学校保健活動研修会開く―道教委 まず受け入れることが大事 性同一性障害テーマに講義(道・道教委 2016-08-09付)
261人が参加した研修会
道教委は三・四日、札幌市内の道立総合体育センター「北海きたえーる」で二十八年度学校保健活動研修会を開いた。二日目には、道文教大学教授の池田官司氏が「思春期における性同一性障害」をテーマに講義=写真=。性同一性障害の児童生徒に対し、「まず受け入れる」「現実的に対応する」「未来のことを一緒に考える」ことを対応のコツとして挙げた。
同研修会には、公私立学校の管理職、教諭、養護教諭、栄養職員、保護者など二百六十一人が参加した。
初日の開会式では、堀本厚健康・体育課長があいさつした。
本道の児童生徒の健康にかかわり、「むし歯や肥満などの生活習慣の問題をはじめ、食物アレルギーを有する児童生徒の割合が全国と比較して高い傾向にあることや、抑うつ傾向など心の健康に課題のみられる児童生徒が一定の割合で存在する」などと課題を指摘。
「多様化する児童生徒の健康課題を解決するためには、課題を単に個人的なものとしてとらえるのではなく、学校、家庭、地域社会が連携して、社会全体で児童生徒の健康づくりに取り組む必要がある」と述べた。
初日は、このあと、講義「学校におけるアレルギー疾患への対応」「児童生徒の心の健康問題とその対応」「子どもたちの健全な歯・口腔と外傷予防~スポーツデンティストの立場から」を行った。
二日目は、池田氏が「思春期における性同一性障害」をテーマに講義した。
池田氏は、性同一性障害を「身体的性別とジェンダーアイデンティティ(性自認)が一致していない状態」と定義付け、本人は、「自らの性別に対する強く持続的な不快感・嫌悪感」「反対の性別に対する強く持続的な同一感」といった「性別違和感」を抱いていると特徴を挙げた。
精神疾患の一つという考え方から、その人の個性や属性の一つという考え方へと、性同一性障害の概念が拡大していることも説明した。
性別違和感をもつ児童生徒に対しては、「まず受け入れる」「現実的に対応する」「未来のことを一緒に考える」ことが必要と指摘。
「自分のアイデンティティに疑念をもっているので、それを晴らすには、他者からの承認を受けることが必要」「与えられた条件の中で、現実的な落としどころを見いだしていくことが肝要」「将来に絶望したり、今のことで手一杯だったりすることが多いので、進路指導が重要」「自尊感情が低くなっているので、少しでも上がるように、自分らしく、やりたいようにやっていいというようなメッセージを送り続けてあげる」などと、対応のコツを示した。
このあと、二日目は、講義「学校における感染症対策の在り方」「救急処置の理解と実際」を行った。
(道・道教委 2016-08-09付)
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