う。
加賀施設課長 マンホールトイレなどの整備について。道教委としては、避難所の役割を担う学校において、災害時における断水や避難者数を想定し、マンホールトイレや屋外利用トイレなど必要なトイレ数を確保することは、避難所としての機能向上に資するものと考えているが、地域防災計画を作成し、学校を避難所として指定している市町村の役割もあることから、今後とも、避難所における生活に必要な機能の充実について、市町村や当該学校と十分連携しながら対応していきたいと考えている。
佐野委員 避難所用途の自家発電設備を整備しているのは百四十九校で、四十校は未整備である。非常用電源がないことによって、避難所としての機能が果たせないという事態が起きてはならないと考える。今後、どのように整備していく考えなのか伺う。
加賀施設課長 自家用発電設備の整備について。道教委としては、避難所となる学校が停電することによって、避難所内の移動の危険性や避難された方々の精神面への影響が危惧されることから、災害発生時に照明やその他の電源を確保するため、これまで、防災棟の整備に努めるとともに、市町村と連携しながら、自家用発電設備等を整備してきており、今後とも、市町村や当該学校と十分連携し、対応していきたいと考えている。
佐野委員 備蓄倉庫・防災倉庫が整備されている避難所指定の道立学校は十三校にとどまる。避難者の受け入れのために必要な物資の備蓄について、どのように整備していくのか伺う。
加賀施設課長 備蓄倉庫の整備について。避難所における食料・物品の調達・確保などについては、市町村が地域防災計画に基づき行うこととなっており、避難所に指定されている道立学校においては、使用されていないスペースを備蓄倉庫として活用することが考えられることから、今後とも、学校に対し、市町村から食料品等の備蓄についての要望や相談があった場合は、施設の活用などについて、適切に対応するよう周知していく。
佐野委員 関連して伺うが、道教委は、これまで、防災棟の整備を進めてきたと承知している。本年度、防災棟の整備費を計上していないのはなぜか。また、今後、整備を進めていくべきと考えるが、見解を伺う。
村上総務政策局長 防災棟の整備について。道教委では、阪神淡路大震災を契機として、これまで、多目的トイレやシャワー室などを備える防災棟を百五十七棟整備してきているが、一方で、老朽化が著しく、児童生徒の安全や教育活動等への影響が懸念される校舎・屋内体育館の屋上防水や外壁改修など、速やかな改修の必要性が高まっていることから、限られた財源の中で、本年度は、避難所としての役割も踏まえつつ、校舎等の改修に、重点的に取り組むこととした。
今後とも、学校施設の安全性の確保に努めるとともに、市町村と十分連携しながら、避難所として必要な防災機能の充実に取り組んでいきたいと考えている。
佐野委員 実態調査では、百七十九市町村のうち、学校施設の避難所としての利用計画を「策定済み」と答えている自治体は六十二にとどまる。それ以外の自治体に所在し、避難所に指定されている道立学校はいくつか伺う。
加賀施設課長 利用計画が策定されていない市町村に所在する学校について。地域の方々の円滑な誘導や避難所となる学校施設を効果的に活用するためには、市町村において、学校施設利用計画を策定することが重要であるが、現在、この計画が策定されていない市町村には、六十四校の道立学校が避難所に指定されている状況となっている。
道教委としては、今後、当該市町村に対し、想定される避難者数などを考慮し、学校と連携しながら、速やかに学校施設利用計画を策定するよう働きかけていく。
―意見―
佐野委員 本道の避難所に指定されている一千八百四十六校で、すぐに使わない防災への備えをすることは、大変なことではあるが、必要な調査・整備について、市町村と連携して進めるよう求める。
佐野委員 特別支援学校の福祉避難所指定について。
福祉避難所に指定されている道立の特別支援学校は何校あるのか。また、指定された経緯を伺う。
山本特別支援教育課長 災害時に福祉避難所となる特別支援学校について。道立の特別支援学校のうち、市町村の福祉避難所として指定されている学校は五校あり、網走養護学校が二十四年六月に、千歳高等支援学校が二十五年四月に、函館盲学校および函館聾学校が二十七年三月に、拓北養護学校が二十八年三月に、それぞれ指定を受けている。
これらの学校は、高齢者や障がい者など避難先での生活に特別の配慮を必要とする人の避難場所として、自治体から要請があったものであり、在校生の避難場所としての機能のほか、近隣住民等の受け入れを行うこととしている。
佐野委員 未指定となっている学校についても、児童生徒の安全・安心を確保する観点から、指定に向けた取組を進めるべきと考えるが、見解を伺う。
山本特別支援教育課長 今後の対応について。災害時においては、児童生徒等の安全確保を図ることが最も重要であり、各学校では、防災のための実施計画を定め、対応している。
特別支援学校においては、児童生徒等の在校中に災害が発生した場合、自校において避難することが、より安全である状況も考えられること、自治体から必要な支援を受けられることなどの理由から、道教委としては、各特別支援学校が、自治体による福祉避難所の指定を受けることについて、自校の状況を十分踏まえつつ検討するよう促していく。
―要望―
佐野委員 九州の震災でも、障がいのある子どもたちが避難所に入ることができない、必要な支援物資を受け取ることができないなどの状況が報道され心配した。ぜひ、検討して進めていただきたい。
佐野委員 熊本では、ゴールデンウイークまでに授業が再開できなかった公立学校が百八十六校にのぼったと報道されている。災害が長引いた場合、避難所の維持・継続と生徒の教育をどう整合させていくかが課題となる。道立学校における学校施設の避難所に関しての業務継続計画(BCP)には、授業再開や避難所と〝教育の場〟の区分などが、どのように盛り込まれているのか。
北村学校教育局長 道立学校における業務継続計画について。道教委では、大規模な地震などの災害に対して、学校が適切に対応できるよう、二十五年七月に、「業務継続計画策定の指針」を作成し、各道立学校において、独自に業務継続計画を策定するよう指導した。
同指針においては、授業再開に向けての児童生徒等の安否確認、通学路や施設設備の安全確保、児童生徒等の心のケアの体制整備など、校長の指揮監督のもと、教職員が行うべき対応のほか、緊急避難用スペースを段階的に縮小し教室を確保することや、教育機能と避難所しての機能の調整を市町村の災害対策本部や避難住民と継続して協議することなどを定めている。
道教委としては、これまでも、各学校の業務継続計画がより実効性のあるものとなるよう、不断の見直しや計画的な校内研修の実施などについて、指導助言してきており、今後においても、災害時における管理体制の一層の確立について指導していく考えである。
―意見―
佐野委員 学校は教育の場であり、児童生徒の成長にとって、何が必要かという教育的な観点から、どのような施設を整備し、どのように運用していくのかを考えるべきであることは当然のこと。
一方で、災害発生時においては、地域住民の生命を守る拠り所としての役割を担っており、そのどちらも大切な役割であると言わざるを得ない。
運用面において、異なる視点をどのように両立させるのかについては、課題も数多くあり、今後、みんなで知恵を絞りながら考えていく必要があるが、まずは、災害に強い施設づくりを進めることが大事ではないかと思うので、今後の積極的な取組をお願いする。
◆政治的教養を育む教育
佐野委員 道立高校の校地外で行われた請願署名活動について、学校側が「極めて政治色の強いもので、配慮に欠けた不適切な行為」だと判断して、各クラスの担任教員にビラの回収を指示し、署名活動も中止をさせたと報道された。
そこで、政治的教養を育む教育の一層の充実を図るために、以下、質問していきたい。
「請願権」は、未成年者でも外国人でも、何人においても実施することができる基本的人権の一つであり、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令または規則の制定、廃止・改正その他、いずれも政治にかかわる事項について、請願する権利が保障されていると承知している。「請願」は、何を根拠に行われ、どのような人が請願できると考えているか、あらためて確認したい。
伊賀教職員課服務担当課長 請願権の根拠等について。請願は、憲法や請願法などに基づいて行われており、憲法第一六条では、「何人も損害の救済、公務員の罷免、法律、命令または規則の制定、廃止または改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有する」と規定されており、ここで言う「何人」には、未成年者や外国人も含むものと認識している。
佐野委員 今回、「安全保障法反対」の署名だったことが問題視されているが、請願は、政府に法律の廃止・改正を求めたりするもので、当然、政府の意に沿うものではない。請願権に照らして問題と言えるのは何か、考えを伺う。
伊賀教職員課服務担当課長 今回の事案の問題について。ただ今、答弁したように、憲法において、何人も平穏に請願する権利を有するものである。
しかしながら、今回の事案は、高校の教員が校門の前の道路で、生徒に対して安全保障法に反対・廃止を求める署名への協力依頼のビラを配布し、その後、署名活動を行ったものであり、こうした行為は、生徒や保護者、地域住民からの信頼を損ないかねない行為であると認識している。
佐野委員 生徒、保護者、住民からの信頼を培いながら教育に当たることは重要だと思う。しかし、道教委も答弁したように、請願権は何人にもあるものだということは確認できた。
請願をしたために、いかなる差別待遇も受けないと承知しているが、学校側は署名した生徒名を確認したと聞く。こうしたことは、適切と言えるのか。道教委の見解を伺う。
伊賀教職員課服務担当課長 署名活動の確認について。ただ今、答弁したとおり、このたびの教員による行為は、生徒や保護者、地域住民からの信頼を損ないかねないものであり、現在、事実確認をしている。
そうした中で、その署名活動についても、確認しているものであり、適切なものと考えている。
― 指 摘 ―
佐野委員 署名活動の確認は適切ではない。新聞報道にもあったが、名前を聞いた学校側も、名前を伝えた教員側も、ともに生徒の自由な意思、思想信条の自由の侵害に当たると、弁護士からも指摘されている。
全くそのとおりであり、こうしたことはあってはならないことである。
また、今後、生徒にとって不利となるような学校の対応はあってはならないことを厳しく指摘しておく。
先の第一回定例議会において、選挙権年齢を十八歳以上に引き下げた法改正に関するわが党の代表質問に対し、将来、わが国を担っていく世代である若い人々の意見を、国の在り方を決める政治に反映させていくことが望ましいという考え方に基づくと認識し、道教委として、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、各学校に対し、政治参加の重要性や選挙の意義について理解を深め、様々な課題を多面的・多角的にとらえ、根拠をもって自分の考え方を主張しつつ、他人の考えに耳を傾け、合意形成を図っていくという政治的教養を育む教育の一層の充実を図るよう指導していくと、教育長が答弁している。
答弁のとおり、若い世代が十八歳選挙権の実施を前に、政治的教養を育むことは重要と考える。民主主義社会において、意見が異なる政治課題は常にあり、議論することによって、自ら判断し権利を行使することができるようにすることが求められると考える。
政治的なテーマだからといって避けて通るだけでは、生徒が自分で判断する力を身に付けることができるであろうか。政治的中立性を理由に、自由な言動を縛ることがあってはならないのではないか。こうした機会を生徒自身が考え、学校が自主的に解決し、学校が教育的解決を生徒に示すことこそ求められていると指摘する。
(道議会 2016-07-20付)
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